2009年 5月。


ある末期癌の70代の女性患者さんへの
治療を依頼された。

余命1ヶ月弱。
今月の末まで持たないかも。。という時に、
『どうしてもお願いしたい』と言っている。


そんな状況で、
私に何が出来るのか解らないけど、
依頼が来たからには、行ってみようと思い、
まずは、患者のご家族である娘さんの
話しを聞きに行く。


今までの病歴や、
現在の症状を詳しく聞いていると
必死に、お母様への【癒し】を
求めているのが解る。


私の治療は、
気功しながらのマッサージ治療だと話すと、

『紹介してくれた人から聞いています。
 ただのマッサージではないから、
 受けさせてあげたいんです。』

『母は、体を触られることが嫌いだから、
今までマッサージとかは受けたことが
ないのですが、気功治療しながらの
マッサージなら、受けてみたいと
母も言うんです。』

・・・と言うので、気功について
理解しているのならいいかなと思い、
後日治療に行きました。


【縁】があって、
私の前に現れてくれた患者さんなのですから。



治療の当日、
初めて会う患者さんだけど、
何故か昔から知っているような
不思議な感覚でした。


多少の緊張をしながらも、
次第に打ち解けてマッサージを受けてくれました。


体のアチラコチラで、気の滞りがあるので
気を送りながら、それを細かく砕いて、
サラサラにして流す。

集中している場面では、
どうしても無言になってしまう私なので
そのことも話しながら。。

それと、いつもの治療のように
【自己治癒力】や【人の可能性】などの
話しをしたりも。。。

話の流れで、ぷるぷる体操まで教えていました。


患者さん自身は、末期癌だと知らないので、

『私もぷるぷる体操して、
元気いっぱいになるわ!』と嬉しそうにして
一回目の治療を終了しました。


帰りの駅まで娘さんと歩いていると、
その日の感想を言ってくれます。

『今まで、人に体を触られるのを
嫌がっていた母なので、
 あんな風に気持ちよさそうに
している姿になるなんて・・・』

『私が肩をもむことさえ、
嫌がっていたんですよ。。』

『本当は、腫瘍があると解った時点で
治療して頂きたかった、
 でも、身内でさえも
触られたくない人だったので。。。』


ああ、本当に、、、
マッサージとか嫌いだったんだな~
と解りました。


私の治療中は、
まったく拒否反応も無く、
普通に受け入れてくれていたので、
そこまでとは^^;;


『もうあと数週間と言われているので、
 出来る限り、  来ていただけますか?
 また来週お願いしたいです。』

・・・と仰るので、
数日後に行くことにしました。




2回目の治療。

行ってみると、
『この間は、治療のあとよく眠れました^^』
 と喜んでいらしたので、

「よかったですね^^」と。


前回と同じように、
大周天で気を流しながらマッサージをしていると


何故か、私が笑わせるようなことを言ったり、
お母様がおかしなことを言ったりして、
三人で大笑いしていました。


笑えば笑うほど、
ちょっとしたことで可笑しく、
お腹が痛くなるくらいに笑っていました。

私・・・
そんな風に患者さんを笑わせることって、
それまであんまりしたことは無かったのですが、

このときは、
意識して大笑いをしている自分でした。


そのあと、
色々な日常生活やら、
昔の話しをしているうちに、

何故か・・・

『私は親として、大したことが
 出来ていないんです。。』

・・・と私が言う場面になる。


お母様は、

『私なんて、、、
 娘に謝らなければならないくらい、
 酷い親だったと思うの。。
本当に、何もしてやれない親でごめんね』

『迷惑をかけてばかりで、
 寂しい思いばかりさせて。。』

・・・と、涙ぐんでいる。


娘さんは、

『そんなことないよ。いいお母さんだし、
 充分に良くしてくれたし、
 感謝しているのよ。』


お母様

『そんな風に思ってもらえてるなんて
 思わなかった。
 私のところなんかに生まれて、
 可哀想だと思ってたんだよ。。』


娘さん

『そんなことないよ。
 私は幸せなんだよ。。。。。ありがとう。』


お母様

『そんな風に思ってもらえるなんて、
 私も幸せだわ。。。』

・・・涙を流しながら、
 2人で感謝しあっている。


『今まで、面と向かって
 こんな話ししたことないね!』

・・・と言いながら。。


私も一緒になって涙が溢れてくる。


『いいご家族ですね、
 私も、子供達とそんな話しが
 出来るようになりたいです。』

と言いながら、気功マッサージを続けました。



大笑いしたあとに、涙ナミダ。。




人生の最後に、
親子でそれぞれの思いを確認しあって、
お互いに『幸せなんだよ^^』と言い合って、

涙を流しながら、
明るい雰囲気になっていきました。


初日の重苦しい雰囲気は無くなり、
明るくなって・・・



その数日後に亡くなりました。



人生の最後に完了したいことのひとつ。

その場面に立ち会えたこと・・・
よかったと思います。


色々なことを考えさせられるものですが、

苫米地ワークスに参加して学んだことが

ここでお役に立てたと思っております。


さらにトレーニングをしていこうと感じました。