[自然風景写真館・ブログ別冊] ミノルタαレンズ・テスト撮影 | 自然風景写真家・鳥越章夫のブログ

自然風景写真家・鳥越章夫のブログ

私の公式サイト『自然風景写真館』(tory.com)で公開されているブログを転記しています。美しい自然写真をテーマに撮影を続けています。

[自然風景写真館・ブログ別冊] ミノルタαレンズ・テスト撮影
2006-02-11


 


★★★ このブログは下記のページにアクセスしてもご覧になれます ★★★

http://tory.com/j/others/mm_backnumber/2006-02-11.html



 先週のブログでは、予告しておいたミノルタαレンズのテスト撮影の結果を
お届けできればと思っていましたが、やはりデジカメと違いフィルムの整理は思
いのほか手間がかかり、残念ながら〆切までに間に合いませんでした。

 なにかと面倒のかかるフィルムではありますが、しかしやはりその豊かな階調
性と鮮やかな発色はフィルムならではのものがあります。デジタルカメラは、そ
れはそれで日進月歩の進歩をとげつつあり、その進化を経験してゆくのも楽しみ
ではありますが、自然風景写真館では、まだしばらくフィルムでの撮影にこだわ
りつづけてゆきたいと思っています。


 さて、話がそれましたが、ミノルタαレンズのテスト撮影の結果を、メールマ
ガジンの「別冊」としてお届けいたします。


※※※ ご注意 ※※※

 レンズの「性能」には様々な要素があり、2~3度のテスト撮影だけでは計り
知れないものがあります。このブログでお届けする内容は、ひとつの側面に限っ
た私個人の評価でしかないことを、事前にご了承ください。





 まずは、早朝の小田原市・国府津の山へ。ブログNo.157を参考にしな
がらご覧下さい。
http://tory.com/j/others/mm_backnumber/2006-01-30.html



 普及版の標準ズームレンズで早朝の夜景を撮影してみます。
使用したレンズは下記の通り。

・AFズーム24-105mmF3.5-4.5(D)
http://konicaminolta.jp/products/consumer/a-lens/zoom/24-105.html


 とてもコンパクトなボディで、最初はこんな小さなレンズなら、写りはそこそ
こだろうと軽く見ていたのですが、




( AFズーム24-105mmF3.5-4.5(D)    100mm,F8,4秒,+1.3EV )



(マンション左手の階段を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)


 まずそのシャープネスに驚かされました。拡大すると、マンションの手すりや
窓枠まできっちりシャープに写っています。点光源も像が流れるようなこともな
く、しっかりと写っています。

 円形を絞りが採用されているためか、マンションの明かりは柔らかい丸い明か
りになっています。これがαレンズの特徴と言えるでしょう。
 例えば旧タイプのNikkorレンズだと、絞り羽根の形状が角形なので、こういう
強い光源からは回折現象によってクロス状の光条が発生するものです
(例)


 どちらが良いかは好みの問題になるでしょう。私はどちらかというと夜景では
光条が出た方がシャープでキラキラした感じがあって好きです。

 もちろん、ポートレイトや花の撮影では円形絞りの方がバックのボケが柔らか
くなるので、結局は、撮影する対象によってレンズを選択しています。

 ちなみにNikkorレンズを含め、最近のレンズの多くは円形絞りを採用する傾向
にあるようです。



 次は同じ標準ズームで、やや広い風景を撮影してみました。



( AFズーム24-105mmF3.5-4.5(D)    75mm,F8,4秒,+0.7EV )



(中央やや右の電線を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)


 標準ズームとしてはなかなかの解像度です。ただし、少しコントラストが高す
ぎて、特にシャドーの部分の階調が不足して、黒くつぶれやすいのが気になりま
した。


 次に、ほぼ同じ画角を持つ85mmの単焦点レンズに付け替えて同じ構図で撮
影してみました。

・AF85mmF1.4G(D)
http://konicaminolta.jp/products/consumer/a-lens/g-lens/85-f14g.html

 本来なら女性のポートレイト撮影などに使用する大口径のレンズですが、一般
風景でももちろん撮影可能です。




( AF85mmF1.4G(D)        85mm,F8,3.2秒,0.0EV )



(中央やや右の電線を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)

 さきほどの標準ズームでも十分シャープに写っていましたが、しかしやはり
メーカーが「高級レンズ」と銘打つ「Gタイプ」の単焦点レンズです。電線など
が、ますますシャープに写っているのが分かります。


 つぎは植物撮影の標準レンズとも言うべき、100mmの画角を持つマクロレンズ
を使いました。

・AFマクロ100mm F2.8(D)
http://konicaminolta.jp/products/consumer/a-lens/macro/100-f28.html

 マクロレンズは、拡大撮影をしたときに画質が最も良くなるように設計されて
いますが、しかしもちろん、焦点が無限遠の一般風景にも利用できます。



( AFマクロ100mm F2.8(D)    100mm,F8,0.6秒,0.0EV )



(中央やや右の電線を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)

 フォーカスが無限遠だとしても、とてもシャープに写っています。



 次はミノルタ独自の特殊レンズ、「STFレンズの」テストです。

・STF135mm F2.8[T4.5]
http://konicaminolta.jp/products/consumer/a-lens/special/stf135-f28.html

 このレンズの売り物は、なんといってもピントの合っていないエリア、いわゆ
る「ボケ」の描写へのこだわりでしょう。

 それは後ほどお伝えするとして、まずは一般風景の撮影テストです。



( STF135mm F2.8[T4.5]    135mm,F8,0.6秒,0.0EV )



(画面中央の電線を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)


 最初はそれほど期待していなかったのですが、電線やアンテナや小枝のシャー
プさは素晴らしく、一般風景の撮影でも威力を発揮しそうです。



 次は、ミノルタのみが唯一、オートフォーカスを可能とした500mmの
反射ミラータイプの望遠レンズです。

・AFレフレックス500mm F8
http://konicaminolta.jp/products/consumer/a-lens/special/reflex500-f8.html




( AFレフレックス500mm F8    500mm,F8,1/250 )



(画面右中央の小枝を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)


 一般に望遠レンズでは、光の色の波長の違いによる「色収差」というニジみが
発生して画質を低下させますが、反射型ミラーレンズは構造上、色収差が発生し
ないので、非常にシャープに写っています。

 しかも世界で初めてオートフォーカスを実現したミノルタならでは、F8とい
う暗い開放値を持つレンズにもかかわらず、唯一オートフォーカスを可能として
のは素晴らしいところです。

※ただし、Nikkorの500mmF8では最短撮影距離が1.5mなのに対して、このミ
ノルタの500mmF8レンズは4mとなっており、草花などの近接撮影能力では不満
が残りました。



 次は、普及版の望遠ズームレンズでテストを行いました。

・AFアポテレズーム100-300mmF4.5-5.6(D)
http://konicaminolta.jp/products/consumer/a-lens/zoom/100-300.html

 とても軽量でコンパクトながら、300mmまでの望遠撮影を可能とするレン
ズです。



( AFアポテレズーム100-300mmF4.5-5.6(D)    100mm,F8,1/250,0.0EV )



(画面中央の小枝を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)


 画面下の暗い部分には、太陽の強い光によりゴーストが発生するものですが、
このレンズは、ほとんどそれが見られませんでした。素晴らしい逆光性能だと感
じました。


 次は、同じ画角の100mmマクロレンズで撮影してみます。



( AFマクロ100mm F2.8(D)    100mm,F8,1/250,0.0EV )



(画面中央の小枝を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)


 残念ながらご覧の通り、画面右側に「ゴースト・イメージ」が出てしまいまし
た。ズームに比べて単焦点だからといって逆光に強いわけではないようです。
画面全体のコントラスト低下は少ないのですが、はっきりしたゴースト・イメー
ジが出やすいのが単焦点レンズの特徴のようです。
これは今まで使っていたNikkorレンズでも、その傾向はありました。

 しかし拡大した結果では、100mmマクロレンズの方が、さすが小枝の一本
一本まで繊細にシャープに写っていました。

 解像度ではマクロレンズに軍配が上あがり、逆光性能ではズームレンズに軍配
が上あがりました。

 レンズも人間と同じで、全ての面で良いものは無く、それぞれに長所短所があ
るようです。



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 さて、朝の撮影を終えて、富士山の見える山名湖へ移動します。


 次は単焦点200mmの望遠レンズのテストです。

・AFハイスピードアポテレ200mmF2.8G(New)


(※このレンズは販売終了のため、メーカーのHPに画像がありませんでした)




( AFアポテレ200mmF2.8G(New)    200mm,F8,1/400,+0.3EV )



(画面中央の山肌を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)

 ウェブ上の小さな画像ではその感触が伝わらないかも知れませんが、20倍の
ルーペでライトボックス上のフィルムを除いたときには、その鮮鋭度とコントラ
ストの高さに驚きました。富士山の山肌が浮き立つように感じたのです。

 拡大した画像でも、十分そのシャープさを伝え切れていません。それはフィル
ムをフィルムスキャナーでデジタル画像に取り込むときに、「フィルムの平面性」
を維持するのが難しいからです。
 ですので、やはり生のフィルムを直接見るのにはかなわない。
そこがデジタル媒体を介してフィルム写真を見せることの難しさでしょう。



 余談ですが、近年ではご存じのようにズームレンズが主流となり、
80-200mmF2.8 という大口径の望遠ズームレンズもあるためか、この 200mmF2.8
というスペックのレンズは生産中止となってしまいました。

 しかしズームレンズとは違う、単焦点ならではの高品質な描写というものがあ
り、比較的安価で軽量コンパクトなボディに豊富な周辺光量など、まだまだ捨て
がたい魅力があります。

 たしかに画角が決まっているというのはデメリットかも知れません。遠くの風
景ではどうしようもないでしょう。しかし次のような「植物の一角をクローズアッ
プする」というような撮影方法ならば、自分が動くことによって画角の調整はで
きるものです。



( AFアポテレ200mmF2.8G(New)    200mm,F2.8,1/2000,+1.0EV )

 小枝とそこに付着した氷のシャープさが素晴らしく朝の冷気が伝わってきます。


※ただしこのレンズに限ってはミノルタαレンズの特徴である「円形絞り」は採
用されておらず、絞り値F2.8では背後の光ボケは円形ですが、少しでも絞る
とそれが角形になってしまうのは残念なことです。


 ついでに「多重露光」のテクニックを使って、小枝が優しく輝く様子も表現し
てみました。



( AFアポテレ200mmF2.8G(New)    200mm,F2.8,1/4000(多重露光))
(※ 多重露光のデータは2枚目のみ)

 ボケ量の大きな大口径の望遠レンズだからこそ、このような表現もできるので
しょう。



 同じ小枝ですが、今度は、STFレンズを使ってみました。



( STF135mm F2.8[T4.5]    135mm,F5.6,1/640,+0.7EV )

 さきほどの200mmレンズだと背後の光ボケの縁がはっきりしていましたが、
このSTFレンズでは、柔らかい丸いボケになっているのが分かると思います。
このスムースなボケの描写がこのレンズの持ち味で、他社のレンズには見られな
いものです。

 それを用いると、背景がシンプルな日本画的な絵作りができると思います。元
々、このレンズを使ってみたいがために、ミノルタのカメラを買ったようなもの
なのですから。(笑)



( STF135mm F2.8[T4.5]    135mm,F4.5,1/500,+0.3EV )



(下から4本目の房を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)

 ご覧のように絵の具をにじませたような淡くてシンプルな背景になり、これが
とても素敵なのです。

 すでに先ほどの遠景撮影でもご覧になったように、フォーカスの合った面は非
常にシャープに写っています。

 このレンズのその他の特徴として、最短撮影距離が87cmとなっており、近
接撮影能力にも優れることが分かります。(※Nikkorレンズの135mmでは110cmで
す)
 それは雪の乗ったススキの一房を拡大した画像でも分かります。さすがに専用
設計されたマクロレンズほどではありませんが、この拡大能力は草花などのネイ
チャー撮影には特に威力を発揮することでしょう。




 さて、山中湖の湖畔までやってきました。再び標準ズームレンズを取り付けて、
富士山の撮影です。



( AFズーム24-105mmF3.5-4.5(D)    60mm,F16,1/125,+0.7EV )



(画面右の黄色いダウンを着た親子を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)

 ルーペで拡大して見ても惚れ惚れするほどのシャープネスです。コンパクトな
ボディのため、絞り開放付近では周辺光量の低下が見られるのですが、それも通
常の風景撮影ではF8以上に絞るので、ほぼ問題にはならないでしょう。
 暗い状況で明るいレンズが欲しければ、他の単焦点レンズを使えばいいのです
から。
 通常風景はこのレンズでほぼ決まりです。



~~~・~~~・~~~・~~~・~~~・~~~・~~~・~~~・~~~

 さて、日は変わって、東京都調布市の神代植物公園にやってきました。
こちらの様子は、ブログNo158 を参考にしてください。

http://tory.com/j/others/mm_backnumber/2006-02-06.html


 まず植物園の門の前に居並ぶケヤキが立派だったので、広角レンズを使って撮
影してみました。

 このブログでもアナウンスしましたが、手に入れるのにかなり苦労したレン
ズです。

・AF35mmF1.4G(New)


(※このレンズは販売終了のため、メーカーのHPに画像がありませんでした)

 最初に見たときには、ずいぶんとシンプルなボディで、そっけなさすら感じま
したが、しかし手にしてみると金属鏡胴を使用しているせいか、冷たくてずしり
とした手ごたえでした。F1.4という値を持つ大口径レンズでありながら、フィル
ター径は55mmと、そのコンパクトな造りには驚かされます。



( AF35mmF1.4G(New)    35mm,F9,1/500,0.0EV )



(左上の小枝を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)

 実際に撮影をしてみると、ケヤキの小枝の一本一本までが緻密に描写されてい
るのに驚きました。




 さて、植物園の中に入ると、サザンカの花が目に付いたので、色々なレンズで
撮り比べてみました。

 レンズの基本中の基本、50mmの焦点距離を持つ標準レンズです。

・AF50mm F1.4(New)
http://konicaminolta.jp/products/consumer/a-lens/standard/50-f14new.html


 このレンズの最短撮影距離は45cmですので、花に近づくには少し辛く、
「中間リング」を装着してクローズアップしてみました。



( AF50mm F1.4(New)+中間リング    50mm,F1.4,1/320,-1.0EV )



(花の蕊を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)

 厚さ12mmの中間リングを使いましたが、50mmの焦点距離にとっては拡
大率が大きすぎたようで、収差(像のにじみ)が少し発生してしまいました。
しかしそのにじみの曖昧さも表現のうちと思えば、これはこれで良いものです。
特に背後の踊るような光ボケはミノルタの大口径レンズならではの柔らかい描写
でしょう。

 中間リングは装着するレンズの焦点距離によって厚さを変えた方が良いのです。
本当はもっと薄い物が欲しかったのですが手に入りませんでした。収差を抑える
には「クローズアップレンズ」の方が良かったかも知れません。次回の実験課題
としましょう。


 ところで「花を大きく写したいのなら、同じ焦点距離を持つ50mmマクロレ
ンズを使えばいいのでは?」という疑問を持たれるかも知れません。もっともな
疑問です。しかしなにも大写しにするだけが花の写真ではありません。
 マクロ撮影を始めたての頃は、花が大きく写るのが面白くて、拡大撮影ばかり
をしてしまうのですが。それでは花だけが写っている単調な写真になってしまい
ます。
 図鑑写真ならそれでも良いですが、やはり情緒的な作品を生み出すには、
「花を取り巻く全てのもの(環境と言ってもいいでしょう)」を画面の中に効果
的に配置することによって物語性を生み出すことができるのです。

 上記の作例写真でも、メインのサザンカだけではなく、その周囲に寄り添う兄
弟の花たちを適度にボカして配置し、そして木漏れ日を大きなボケとして、花の
ラインに流れるように配置する。そのリズム感が大切なのです。


 ですので、私の撮影の場合、等倍(1.0倍)まで拡大するレンズは、ほとん
ど必要ありません。1/4倍程度まで拡大できれば十分だと思っています。
 それには、大口径の明るい単焦点レンズに、中間リングやクローズアップレン
ズを装着してやれば、十分に目的を達成できるというわけです。

 そしてレンズというものは絞りを開放値から1~2段ほど絞ると、より性能が
高まります。周辺部の光量不足も改善され、全体的にコントラストが高まるので
す。
 ですので、開放値F2.8のマクロレンズよりも、F1.4のレンズを使って
少し絞って撮影する。しかもミノルタのレンズは2段まで絞っても絞り形状が円
形に保たれる。私がミノルタのレンズに憧れていた理由はこのような点にあるの
です。


 今度はポートレイトの標準レンズと言える85mmF1.4を使ってみました。
やはり中間リングを装着しています。



( AF85mmF1.4G(D)+中間リング    85mm,F2.8,1/60,-0.7EV )



(花の蕊を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)

 やはりこれもマクロレンズのように花そのものはシャープには写りませんが、
しかし背後にある木の幹や木漏れ日が写り込むことによる「立体感」が作品に奥
行きと広がりを与えているのです。



 公園の日本庭園の池を、標準ズームで撮影してみました。



( AFズーム24-105mmF3.5-4.5(D)    50mm,F8,1/100,-0.3EV )



(一番左の松を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)

 何度見ても素晴らしいシャープネスです。安価なレンズにもかかわらず、本当
に良く写ります。これだけ良く写れば、初心者の方でも写真が上手になったよう
に感じるでしょう。(笑)




 陽光を受けるロウバイが逆光に輝いていたのが目にとまったので、望遠レンズ
でクローズアップしてみました。



( AFアポテレ200mmF2.8G(New)    200mm,F2.8,1/320,-0.3EV )



(フォーカスのあった花を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)


 これは中間リングを使っていないので、描写はまずまずです。
しかしレンズのコントラストが高いためか、花の光の当たった部分が白く飛んで
しまいました。それを防ぐためにはもう少し露出を落とす必要がありますが、そ
うなると今度は背景の杉林の濃緑色が黒くつぶれてしまいます。一般的にコント
ラストの高いレンズは高性能という評価がされているようですが、必ずしもそう
とは限らないと思います。「高性能」とは何か? 女性のポートレイトや花の撮
影で柔らかいイメージを出したい時には、逆にコントラストの低い安価なレンズ
を使ってみるのも一つの手かも知れません。自分の求めているイメージを実現す
るレンズが「良いレンズ」なのですから。



 今は花が咲いていませんが、サクラの森にやってきました。ちょうど絵を描い
ているご老人がいます。



( AF35mmF1.4G(New)    35mm,F8,1/125,-0.3EV )



(老人の右脇のコンテナを10倍に拡大、※シャープネス処理なし)


 フォーカスを合わせた場所はサクラの小枝なので、その部分のシャープネスは
素晴らしいものでしたが、老人の座っている箇所はそれよりややカメラに近い場
所にあるので、F8という絞り値では被写界深度が足りずにフォーカスが甘く見
えるかも知れません。

 しかし(ひいき目かも知れませんが)良く写っていると思います。



 芝生広場の中央にパンパスグラスが居座っていました。こういう被写体は超広
角レンズに向いています。使用したレンズは新型の超広角ズームレンズです。

・AFズーム17-35mmF2.8-4(D)
http://konicaminolta.jp/products/consumer/a-lens/zoom/17_35.html



( AFズーム17-35mmF2.8-4(D)    18mm,F8,1/160,-0.3EV )



(手前中央の草を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)


 草を風になびかせて、流れる雲をバックに、踊るような姿が印象的です。この
ような表現は18mmという超広角の画角ならでは。
 このような時は被写体のすぐ目の前まで近づいて写すことがポイントです。

 それにしてもレンズのシャープネスは素晴らしく、近接撮影でも草の一本一本
が緻密に描写されています。



 まだ柔らかい毛に包まれたハクモクレンのつぼみを見つけました。
このような一見雑然とした被写体は、ポイントに対してフォーカスを合わせた後
は、残りは大きくぼかして、それらをリズム良く配置するのが良いでしょう。

 そういうときも大口径の単焦点レンズは役に立ちます。



( AF85mmF1.4G(D)+中間リング    85mm,F2.8,1/250,0.0EV )


 上の写真では少し空の木漏れ日を入れて奥行き感を出しましたが、こちらは杉
林の暗い背景を使って、ハクモクレンを浮き立たせました。やはり同じレンズで
す。



( AF85mmF1.4G(D)+中間リング    85mm,F1.4,1/500,-0.3EV )



( AF85mmF1.4G(D)+中間リング    85mm,F2,1/250,-0.3EV )

 上の2枚の写真の違いがお分かりになりますか?
絞りの値が開放F1.4と、1段絞ったF2という値の違いです。

 開放の方は周辺光量が不足して、「口径食」と呼ばれる楕円形のボケが発生し
ていますが、1段絞った方はそれが改善されて、真円に近いきれいなボケになり、
同じ露出量なのですが、画面全体が明るくなっているのが分かると思います。




(フォーカスの合ったつぼみを10倍に拡大、※シャープネス処理なし)

 拡大すると、さすがにマクロレンズほどのシャープさはないですが、これは仕
方のないことでしょう。




 今年は寒波の影響で梅の開花が遅れています。しかしそれでも、木の高いとこ
ろに咲きはじめている梅を見つけました。

 遠くにある花なので、200mmのレンズに2倍のテレコンバーターを装着し
て、拡大撮影しました。



( AFアポテレ200mmF2.8G(New)×2倍テレコン    400mm,F5.6,1/40,+0.7EV )



(フォーカスの合った花を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)

 2倍のコンバーターを使用すると、さすがに花のシャープさは損なわれるよう
ですが。元のレンズの開放F値がF2.8と明るいため、2倍のコンバーターを
装着してもF5.6の開放値で撮影することができるのは嬉しいところです。

 しかも結果的に拡大率が上あがるので、小さな花も大きく写すことができます。



 花の撮影というと100mmなどの焦点距離を持つ望遠レンズをお使いになる
方が多いと思いますが、標準レンズや広角レンズも積極的に使ってみましょう。
そういう時にはズームレンズよりも単焦点レンズの方が最短撮影距離が短く、開
放F値が小さいために大きなボケ描写を得ることができます。



( AF50mm F1.4(New)    50mm,F2.8,1/200,0.0EV )



(フォーカスの合った花を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)

 これは中間リングを使っていないために、花のシャープネスはまずます。
それよりも、やはり背後の小枝の重なりのボケ描写に味があるのです。

 F2.8という明るい絞り値のため、手持ち撮影が可能になっていることも明るい
レンズを使用するメリットです。



 お次は、マンサクの花があったので、それを様々なレンズで撮影してみること
にしました。まずは花撮影の標準レンズと言える「100mmマクロレンズ」を
使ってみました。



( AFマクロ100mm F2.8(D)    100mm,F2.8,1/200,-0.7EV )



(フォーカスの合った花を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)


 ピントの合った花をルーペで拡大すると、さすがはマクロレンズと思える緻密
な描写にはとても満足です。

 もっとも、このクラスのレンズはどのメーカーもラインナップが揃っており、
特にミノルタだけが優秀というわけではないでしょう。


 次は大口径の広角レンズを使った花の撮影例です。



( AF35mmF1.4G(New)    35mm,F2,1/400,-1.0EV )



(フォーカスの合った花を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)


 上記のレンズの最短撮影距離は30cm。ご覧のように小さなマンサクの花で
も、かなり拡大することができます。そして最短撮影距離いっぱいまで拡大した
にもかかわらず、花弁のシャープさには驚かされました。
 カタログに記載されている最短撮影距離が短くても安いレンズの中には収差が
ひどくて満足に見られないものもありますが、このレンズは本当に手を抜いてい
ません。
 そしてなにより、絞りを開いた明るいレンズはボケ量も大きく、背後の森全体
が美しいボケとなって花のバックを飾ってくれます。

 明るい広角レンズは、星空の撮影などでも応用範囲が広く。案外とその存在価
値が知られていないのは残念なことで、そのため売上が落ちて、生産中止になっ
てしまうのかも知れません。



 今度は一転して望遠200mmの描写です。こちらのレンズは最短撮影距離が
1.5mと、あまり拡大できないので、中間リングを装着して撮影しました。



( AFアポテレ200mmF2.8G(New)+中間リング    200mm,F2.8,1/125,+0.3EV )



(フォーカスの合った花を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)

 望遠レンズになればなるほどボケ量は大きくなります。ましてやF2.8の大
口径なら尚更です。

 同じ200mmで、等倍撮影の可能なマクロレンズがミノルタから発売されて
いましたが、しかしこちらは開放F値がF4と少し暗い。それに高い(20万円)
重い(1.1kg)と、あまり良い印象はありません。
 もちろん拡大撮影時の描写性能が認めますが。200mmF2.8の明るくて
軽くてコンパクトで安いレンズの方に魅力を感じてしまうのです。



 少し前の写真で、ミノルタ独自の「STFレンズ」を紹介しましたが、通常の
レンズとの違いを具体的に見てみましょう。



( AFアポテレ200mmF2.8G(New)+中間リング    200mm,F4,1/50,+0.7EV )



( STF135mm F2.8[T4.5]    135mm,F4.5,1/30,+0.3EV )

 並べてみれば良くお分かりになると思います。フォーカスの合った花はどちら
もシャープに写っていますが、最大の違いは背後にある花の「ボケ描写」です。
前者の通常のレンズが「2線ボケ」と呼ばれる少し煩雑な印象を受けるのに対し
て、後者のSTFレンズでは花びらが滑らかにボケているのが分かると思います。


 私が好む「多重露光」のテクニックを使うと、ますます優しくソフトな印象の
作品になります。



( STF135mm F2.8[T4.5]    135mm,F4.5,1/100,-1.3EV(多重露光))
(※ 多重露光のデータは2枚目のみ)

 このような描写については人によって好みが分かれるかも知れません。
確かに、ちょっと甘すぎるかも知れませんね。(笑)


 こちらは、同じマンサクの花ですが、もう少し画角を広げて、85mmのレン
ズを使ってみました。



( AF85mmF1.4G(D)    85mm,F2.8,1/320,-1.7EV(多重露光))
(※ 多重露光のデータは2枚目のみ)

 メインの花だけでなく、背後にある別の花や枝や森の様子が背景に写り込んで、
写真に意味を持たせようとしています。このことが、花撮影で標準マクロレンズ
以外の画角のレンズを使う理由です。




 戸外での撮影を終えて、温室にやってきました。池の上に咲いている睡蓮は近
づいて写せない被写体です。そういう時は望遠レンズにテレコンを付けて撮影で
す。



( AFアポテレ200mmF2.8G(New)×1.4倍テレコン    280mm,F4,1/15,-0.3EV )



(花の蕊を10倍に拡大、※シャープネス処理なし)

 光量の少ない辛い状況でしたが、しかし思ったより花弁がシャープに撮れてい
て満足でした。
 フジのRVP100というコントラストの高いフィルムを使ったので、水面は
黒く潰れてしまっていますが、これは意図通りです。かえって花が浮き立って良
かったのではないでしょうか。
 しかし撮影途中、あるいは撮影後にコントラストを調整できるデジカメと違い、
フィルムカメラでは、途中でフィルムを交換するのは非常にもったいなく、被写
体に合わせてのコントラスト調整は確かに難しいですね。



 ランを栽培している部屋にやってきました。この部屋は三脚の使用が禁止だそ
うです。平日なので他の客は数えるほどしかいなかったのですが、しかし決まり
を守らないわけにも行きません。仕方なく手持ち撮影で臨みましたが、夕方ちか
くなって薄暗く、ましてや建物の中なので、光量は非常に少ない状況です。
 しかし明るい単焦点レンズはこういう時こそ威力を発揮します。暗い中にもか
かわらず、1/50秒というシャッター速度で撮影することができました。
曇り空なので光量は一定と判断して、マニュアル露出で絞り値とシャッター速度
を固定して、ランの表情を写しこむことができたのです。



( AF85mmF1.4G(D)+中間リング    85mm,F1.4,1/50,+0.3EV )



( AF85mmF1.4G(D)+中間リング    85mm,F1.4,1/50,+0.3EV )



( AF85mmF1.4G(D)+中間リング    85mm,F1.4,1/50,+0.3EV )



 さすがに絞り値は開放F1.4で、中間リングを使用しているために、花の周
囲には収差(にじみ)が発生しています。しかし逆にそれが何とも言えない味を
出しています。

 玉の大きなレンズをカメラに装着してファインダーを通して植物を見ると、い
つも新鮮な感動があります。
 特に私はフォーカスの合っている以外の部分、いわゆる「ボケ味」に非常に惹
かれます。その美しい光と色が滑らかににじんで溶けてゆく様子は、子供の頃、
ビー玉をつまんで太陽に透かして見たときの、光がキラキラ反射している様子に
感動したのと同じ気持ちなのです。



 今回のテスト撮影はまだミノルタαレンズの一側面しか分からなかったかも知
れません。今後、実践的な撮影の場で、まだまだ色々なことが分かってくるでしょ
う。
 しかしそのシャープネスの高さ、ボケ味の美しさや個性的なスペックは、とて
も魅力的です。


 既に賢明な方はご存じの通り、世の中残念ながら、必ずしも優れたものが生き
残ってゆくとは限りません。ビデオテープの、「ベータ 対 VHS」しかり。
あるいはパソコンの「Mac 対 Windows」などもその例かも知れません。


 技術的な優秀さとは離れた部分で、時代の厳しい荒波の中で様々な商業的な要
因が重なり、残念ながらミノルタのαシステムは一つの終着点を迎えました。
 しかし私が手に入れたレンズたちは、壊れて動かなくなるまで、大切に使って
あげたいと思います。



 今後とも自然風景写真館でお楽しみ下さい。




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_ |Nikon| _ ======= Nature Photographer Akio Torikoshi ======
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