夏になると、毎年のように思う。

「今年こそは、ちょっと違う夏にしたい」

……いや、たぶん今年も無理だ。

 

気づけば冷蔵庫の中は冷たい飲み物だらけ。冷凍庫にはアイスが並び、コンビニに行けば新作の冷たい麺を買っている。

夜になればエアコンの温度を下げたり上げたり。

 

そしてベッドに入ってから、

「ちょっと暑いな……」
「いや、これ下げすぎたか?」
「やっぱり寒いな……」

と、リモコンを何度も触る。

 

これ、去年もやってた気がする。

というか、一昨年もやっていた。

 

夏って、毎年同じことを繰り返してない?

とりあえず冷たい飲み物を大量に買う

夏になると、とにかく冷たい飲み物を買いたくなる。

スーパーやネット通販で箱買いしたり、仕事帰りにコンビニで買ったり。

「これだけ暑いんだから、飲み物はいくらあっても困らないだろ」

と思って買う。

 

冷蔵庫に入れる。

でも、全部は入らない。

仕方ないので何本かは冷蔵庫の外。

 

そして冷蔵庫の中を見ると、

水。
炭酸飲料。
お茶。
スポーツドリンク。
アイスコーヒー。

……飲み物しかない。

 

食材を入れるスペースがない。

なのに数日後には、また買っている。

「冷たい飲み物がないと困る」

という謎の不安に襲われる。

 

そして夏が終わる頃には、

「こんなに飲み物買ったっけ?」

となる。

毎年これ。

本当に毎年これ。

冷凍庫には必ずアイスがいる

そしてアイス。

これはもう夏の定番。

冷凍庫にアイスがないと、なんとなく不安になる。

 

仕事から帰ってきて、シャワーを浴びて、エアコンの効いた部屋でYouTubeを見ながらアイスを食べる。

最高。

映画を見ながら食べてもいい。

音楽を流しながら食べてもいい。

何なら何もせず、スマホを見ながら食べてもいい。

 

問題は、

一個で終わらないこと。

「今日は一本だけ」

と思っていたのに、気づいたらもう一個。

そして翌日、

「また買っておくか」

となる。

 

冷凍庫を見ると、いつの間にかアイスでいっぱい。

しかも買ったことを忘れて、奥から去年食べたかった味が出てきたりする。

……いや、さすがに去年のものではないけど。

でも、それくらい「冷凍庫=アイス置き場」になっている。

 

そして体重計に乗って、

「まあ、夏だから仕方ない」

と自分に言い聞かせる。

この流れも、毎年変わらない。

コンビニの「新作冷たい麺」に弱すぎる

夏のコンビニも危険だ。

冷やし中華、冷やしうどん、冷たいそば、冷製パスタ。

毎年いろいろ出てくる。

 

そして新作を見ると、

「おっ、これ新しいじゃん」

となる。

別にお腹がものすごく空いているわけじゃない。

 

家には普通に食べるものもある。

それなのに買ってしまう。

「夏限定」

「新発売」

「冷たい○○」

このあたりの言葉に弱い。

 

しかも食べてみると、

「うん、普通にうまい」

くらいだったりする。

めちゃくちゃ感動するわけでもない。

 

でも翌年また買う。

「今年の新作は何かな?」

と楽しみにしている。

去年と似たような味なのに。

 

冷たい麺を食べながら、

「結局、夏ってこういうのだよな」

なんて思っている。

そしてまた一つ、夏の恒例行事が増える。

寝る前のエアコン温度調整大会

個人的に一番無駄だと思っているのが、これ。

寝る前のエアコン。

 

最初は、

「ちょっと暑いから25℃くらいかな」

と設定する。

 

しばらくすると、

「いや、ちょっと寒いな」

となる。

 

26℃にする。

すると今度は、

「やっぱり暑い……」

となる。

 

25℃に戻す。

「いや、待て。これ寒いだろ」

26℃。

「……暑い」

25℃。

この繰り返し。

 

何をやっているんだ、俺は。

エアコンのリモコンを握りながら、夏の夜に一人で温度と戦っている。

 

しかも最終的には、

「もういいや」

となって寝る。

 

そして朝起きると、

「昨日何度にして寝たっけ?」

となる。

たぶん今年もやる。

冷蔵庫の中まで毎年同じ

ふと冷蔵庫を開けると、それが一番よく分かる。

夏の冷蔵庫って、毎年だいたい同じ。

 

冷たい飲み物。

めんつゆ。

ドレッシング。

ゼリー。

何かしらの麺。

そして食べるタイミングを失ったもの。

 

「これ、いつ買ったんだっけ?」

と思うものまである。

夏の冷蔵庫って、季節が変わってもメンバーがほとんど変わらない。

 

新しいものを買っているつもりなのに、並んでいるものは去年とほぼ同じ。

自分の生活って、思っている以上に変わらないんだなと思う。

「今年こそ違う夏にする」は毎年言っている

夏になると、

「今年は休日にどこか行こう」

とか、

「ちょっと運動しよう」

とか、

「生活習慣を変えよう」

とか思う。

 

でも暑い。

外に出る。

暑い。

帰ってくる。

エアコンをつける。

冷たい飲み物を飲む。

アイスを食べる。

YouTubeを見る。

気づいたら夜。

 

そして、

「まあ今日はいいか」

となる。

これを何日も繰り返しているうちに、夏が終わっていく。

 

映画を見ようと思っていたのに、結局YouTubeを見て終わる休日もある。

聴きたい音楽があったのに、適当に動画を流して終わる夜もある。

 

ネット通販で「夏を快適にする便利グッズ」を見つけて、

「これ買ったら生活が変わるかも」

と思って注文する。

 

でも、届いた商品を使いながら、

「……去年も似たようなの買わなかった?」

となる。

たぶん、夏という季節そのものに、毎年同じ行動をさせられている。

無駄だけど、たぶん嫌いじゃない

こうやって書いてみると、かなり無駄なことをしている。

冷たい飲み物を買いすぎる。

アイスを食べすぎる。

 

新作の冷たい麺を買う。

エアコンの温度を何度も変える。

休日をYouTubeで潰す。

ネット通販で余計なものを買う。

 

そして毎年、

「今年も同じことしてるな」

と思う。

でも、不思議なことに、そこまで嫌ではない。

 

むしろ、この「毎年同じ感じ」が夏なのかもしれない。

暑くなってきたら冷たい飲み物を買う。

冷凍庫にアイスを入れる。

 

コンビニで冷たい麺を買う。

夜はエアコンの温度で悩む。

そうやっているうちに、

「ああ、今年も夏が来たな」

と思う。

 

劇的な変化なんてなくてもいい。

毎年同じことをしているように見えても、それなりに夏を楽しんでいる。

ただし、冷蔵庫を飲み物で埋め尽くすのだけは、そろそろやめたい。

……たぶん来年も同じことを言っていると思うけど。

 

そして明日も、仕事帰りにコンビニへ寄って、

「新作の冷たい麺か……」

と悩んでいる自分が簡単に想像できる。

たぶん買う。

だって夏だから。

 

そして家に帰ってエアコンをつけて、冷たい飲み物を飲みながらYouTubeを見る。

その横には、もちろんアイス。

結局、今年もいつもの夏だ。

でも、それでいいのかもしれない。

 

昔は平気だった暑さが、今は普通にキツい。30代になって気づいた夏の現実

昔は、夏ってもっと楽しかった気がする。

朝から外に出て、昼間の炎天下でも普通に遊んでいた。


友達とどこかへ出かけたり、海やプールに行ったり、夕方まで外で過ごしたり。

もちろん暑かった。

でも、「暑いから無理」と思った記憶はあまりない。

 

ところが今はどうだ。

家を出て駅まで歩いただけで、もう汗だく。

 

駅に着いた頃には、

「……今日、もう疲れたんだけど」

となっている。

 

まだ仕事始まってないのに。

これ、昔より夏が暑くなったせいなのか、それとも自分の耐性が落ちたのか。

たぶん両方なんだろうけど、とにかく最近の夏は普通にキツい。

駅まで歩くだけで一仕事

最近、家を出るときに最初に考えることがある。

「今日、日陰あるかな?」

 

昔だったら、そんなこと考えなかった。

駅までの道なんて、ただ歩くだけのものだった。

今は違う。

 

「あそこは日陰だから、あっちを歩こう」

「信号待ちは日なたじゃなくて、建物の影に入ろう」

「あと少しだから頑張れ……」

みたいな感じ。

 

もはや駅までの道が、ちょっとしたサバイバルになっている。

しかも、家を出て数分で汗が出てくる。

 

駅に着いて電車に乗った瞬間、

「涼しい……」

と本気で思う。

 

昔は電車に乗っても、そこまでありがたみを感じなかった。

今は冷房の効いた車内が天国に見える。

「昔の夏って、こんなに暑かったっけ?」

毎年のように思う。

「昔の夏って、こんなに暑かったっけ?」

子どもの頃の夏を思い出すと、もっと外で遊んでいた気がする。

 

昼間に外へ出て、汗だくになって帰ってきて、水を飲んで、また遊ぶ。

それが普通だった。

今なら絶対に無理。

 

昼間にちょっと外を歩いただけで、

「今日はもう外出なくていいかな……」

となる。

休日なんて特にそう。

 

せっかく休みなんだから映画館に行こうとか、買い物に行こうとか思う。

でも朝起きて外の暑さを想像すると、

「まあ、今日は家でYouTubeでも見るか」

となる。

 

そして気づいたら昼。

そこからダラダラしているうちに夕方。

 

「今日、何もしてないな……」

と思いながら、またYouTubeを見る。

この流れ、何回やったかわからない。

30代になって、暑さへの耐性が落ちた気がする

もちろん、年齢だけが原因じゃないとは思う。

昔より運動しなくなったし、体重も増えた。

 

昔は意味もなく歩き回っていたけど、今は移動するなら電車や車。

仕事も基本的には座っている時間が長い。

そう考えると、そりゃ暑さにも弱くなるよなと思う。

 

体力が落ちている。

汗をかくことにも慣れていない。

しかも体重が増えたせいなのか、少し動いただけで暑い。

 

昔の自分だったら、

「駅まで歩くだけで疲れるなんて大げさだろ」

と言いそうだ。

 

でも今の自分からすると、

「いや、マジで暑いんだって……」

としか言えない。

夏になると、出勤前から疲れている

一番つらいのが通勤。

朝だからまだ大丈夫だろうと思って家を出る。

ところが、外に出た瞬間から暑い。

 

駅まで10分くらい歩いただけなのに、シャツが汗で気になる。

駅に着いたときには、すでに体力を使っている。

そして会社に着く。

 

「おはようございます」

と普通の顔をしているけど、心の中では、

「もう今日は帰りたい」

と思っている。

まだ朝なのに。

 

しかも帰宅すると、今度はまた駅から家まで歩かなければならない。

これが地味につらい。

仕事で疲れているところに、最後の「徒歩」というイベントが待っている。

冬なら何とも思わない距離なのに、夏になると急にラスボスになる。

昔は「暑いからこそ夏」だった

昔は、暑いことも含めて夏を楽しんでいた気がする。

暑い日にアイスを食べる。

汗をかきながら冷たい飲み物を飲む。

 

夕方になって少し涼しくなったら外に出る。

夏の夜に音楽を聴く。

映画を見ながらダラダラする。

そういう時間が楽しかった。

 

今も夏そのものが嫌いなわけじゃない。

むしろ夏の雰囲気は好きだ。

ただ、暑さだけは本当に勘弁してほしい。

 

「夏は好き。でも暑いのは嫌い」

この矛盾した気持ちになっている。

最近はネット通販がありがたい

そして、こういう暑さになってくるとネット通販のありがたさを実感する。

昔だったら、必要なものがあれば店まで行って買っていた。

今はスマホを開けばいい。

 

「これ欲しいな」

と思ったら検索。

「これ便利そうだな」

と思ったらレビューを見る。

 

そして気づいたら買っている。

便利すぎる。

もちろん買いすぎるのは問題だけど、暑い日にわざわざ外へ出なくていいというだけで、かなり助かる。

 

特に夏は、

「これ、ネットで買えるならネットでいいじゃん」

と思うことが増えた。

暑さから逃げるために、家の中で買い物を完結させる。

これも30代の夏の過ごし方なのかもしれない。

夏の楽しみ方まで変わってきた

昔は「夏だから外へ行こう」だった。

今は「暑くない時間に動こう」になった。

昼間は家。

夕方から少し外へ出る。

 

夜は映画を見る。

音楽を聴きながらダラダラする。

YouTubeを見ながら冷たいものを飲む。

なんだかんだ、これくらいがちょうどいい。

 

無理して昼間に出かけて、汗だくになって疲れるくらいなら、涼しい部屋で好きなことをしていたほうがいい。

そう思うようになった。

 

昔の自分なら、

「せっかくの休みなのに、もったいない」

と思っていたかもしれない。

 

でも今は、

「休みだからこそ、無理しなくていいだろ」

と思う。

 

これは成長なのか、ただの体力低下なのか。

そこはちょっと分からない。

とはいえ、少しは体力を戻したい

ただ、一つだけ思うことがある。

「このままでいいのか?」

ということ。

 

暑いから外に出ない。

暑いから歩かない。

暑いから家でYouTubeを見る。

 

これを繰り返していると、さらに体力が落ちそうで怖い。

しかも体重も気になる。

だから最近は、ほんの少しだけでも歩こうかなと思っている。

 

いきなり運動を始めるのは無理なので、涼しい時間に少し歩くくらい。

それだけでもいい。

昔みたいに炎天下を走り回れる体力を取り戻そうとは思わない。

 

そこまで求めていない。

ただ、

「駅まで歩いただけでHPがゼロになる」

状態からは脱出したい。

30代の夏は、無理しないくらいがちょうどいい

昔は平気だった暑さが、今は普通にキツい。

これはもう仕方ない。

 

昔の自分と今の自分を比べて、

「なんでこんなに弱くなったんだ」

と落ち込んでもしょうがない。

 

今は今で、夏の楽しみ方を変えればいい。

昼間は涼しい場所で映画を見る。

好きな音楽を聴く。

 

YouTubeを見ながらゆっくりする。

ネット通販で欲しかったものを探す。

夕方になったら少し外へ出る。

 

そして、できれば少しだけ体を動かす。

それくらいでいい。

何より、暑い日に無理して外を歩いて体調を崩したら、それこそ意味がない。

 

「昔はもっと平気だったのにな」

と思いながらも、今年の夏は今年の夏で楽しむ。

それでいいんじゃないかと思っている。

 

……まあ、それでも駅まで歩いて汗だくになったときは思う。

「昔の夏って、本当にこんな暑かったっけ?」

そして今日も、駅のホームで冷房の風を探している。

 

昔の自分なら絶対に気にしなかったような場所で、日陰と冷房を本気でありがたがっている。

30代の夏。

どうやら、昔とは戦い方を変えないといけないらしい。

 

8月に入ると、夏が本気を出してくる。

朝から暑い。昼はもちろん暑い。夜になっても全然涼しくならない。

エアコンの効いた部屋でYouTubeを眺めながら、「今日はもう外に出なくていいか」と思う。

 

でも、そんなふうにダラダラ過ごしていると、夜になって妙な気持ちになる。

「……なんか、今年の夏も終わっちゃいそうだな」

まだ8月の初旬なのに。

 

夏はこれからが本番のはずなのに、なぜかもう少しで終わってしまうような気がする。

そして、よく分からない焦りみたいなものが出てくる。

別に予定がないわけじゃない。

 

好きな映画を観たり、音楽を聴いたり、ネットで気になっていたものを買ったり、冷たいものを食べたり、夜にビールを飲んだり。

 

それなりに楽しい。

それなのに、なぜか満たされない。

この感じ、何なんだろう。

「もっと夏らしいことをしなきゃ」と思ってしまう

8月になると、SNSにも夏の写真が増える。

海、花火、キャンプ、旅行、BBQ。

夕焼けの写真なんかも増える。

 

そういう写真を見ると、「いいなあ」と思う。

そして、そのあとにちょっとだけ落ち込む。

「俺、今年の夏何してるんだろう」

 

いや、別に何もしなくてもいいんだけど。

誰かに怒られるわけでもない。

夏休みの宿題が残っているわけでもない。

なのに、なぜか「もっと夏らしいことをしなきゃ」という気持ちになる。

 

ネット通販で夏服を探してみたり、ちょっと高めのイヤホンを眺めてみたり、家で楽しめるものを探してみたりする。

「これ買ったら、休日ちょっと楽しくなるかも」

そんなことを考えながら、カートに商品を入れる。

そして届いた日はちょっと嬉しい。

でも、数日もすると普通になる。

 

結局、またYouTubeを見ている。

「あれ? 俺が欲しかったのって、これだったっけ?」

そんなことを思ったりする。

たぶん、探しているのは「物」じゃない

最近、ふと思うことがある。

もしかしたら、僕たちが探しているのって、商品でも旅行でもお酒でもないんじゃないか。

 

たぶん、「あの夏」の続きなんじゃないかと思う。

子供の頃の夏って、今思うと異常なくらい長かった。

朝起きたら暑い。

でも、それすら楽しかった。

 

外に出て、友達と遊んで、汗だくになって帰ってくる。

夕方になると少し涼しくなって、空がオレンジ色になる。

家に帰ってテレビをつける。

 

冷たい飲み物を飲む。

夜になると、昼間とは違う静かな空気になる。

そんな一日が、毎日続いていた。

 

もちろん、当時だって嫌なことはあったはずだ。

宿題もあっただろうし、親に怒られることもあった。

友達とケンカしたことだってあったと思う。

 

でも、今振り返ると、全部まとめて「夏」になっている。

不思議だ。

あの頃は、夏が特別だなんて考えたこともなかった。

ただ毎日を過ごしていただけなのに。

今になって、その時間がものすごく貴重だったことに気づく。

大人の夏は、どうして短いんだろう

大人になると、夏が短くなった気がする。

もちろん、実際の長さは変わっていない。

8月1日から8月31日まで、ちゃんと31日ある。

 

なのに、体感としては一瞬だ。

気がついたら8月。

「今年こそ何かしよう」と思っているうちに、お盆が来る。

お盆が終わったと思ったら、スーパーに秋っぽい商品が並び始める。

そして、「今年も終わったな」となる。

 

たぶん、大人になると一日一日の密度が変わるんだと思う。

仕事があって、予定があって、やることがあって。

休日も「休まなきゃ」と思っているうちに終わる。

 

子供の頃は、1日がものすごく長かった。

朝から遊んで、昼ご飯を食べて、また遊んで、夕方になって、夜になって。

「今日、何時間あるんだよ」

というくらい長かった。

 

今は違う。

気づけば夜。

そして気づけば週末終了。

だから余計に、昔の夏がまぶしく見えるのかもしれない。

「あの夏」は、たぶんもう戻ってこない

ちょっと寂しい話だけど、たぶん「あの夏」は戻ってこない。

同じ場所に行っても、同じ音楽を聴いても、同じアイスを食べても、あの頃と同じ気持ちにはならない。

 

それは仕方ない。

自分が変わったからだ。

年齢を重ねたからだ。

 

昔好きだった映画を今観ると、「こんな話だったっけ?」と思うこともある。

昔聴いていた曲を聴いて、「うわ、懐かしい」と思うこともある。

でも、その瞬間に戻れるわけじゃない。

 

戻れないからこそ、余計に欲しくなる。

「あの頃みたいな夏を、もう一度」

そんな気持ちが、心のどこかに残っている。

 

だから、いくら遊んでも、いくら飲んでも、いくら買い物をしても、完全には埋まらない。

だって探しているものが、今売っているものじゃないから。

それでも、今年の夏は今年しかない

じゃあ、どうすればいいのか。

たぶん、答えは「あの夏を取り戻す」ことじゃない。

今年の夏を、自分なりに残すことなんじゃないかと思う。

 

別に海に行かなくてもいい。

大きな旅行をしなくてもいい。

朝から晩まで遊ばなくてもいい。

仕事帰りにちょっと遠回りして帰る。

 

コンビニで普段買わないアイスを買う。

好きな音楽を聴きながら夜道を歩く。

休日の昼間に映画を一本観る。

 

暑すぎて何もしたくないなら、エアコンの効いた部屋でゴロゴロする。

それだっていい。

「こんなの夏らしくないな」と思う必要なんてない。

もしかすると、何年か後に思い出すのは、そんな何気ない一日だったりする。

 

「あの年の夏、毎晩あの曲聴いてたな」

「あの頃、毎日のようにあの映画観てたな」

「あの夏、暑すぎてずっと家にいたな」

そんな記憶のほうが、意外と残る。

たぶん、僕たちは「夏」そのものを探している

8月初旬。

夏はまだ終わっていない。

むしろ、これからが一番暑い。

なのに、どこか寂しい。

楽しいことをしても、何か足りない。

 

買い物をしても、映画を観ても、ビールを飲んでも、「これじゃない」という感じが残る。

でも、それは自分がおかしいわけじゃないのかもしれない。

たぶん、昔の夏がそれだけ大切だったということなんだと思う。

 

子供の頃に感じていた、あの何でもできそうな感じ。

明日も、その次の日も、ずっと夏が続くような感覚。

夕方の空を見ながら、「まだ今日が終わらないでほしい」と思ったあの感じ。

僕たちは、もしかしたらずっとそれを探している。

 

「あの夏」の続きを。

でも、残念ながら過去の続きは始まらない。

その代わり、今年の夏には今年の続きを作ることができる。

だから、今年の8月も完璧じゃなくていい。

 

予定がなくてもいい。

暑さに負けて家でゴロゴロしていてもいい。

ちょっと体重が増えてしまったことを気にしながら、夜にアイスを食べてもいい。

何となく寂しいままでもいい。

 

そういう日も含めて、たぶん「今年の夏」になる。

そして何年か後に、ふと思い出すのかもしれない。

「あの頃、なんか寂しかったけど、あれはあれで悪くなかったな」

って。

 

そう考えると、今感じているこの何とも言えない渇望感も、少しだけ愛おしく思えてくる。

結局、僕たちが探しているのは「あの夏」の続きなのかもしれない。

 

でも、本当に欲しいのは、過去に戻ることじゃない。

たぶん今この瞬間を、いつか「あの夏」と呼べるようにすることなんだと思う。