時折に 黙する妻の ひとときに

  よぎる思いに われも入りたし

 こんな句が 書かれていました。

 生きていてくれるだけでもいいと自分にいい聞かせてはみるが、

正直、つらい毎日である。

日々、妻を世話するつらさではなく、私を置いて自分の世界に

ひとりで行ってしまった妻を見ることのつらさ、そして、

妻のその世界に入り込むことのできないもどかしさ、悲しさである。 

  陽信孝 著  「八重子のハミング」 より

 

生きていてくれるだけでいいと思うことは自分にもある。

亡くなってしまったあとのことを考えると、今の方が良いと思えてくるからである。

でもつらいね。自分の場合は作者よりまだかなりましだけど・・・。

 

妻の住んでいる世界はどんな世界なんだろう?

理解しようと思うが、分かりません。

常識では考えられない世界に住んでいることがあるね。作者は偉いです。

そんな妻を見るのがつらい、いっしょの世界に入り込んで理解したいとおっしゃっている。

私はただただ「イラッ」とするだけだ。

 

私を置いて自分の世界に

ひとりで行ってしまった妻を見ることのつらさ、そして、

妻のその世界に入り込むことのできないもどかしさ、悲しさである。

 

これは認知症の妻に限らず

普通の夫婦間でもある事ではないかと思います。

自分の世界にそれぞれ行ってしまって会話できるのにしない。理解しようとしない。

 

認知症で

会話できなくなったから

気が付くことなのかもしれない。