秋の代行者『祝月撫子』ちゃんが、最強でした。
全キャラのうち、最年少にして、自分の保護官を虜にしてます。
びっくりした。さすが、秋の女王様でした。

お話しは、季節ごとに『代行者』と呼ばれる現人神がいて。
彼らが、四季を、呼び。四季は彼らに呼ばれて巡っている世界。

代行官ごとに、ボディガードみたいな存在がいて『保護官』と呼ばれます。
ある意味『代行官』と『保護官』はバディモノ。

前回は、10年ぶりに誘拐されていた『春の代行官』が春を呼んだのですが
敵対する組織と戦闘になってしまい。

『秋の代行官』も心に負傷を追うんですが、
致命的に『夏の代行官』が死にかけます。

なんとか『夏の代行官』を取り返した『代行官』達なんですが。
死にそうになってたのか、ほんとに死んでしまったのか『夏の代行官』の
死亡に伴い、次の代行官が選ばれてしまったので『夏の代行官が二人』の
異常事態になってます。

たまたま、二人は双子なので『双子神』とよばれます。

ただし、今までになかった事態であることを危惧する人々から
いろいろな口出しをされることに。

二人は、婚約者がいたのに、結婚を白紙に戻されてしまうのです。
(しかも、割と運命の恋なお姉さんときたら、新たに代行者になったことも
あって、大ショックです)


この世界の季節に関する権力争いは、割と激しいんですが。
(前提条件が、季節は廻らなければならない、ではないので)
『いや、別に、人様が、神様の代行者に命じるとか、不遜じゃね?』
と思わなくはない、状況です。

そんな中で、四季の代行者ではなく
『朝と夜』の代行者もいるんですが。

そのうちの『夜の代行者』の周りで怪奇現象が起こります。
いるはずのない、狼が、でる。
……これは春が10年もこなかったから、冬に強い狼が生まれたのでは?説がでて。

双子の代行者もいるし。
狼もいるし。
ついでに春の代行者も怪しいし。

ってことで、再び、四季とも『代行者』を殺して
新な『代行者』に替えてしまえ、的『挿げ替え』が、犯行されようとしています。
(代行者には、敵が多いのですね)

そんな中、まず『夏の代行者、双子』が、怪奇現象の起きている島へ。
続いて、春・秋・冬の代行者が、島へ向かう……というのが、メインの流れです。

細かく書けば、『双子だった夏の代行者の姉に対する罪悪感』とか
『妹に対して隠している気持ちがあふれ出て家出しちゃう姉』とか
『そのお姉さんの方に、魅かれて契約結婚を言い出すんだけど本気な婚約者』とか。

隙あらば、デートに誘う『冬の代行者とラブラブな春の代行者』
『なんだかんだ言って、昔から春の保護官の事を大切にしてる冬の保護官』
『ここにきて、春の保護官を婚約者にしてその身辺を守ろうとする春の代行者義兄』

『事態を説明するのに、子供言葉を使う秋の保護官』にたいして
『自分のしたいようにキスしてくる秋の代行者、しかも女王様気質』

『夜を呼ぶ代行者は、妻を守り人に取られたっぽいんだけど、訳あり』
『守り人がいないから、来たボディーガードが結構気に入ってしまった代行者』
『割と、イケイケで代行者の方がドン引きしてる二人の生活』
『家事が得意な代行者、妻が出てった理由は自分の存在価値にあるんじゃないだろうか』説。

などなど、読み応えのある、小さな模様のようなお話がたくさん詰まってます。

戦闘的、かつ、政治的で、あまり明るい話ではないのですが。
少しづつ、読むととっても幸せな気分になる、不思議なお話です。

今回も上巻だけで515ページ(2.7センチ)
読み応えはあるシリーズです。

(このシリーズの不思議な魅力は、手元に置きたくなるんですが。
購入したら、きっとそれで満足してしまいそうな気もする……)

「春夏秋冬代行者 夏の舞 上」 暁 佳奈[電撃文庫] - KADOKAWA