ペテルブルグからカザンに帰ってきて、二週間が経った。
ロシアでも夏は暑いはずなのに、最近の気温は20度前後。毎日夕方にひどい雨が降る。
月曜日に恋人と別れた。
彼女とは、初めて言葉を交わした次の日にセックスをして、その一週間後から付き合った。その一か月後には結婚の話をした。
それから二ヵ月間、彼女が実家に帰っているあいだ遠距離になって、僕は待っていた。月曜日に彼女は帰ってきたけれどまだ会っていない。いちど友達にもどりましょうとだけいわれて、理由はまだよくわからない。
彼女はなんの不満も不安もなく僕と一緒になるつもりなのだと思っていた。そこに僕は不安を感じていた。たぶん、実は相手も不安だったのだろうと思う。
昨日会うつもりだったけれど、雨が降ってきて彼女は来なかった。
「私、傘をもっていないの」と。
今日も会うつもりで待っているけれど、来るのかどうか分からない。また雨が降るかもしれない。まだ連絡はない。
案外元気に振舞っているけれど、僕はけっこうボロボロなのかもしれない。
昼には煙草を吸って本を読んで、夜には酒を飲んで小説を書いている。
なるべく神経が立たないように、気を付けている。
そう、最近、自分にしては珍しく小説を書いている。
主人公はレズビアン。以前ぼくが夢中になっていた人間関係があって(恋愛関係とも友人関係ともいえない)、その人の話。その出来事から一年以上が経って、いま想い出すことと、いま自分が考えていることなどを、小説に書いてみようと思った。
その小説に僕は登場しない。
いま読んでいるのは、吉行淳之介の「暗室」。
そこにもレズビアンが登場する。この不器用な作家も、僕と同じことを考えたり迷ったりしていたのかなとか、思いながら読んでいる。彼のなかでは一番いい小説だと思う。
思ったよりもたくさんブログを閲覧していただいて、嬉しいです。