白樺の樹の絵画をふたつ

 

 

 

その1 イワン・シーシキン(1832年生まれ)

 

視覚的にリアル。写真のよう。物差しで測ったような絵。

Шишкин «Ручей в березовом лесу» 1883 год. Описание картины

 

僕はシーシキンの絵があまり好きではない。

モスクワのトレチャコフ美術館にたくさん飾ってあったけど、たいした感動はなかった。

 

 

その2 アルヒープ・クインジ(1841年生まれ)

 

光と影の美しい対称。

Three of Arkhip Kuindzhi's works (of various resolutions) : r/wallpapers

 

 

クインジは最も好きな画家のひとり。

僕はこの絵をモスクワで観たとき、そのあまりの迫力に言葉を失くした。

これが本物の白樺だと思った。この絵は実物の白樺よりも白樺に近いと思った。

(またプラトンの話になるが、)白樺のイデアがあるとしたら、それに最も近いものをクインジは描いた。

(僕の心のなかの理想の白樺イメージに最も近い白樺だったということ。)

 

 

これらの絵を観にモスクワへ訪れたのは、一年前のこと。

モスクワからロシアの田舎へ帰ると、白樺の林がもう葉をつけていた。

そこに日が差す様子と、クインジの描いた風景とが、僕の心のなかで重なる。

 

 

今借りているアパートの窓からは、触れられるくらいのところに立派な白樺の木が伸びている。白樺の葉は風に吹かれると、カラカラと渇いた好い音がする。