よく知られた怪談で吹雪の中、巳之吉は猟師仲間が雪女に殺されるのを見たが 

巳之吉は若いから雪女に殺されずに済んだが雪女にこのことを口外するなと約束させられる 
間もなくして巳之吉は雪女に似た若い娘、ユキと出会い結婚し子供を授かる 

それからかなり年月が経った吹雪の晩に巳之吉が雪女に出会った時のことをユキに語り 

ユキがあの時の約束を持ち出し、本来なら殺さなければならないが子供がいるのでと 
立ち去っていく 


この作品もベースとなるのは一般的に知られている雪女ですが 

雪女は原作を読んでも解釈が数多くあると言われますから従来の頭にあるストーリーとは細部に於いては違うものになっています 

原作は100年以上に書かれた小泉八雲の怪談の一部で時代設定も相当昔のようですが 

ここでは猟師を辞めて巳之吉が会社に勤める………つまり会社があるぐらいなので近代になってからの出来事 

ユキは素性の知れない女性という設定ですから結婚も通常の婚姻届を提出して成立する結婚ではなく事実婚(内縁関係)だったと思われます 

ユキの娘のウメが成長して中学生になってから周りで変死事件が相次ぎます 

従来の雪女にはなかったのはここで雪女の血を引く娘にもその遺伝子が継がれている 
ユキと巳之吉の別れのシーンはやはり言ってはいけないあの事を言うのですが 

うかつに言ったというのではなく雪女やユキと出会ったこととかけがえのない人達の命を失ったことの後悔を踏まえた上での告白なので切なくも説得力があります 

雪女・ユキ役には監督でもある杉野希紀さん 
 
雪女役ですからもちろん美貌の持ち主で 

役柄としては全体のストーリーにも言えることですが静かな女性です 

杉野さんの出演作は数あれどほとんど単館系のミニシアターが多いですから 

一般的に名前を知られていないと思いますがその作品からしたらもっと知られてもいいと思います 

私が観た杉野さん出演作としては、クリアネス、欲動の2作品 

欲動の直後の禁忌は内容的に激しい印象がありましたが敢えて観なかった 

杉野さんは女優ではありますが、プロデューサーや監督としての顔を持っていますから 

これからその面での活躍も見逃せないものはあります 

なお鑑賞したのが昨日のラストの回で 

しかもサプライズで鑑賞後のトークショーがありました 





特にMCは居なくて杉野希紀監督(主演)と美術スタッフのビビさん(オネエ系か?)との二人のやり取りで 

杉野さんとビビさんのトークが上手すぎてわずか10分にも関わらず中身の濃いものでした 

失敗だったのは私の座席が後方で当日のチケット取得時にはトークショーについて告知がないのでそれが心残りかな(;^_^A 

あっ!本作はR指定ではありませんが杉野さんのヌードシーンもあります 

それ自体は本作の目玉でもありませんが 

……全体的には静かな流れで舞台となる山里の村の情景や伝統行事などを取り込んだのも作品の見どころではあります