SFアニメ作品では核兵器の存在をどう扱うかは曖昧になっている場合が多いです。気持ちはわかります。核兵器を野放しにすると見せ場である多くの戦闘シーンは成立しなくなります(このことは第47回でも書きました)。しかしその点ガンダムはさすがで、きちんと設定されています。0079年1月31日の南極条約で禁止されたことになっています。
以降、劇中ではわざわざ違反例が描かれています。0079年ではマクベ司令とユーリ少将がオデッサの戦いで敗戦濃厚になるや使用。マクベの放ったものはガンダムに迎撃されたましたがユーリのそれは追撃する連邦軍部隊を壊滅させています。局地的効果の戦術核だったようではあるがユーリの言った「ただの気化爆弾」でないことは明らかとされています。また0083でコンペイ島での連邦軍観艦式でガトーが駆るガンダム2号機が放った一発の小型核弾頭がまるで戦略核かのように連邦軍艦隊を消滅させたのは一番記憶に残るところです。
話を戻して、今回本題としたいのは一年戦争の開戦日1月3日から南極条約締結の間にあった「一週間戦争」や「ルウム戦役」では一体どうなっていたかということです。ここはどうもぼかされている気がます。ガンダムほど公開から約40年を経ていろんな考証、検証、追加設定や解釈が行われてきた作品はありません。まさにガンダムワールドたる所以です。その先駆けとなったのが1981年発行の「ガンダムセンチュリー」という解説本で、大袈裟でなく伝説的な考証資料となり、ガンダムワールドの構築はここから始まったと言ってもいいかもしれません。その中にこんな一文があります。「ザクの持つ核バズーカは一撃で戦艦を葬り…」
確かに後の他の考証やOVA等では核で灼かれたとしか思えない漂うコロニーや戦艦も出てきます。しかし一方で核兵器の使用を全く感じさせないルウム戦役での戦闘シーンや、ブリティッシュ作戦で地球に落下しようとするコロニーを懸命に通常兵器だけで破壊しようとするティアンム艦隊の姿などもあります。