これは


私が17才だった頃の話。





山口県に住んでいた私は


公立高校に通っていました。


その中で


同じテニス部に属するPは


一番心許せる友人で


よくPの自宅に


泊まりに行っていました。





とある日曜日。


Pのお父さんが


Pと私を


山口県立美術館へ


連れて行ってくれました。





確か


海外の有名な画家の


特別展示展で


入館料も


常設展示とは異なり


それなりにかかりました。






当時


高校生の私は


所持金はなく...





“当たり前のように”


Pのお父さんは


私の分の入館料までも


払って下さいました。





その時私は


訊ねました。




「私は


 絵を観ても


 よく分かりません。


 なのに


 入館料を払って貰って


 申し訳ないのです。」




すると


Pのお父さんは


こう応えました。





「今


 分からなくても


 いつか


 分かる日が来る。」







Pのお父さんは


実娘と私と


“変わりなく”接してくれていました。





美術館を観た後には


素敵な雰囲気の


喫茶店で


美味しいケーキを


ご馳走までして下さったこと...。






月日が過ぎて


社会人となった私は


自然と


美術館へと


足を運んでいたのです。




気付けば


半月ほど


京都に滞在し


寺の造形美を


見て回ったこともありました。







28年過ぎて



分かったことは...




Pのお父さんは、


美しさを


観ることができるよう


心の在り方を創るべく


種蒔きを


して下さっていたこと”






言葉で


くどくど


押しつけがましく


言うのではなく...





優しく、温かく、深く見守る...





それを


実娘の友人である私にも


“愛”として


注いで下さっていたこと。







いま


やっと


分かりました。






そして


気付けば


20年ぶりに


「山口県のお父さん」と私が呼ぶ


Pのお父さんに


再会することに


なりました。







山口県のお父さん。





お父さんの植えた種が


やっと


芽吹きました。





お父さんの目に


私という芽は


どう映るのでしょうか...。







お父さん


ありがとう。





私は


“美しいもの、素晴らしいもの”が


やっと


本当の意味で


分かり始めています。




そして


気付けば


お父さんと同じように


3人の子どもたちを


“美しいもの、素晴らしいもの”が


感じられる場所場所へと


連れて行っていました。




お父さんの撒いた種は、


さらに


新しく拡がっていっています。










熊本県合志市野々島

なぎの木整体

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