こんちは
昨年来のSSD値上げも落ち着いてきました。
そんな値上げ真っ只中の2024年1月にSamsungから新製品が発表されていました。
Samsung 990 EVO
990シリーズのEVO版ということで、期待していた方も多かったと思います。
ただ、先代EVO(970 EVO Plus)から『Plus』が消えており、イヤな予感がしていました。
セールスポイント
4つのセールスポイント
HPで記載しているように、規格の特性よりも『放熱性・転送速度・省電力・多用途』をセールスポイントにしています。
この特性であれば、ノートPCに最適化と思われますが、実際は注意点があります。
既に残念な点
・HMB(DRAMなし)
・最大読込速度 5,000MB/s
・最大書込速度 4,200MB/s
上位グレードとのスペック差(=価格差)がなければ、990 PROが売れなくなってしまいます。通常使用で、転送速度の差を体感することはありません。この程度の転送速度で必要十分です。SSDなどの記憶媒体はメーカーの信頼性が非常に重要なので、販売価格次第で売れ筋にもなれたことでしょう。990 PROの不具合は忘れていませんが。
販売価格
990 EVO 2TB
990 EVO 1月24日:約26,000円前後
990 PRO 2TB
990 PRO 1月24日:約26,000円前後
990 PROと同じ?
実際、Youtubeでも『価格が高すぎる』等のレビューがありました。
上位グレードの990 PROと同等の販売価格ですので、当然のこと。
しかし、この製品の真の特性はGen.5×2に対応している点です。
特性
Amazonでも販売されているGen.5のSSDはGen.5×4です。転送速度10,000MB/sで使用できますが、Gen.3でも体感差はありません。動画編集時に効果を発揮するかもしれませんが、一般的に動画編集する人ばかりではありません。そもそも、Gen.4で十分なはずです。SSD側で帯域を×2にすることで、マザーボード側での分岐機能が不要になるのかもしれません。詳しくは知らんけど。
メーカー側が今さらGen.3世代で新製品を出す必要性もなく、下位互換で動作します。だったら、2規格(Gen.5×2/Gen.4×4)で転送速度5,000MB/sの製品で長期的に生産しようと考えたのでしょう。多分。
長期的な生産は、エンドユーザー側には『供給価格が安定する/値下がりが期待できる』というメリットがあります。メーカー側も部品調達レートの平準化や、安定生産によるコスト削減が図れます。
現在の価格
そして、販売3カ月経過した今、大きく値下げされました。
Amazon価格 19,900円(▲6,000円)
長期的な販売戦略か、全く売れなくて焦ったのかは不明ですが、初値から▲6,000円程度の値下げとなっています。
SSDの値上げトレンドに一石を投じたように見えますが、値上げの一石を投じたのもコイツらです。騙されないでください。
先に記載したように、2規格対応(Gen.5×2/Gen.4×4)なので、長期的に使用できると思い購入しました。
外観
他サムスン製品のような黒でなく青のパッケージ
WD SN770のような簡素な構成
片面実装
CrystalDiskMark
Asrock Z790/M.2H-PCIE経由
M.2H-PCIE(玄人志向)
Pcie変換ボードに接続したことで、転送速度に悪影響が出た可能性もありますが、『Solidigm P44 Pro』ではマザーボード接続と比較しても大きな影響はありませんでした。可能であれば、変換ボード等は使用しない方が良いでしょう。
現実として、読込5,000MB/s・書込3,700MB/s程度あれば、十分実用的だといえます。
実転送速度
Samsung 990 PRO 2TB(CPU直結/OS)から対象ドライブへ500GB(1ファイル)を転送させ、実使用での転送速度を計測します。
参考:990 PRO 2TB
参考:テストファイル
100GB
300GB
速度が不安定に...
350GB
1.5GB/sに復活
少し回復するも...
500GB
1.5~1.7GB/sで終了
990 EVO 実転送速度
・開始~100GB:2.5~3.0GB/s
・100~350GB:0.4~1.2GB/s
・350~500GB:1.5~2.7GB/s
若干不安定ですが、実使用で問題となることはないと思います。そもそも500GBも一気に転送する使い方をする人々が、この製品を買うとは思えません。違うの買いなさい。
970 EVO Plus 実転送速度
ついでに『970 EVO Plus(DRAM有/Gen.3)』の実転送速度も計測してみました。
1.4GB/sド安定
落胆してしまいそうですが、実使用で重要なのはランダム性能です。
ランダム性能もアップしているので心配ありません。良い気分はしませんよ。
放熱性
HPでも大々的にアピールしているのが『放熱性』です。熱センサーは3点設置されており、有象無象の中華製とは違います。一般的に1番発熱するのはコントローラー部です。
ベンチマーク計測時
76℃
お前...
話が違います。
純正ソフト(Samsung Magician)に表示される温度は1番低い温度(3番目)です。
『M.2H-PCIE』はヒートシンクが付属しており、ノートPCより冷却性に優れています。また、私のケースは『Fractal design North』であり、サイドパネル側から14cm吸気ファン×2で風を当て続けています。前面に12cm吸気ファン×3、天面部は14cm排気ファン×2、後面に12cm排気ファン×1が常時稼働しているバカ仕様であり、冷却性に懸念はありません。
おそらく、『スマートな放熱』は 『(970 EVO Plusより)スマートな放熱』という意味だったのでしょう。
970 EVO Plusは極悪とも呼べるくらいに熱くなる製品でした。ヒートシンクをつけずにベンチマークを走らせると、95℃を誰でも簡単に記録できるヤバいやつでした。確かに、『970 EVO Plusに比べればスマートな放熱』であり、嘘ではありません。
ノートPCでの使用時に高熱になった場合、サーマルスロットリングが動くので故障のリスクは小さくなります。
まとめ
良い点
・Gen.5×2、Gen.4×4(両規格対応)
・片面実装
悪い点
・DRAMなし
・他製品に見劣る転送速度
・疑わしい放熱性
・同価格帯で優秀な他社製品がある
・良い点を探すのに苦労する
初値は上位グレード(990 PRO)と同価格で論外でしたが、大幅な値下げが実施されたことで、手頃な価格になりました。DRAMレス・Gen.4の転送速度を活かせてない点から敬遠されがちな製品でしたが、Gen.5×2使用できることから、将来的にも長期使用できる製品だと言えます。転送速度が注目されがちなSSDですが、転送速度より、長期的に使用できる仕様である方が一般的にはメリットは大きいです。普通は年中買い替え続けるパーツではありません。新規格を買い続ける層が特殊なのです。2TBモデルは1200TBW(1TB:600TBW)であり、普通に使う分に使い切ることはないでしょう。通常使用者向けの製品であり、不満なく使える製品であることに違いはありません。私は不満です。
ベンチマークガチ勢向けの製品ではありませんが、安定して長期的に使用できる製品だと思います。
おしまい