こんにちは

 

AS5404Tを購入しました。

 

新機種が出るたびに購入していたのでAsustor製NASが3台共存する環境でした。

 

AS6602T、AS5202T、AS4002Tに不満はありませんでしたが、DS923+が非常に優秀だったため、Asustorは1台に集約することにしました。

 

 

結論から言えば

 

 

『総合的にSynology DS923+』

 

 

なぜこういった結論に至ったのか、DS923+と比較しながらレビューしていきます。

 

 

【仕様】

 

 

上図のように、仕様は圧倒的にAS5404Tの方が上です。

 

なお、両機種ともに下記のように構成を変更しています。

(※M.2 SSDはNvme対応/NGFFは不可)

 

メモリ:DDR4-3200 8GB×2枚(2400Mhz動作)

SSD:KIOXIA EXCERIA G2 1TB×2枚DS923+

    KIOXIA EXCERIA G2 1TB×4枚AS5404T

    ※両機種ともに読書キャッシュ有効

 

では、主要な仕様部分と体感速度を評価していきます。

 

【CPU】

 コア数と消費電力でAS5404Tの方が優秀です。しかしながら、両機種ともに写真フォルダ10,000枚を読込し、サムネイル生成時間等を比べてみましたが、あまり変わりは感じません。仮想マシンを常時稼働する場合、AS5404Tの方が有利です。

 

【PCIレーン】

 両機種ともに仕様は同じ3.0×8ですが、使途が違ってきます。

 

・AS5404T:M.2 SSD 42.5Gbe×2

・DS923+ :M.2 SSD 210 Gbe×1、1Gbe×2

 

 最大転送速度(10Gbe)を重視するのであれば、DS923+の方が優秀ですが、別売なのでコスト面では優れていません。対して、AS5404TはNvme4スロットもあり、標準で2.5Gbe×2ポートあることから、コスト面で非常に優れています。

 また、10Gbe環境であればDS923+が有利になりますが、まだまだ普及している状況とは言えません。Asustorは一般家庭であれば、2.5Gbeで充分との判断なのかもしれません。知らんけど。

 但し、後述しますがNvme4枚の有用性に懐疑的な面があるのも事実です。

 

 また、SynologyのDSM(管理画面)はSSDのベンチマークを計測できますが、AsustorのADMではベンチマークの計測はできません。Pcie3.0×1で動作しているかもしれませんが、最大転送速度が2.5Gbe限度と考えると、性能要求値は満たしてるとも考えられます。知らんけど。

 

 

【USB】

 ポート数でAS5404T(10Gbps×3)の方が優秀です。前面に1ポート・裏面に2ポートあり、純正の拡張ユニット(AS5004U/AS6004U)が接続可能です。あまったHDDやSSDをUSBケースで拡張できる点は両機種ともに共通です。

 

【販売価格】

 コスト面ではAS5404Tの方が圧倒的に優秀です。別売オプションを購入する必要性が低く、標準で能力を最大限に活かせています。DS923+の能力(仕様)を最大限に発揮するには10Gbe接続が必須であることを考慮すると、コスト面で優れているとは到底言えません。2.5Gbeを標準搭載されれば問題ないのですが、PCIレーンの帯域から対応できないのか、オプション品で対応したいからなのか意図は不明です。

 

 

 上記のように、AS5404Tが圧倒しています。

しかし、実際にはそうとは言えない点が多々あります。

 

 

【1】SSD(読書キャッシュ)

 Nvme SSDは1枚あたり:Pcie 3.0×2の帯域で使用されます。

AS5404TはNvmeにレーン全振りの男前使用です。SSDキャッシュ使用だけではなく、保存可能なボリューム(容量制限なし)として使用可能です。

Synology製品では、純正のSSD(高価/最大800GB)だけが保存可能なボリュームとして使用することができます。

 AS5404Tでは3枚のSSDをRaid5でキャッシュ使用、1枚のSSDをボリュームとして使用することが出来ます。1TB×4枚であれば、キャッシュ2TB/ボリューム1TBとして使用可能であり汎用性に優れています。ボリューム用に4TBのSSDを搭載すれば、同社製品のFS6706T(M.2 SSDのみのNAS/2.5Gbe×2)を脅かすポテンシャルがあります。

 

ですが...

 

 SSDキャッシュを有効にした場合、システムやサムネイル作成等のレスポンスは劇的に改善しますが、1GB超ファイルの削除時にレスポンスが著しく悪化します。キャッシュ無効の方が早い時もあります。ファイル削除中は読込速度も悪化します。これはAS6602Tの時も同様でした。削除時だけレスポンスが異常に悪いのです。特にMacでは顕著に発生します。

 

 DS923+の方はレスポンスが極端に悪化することはありません。SSDキャッシュを有効的に活用できているようです。どうやらキャッシュ生成方法に要因があるようです。

 

 AS5404Tはファイルサイズの大小に関わらず、アクセスしたファイルを常にキャッシュに貯め込み、キャッシュ容量が限界に近づくと不必要なキャッシュを順次削除していくようです。貯まったキャッシュ内のデータとHDDデータを同時に削除しているので、レスポンスが極端に悪くなるようです。地味に苛立ちます。

 DS923+はアクセス頻度が高い少容量ファイルからキャッシュに貯め込む挙動のようです。キャッシュ容量が非常に緩やかです。DSM内の『SSDキャッシュアドバイザー』で適切なキャッシュ容量の診断をしてくれますが、使用方法によって診断結果が大きく変わります。インデックス作成時・ウィルスソフト・Drive Clientが全力で稼働している時に、レスポンスが若干悪化する程度です。

 

 SSDをキャッシュ利用する目的は、HDDの弱点であるランダム性能の向上を図るのが主であるにも関わらず、レスポンスが下がるのは釈然としません。AS5404Tに限っていえば『SSDだけでボリューム作れるよ』を売りにした方が良いかもしれません。

 

【2】純正ソフト

 以前の記事にも掲載しましたが、純正ソフトはSynology社の方が圧倒的に優れています。Asustor社の純正ソフト(バックアップ・ファイル同期等)はMac非対応です。Windowsだけの環境なら全く問題になりませんが、Asustor製品はMac/Win共存環境には向いているとは言えません。

 

 

【3】10Gbe

 DS923+は10Gbe(別売)に対応しています。AS5404Tのように内部SSDをボリュームとして使用することは出来ませんが、USBポートに外付けSSDを接続して単体のフォルダとして使用することができます。以前の記事のように、USB SSDでも実測1,000MB/s超の運用が可能であり、10Gbeの恩恵が非常に大きいです。大容量ファイルの保存がメインならば、10Gbeは必須です。但し、純正10Gbeアダプタは高額です。

 10Gbe環境でないのであれば、2.5GbeのAS5404Tでも快適に使用することは可能です。

 

 

 

AS5404T

良い点

 ・省電力(10w)

 ・標準仕様でも快適に使用できる

 ・M.2 SSDが4枚搭載可能

 ・M.2 SSDをボリュームとして使用可能

 ・USBが3ポート

 

悪い点

 ・キャッシュ有効時、ファイル削除のレスポンスが悪化する

 ・10Gbe非対応

 ・Mac非対応の純正ソフトがある

 

 

DS923+

良い点

 ・システム全体のレスポンスが良い

 ・10Gbe対応(別売)

 ・10Gbeなら外付けSSDでも高速転送可能

 ・Win,Mac共存でも安定している

 

悪い点

 ・純正以外の内臓SSDにはデータ保管できない

 ・10Gbeアダプタが別売(約20,000円)

 ・性能を活かすには10Gbeアダプタが必須

 ・外付けSSDケースに相性問題がある

 

 

 

【まとめ】

 AS5404Tの標準仕様は優秀です。将来的に長く使い続けることも可能です。DS923+に対し、唯一の欠点が10Gbe接続ができない点ですが、10Gのネットワーク環境が構築されていなければ関係のない話です。現在のマザーボードは2.5Gbe端子が標準搭載されていることが多く、実際は2.5Gbe接続でダイレクト接続すれば、快適に使用することができます。但し、SSDキャッシュ有効時のファイル削除の際に、やたらレスポンスが悪化する点だけは頂けません。Macユーザーには優しくない仕様なのは相変わらずであり、便利な純正ソフトが軒並み非対応なのも変わっていません。Windowsユーザーに割り切っているのかと思えば、ホームページに『ASUSTOR + MacBook Pro + Final Cut Pro = 無限のポテンシャル』と記載しています。他社はMacに対応していることが多いので、もう少し頑張って欲しいところです。内部SSDを独立したボリュームとして使用できる点は非常に優れています。Synologyのように『純正SSD以外は記憶域として使用できない』ということもなく、4枚のM.2 SSDを好きように設定できるのは大きな利点です。

 

 DS923+の標準仕様は1Gbe接続のみの点が、非常に残念です。小容量ファイルの保管先だけであれば、1Gbeのみでも良いのですが、実際は大容量ファイルも保管する使用方法が多いと思います。その際に1Gbe接続だけでは力不足になります。別売の10Gbeアダプタ(2.5Gbe接続も可)で解消されますが、別途20,000円程度のコストが発生します。10Gbeアダプタを一度購入すれば快適に使用できます。外付けSSDに10Gbps接続が可能になりますが、やはり本体と別途で追加費用が発生するのは残念な点です。また、Macとの相性も良く、大きなトラブルが発生したこともありません。純正ソフトも問題なく対応しています。内臓SSDを独立したボリュームとして使用することは出来ないデメリットもありますが、Windows・Macが共存している環境でも、大きなトラブルもなく使い勝手が良いのは非常に優秀です。

 

 Windowsユーザー(Macを使わない)で倉庫のような使用がメインであれば、AS5404Tで充分満足できると思います。

 Windows・Mac共存環境、10Gbeのネットワーク環境が整っているのであれば、DS923+(10Gbeアダプタ付き)が良いかと思います。

 

おしまい