中国共産党中央宣伝部、略称「中宣部」は言わずと知れた中国の言論統制の最高権力機関。中国人にとっても、ことあるごとに耳にするものの、その正体はベールに包まれたまま。しかし、そこはネットの力。このほど、北京外国語大学国際宣伝研究センターの喬木・主任は自らのブログで、中宣部に立ち入った時の見聞録を披露した。当然のことながら、ブログ文は、中宣部の命令のもとか、すぐに削除されてしまったが、それよりも早く転載した海外のサイトにはまだ残っている。ここはその抄訳である。
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『初めて見る中宣部』
北京外国語大学の国際ニュース宣伝の修士課程にかかわることで、ほかの5つの試験校関係者と一緒に中宣部や教育部の会議に呼ばれることがある。以前は出張や職階が足りない、またはその他の事情で中宣部の会議には出られなかったが、11月25日に会議への参加通知が来たのだ。議題や日程などは通知に書かれたものの、中宣部の住所はない。同部の某棟某会議室と書いてあるだけで、参加者氏名と車のナンバーは事前に某連絡人に報告するようとも書かれていた。
ボスは忙しいので私1人で行くことになった。公用車なんて偉そうだし、タクシーはもったいない。自分の車だと駐車場探しも大変そうで、結局は公共交通機関で行くことにした。
でもちょっと待って。中宣部ってどこにあるんだ?アメリカの衛星地図には載っているらしいが、中国の地図だとどこにも出ていない。党中央に近いのはわかる。というか、党中央そのものだろうが、具体的な住所、どの通りに行けばいいのかもわからない。事前に受けた電話は番号8桁が全部ゼロだった。神秘めかしているのか、人には言えない秘密があるのかは知る由もない。
おそるおそる通知に書かれた某連絡人に電話をした。「中宣部はどこですか?」と聞いたら、車でどこをどう走ればいいかの回答が返ってきた。「車ではなく、地下鉄で行きます」とさらにおそるおそるに伝えたら、相手が驚いたのか、一瞬言葉につまってから、どの地下鉄でどう行けばいいかを教えてくれた。
まず地下鉄で北京の某繁華街まで出た。目指す場所は近くにあるはずだが、見つからない。何人かに道を聞いたけど、誰も知らない。しようがないからもう一度おそるおそるに某連絡人に電話を入れた。今度はその指示通りに歩くと、表札の出ていない大きな入り口があった。武装警察も警備しているから、ここに間違いない。
しかし、誰かが迎えに出てくれないと入れない。我が党は地下政党の歴史が長かったから、執政政党になっても依然として秘密工作の良き伝統を保っているのだ。たとえその機構がいまや中国でもっとも権勢を持っているにしても、その影響力が万能たるインターネットもお手上げなぐらい強力だとしても。
さて、私は無事某棟の会議室に入った。中は広く明るく、凝った装飾が施されており、設備も最新であることは言うまでもない。壁には大きな文字で書かれていた:
「責任は山の如く、勤勉は牛の如く、細心は髪の毛の如く、秘密を守ることは封じた瓶の如く、団結は1人の如し」
このスローガンの前半についてはコメントしないことに。気になるのは、皆「秘密を守ることは封じた瓶の如し」としたら、どうやって「団結は1人の如し」を実現するのだろうか。
私も「秘密を守ることは封じた瓶の如し」を徹するべく、会議の内容を言わないことに。会議は始まってしばらくすると終わった。食事の時間になったけど、招待されることはまずない。教育部の会議に出た時もそうだった。中国では上の人が下へ視察に来た時は、下は必ず素晴らしいゴチソウを捧げ、帰りにさらに記念品という名の貢ぎ物も捧げるが、下の人が上に来た時は、「門は入り難く、顔色は見難く、話は聞き難い」というのは一般的。座らせてもらい水でも飲ませてもらえたらもう御の字のつく待遇だ。公金での飲み食いを減らし、「腐敗反対・清廉提唱」の事業はここでは大成功のようだ。
一緒に会議に出た復旦大学の先生方は、教育部や宣伝部の1~2時間の会議のためにわざわざ、はるばると上海から飛んできて、会議で得た党の理念・方針を大学に持ち帰り実行するのだ。
会議が終わって外に出ると、敷地内に並ぶ豪勢な建物を見回った。そして、最低ランクがアウディの高級車たちもずらりと止まっていた。警察局でも国防部でもないのに、車のほとんどは「京○」(訳者注、北京市当局用車)か軍のナンバープレートになっていた。交通ルールや信号をもおかまいなしに縦横に走るためのナンバープレートだろうか。
出口の大ホールには、地方からの献上物がいっぱい。雲南の大理から送られた巨大な大理石だけを例に挙げよう。山や雲のような天然模様に彩られて鎮座したこの大理石はまるで山水画のようで、見る者を陶酔させ、あれこれと思いを馳せさせる。
他の宝物も1つ1つ豪華絢爛だが、「秘密を守ることは封じた瓶の如し」だから、言わないでおこう。
門を出ると大小の車が大賑わい。従うものは栄え、逆らうものは滅びるのさ。