次の日目が覚めると晴天。

南仏の夏にはあまり雨が降らないそうで、私がいた3ヶ月の間で雨が降ったのはたったの2回ほど。しかもそのほとんどが雷を伴う通り雨で
乾燥した大地にとても心地よく感じました。ある時運転中に雷が鳴りだし、平な土地に目立つ小高い丘の上に雷の稲妻が光り、紫色に染まる空とその景色がとても幻想的でした。

住み始めた部屋は広い草原と、遠くにアルプスの山々が見渡すことのできる素敵な場所。一度この通り雨が降った夕方に、遠くのアルプス山脈を背景にして大きな虹が出ました。この庭は私たちのお気に入りで、フランスに着いた次の日の朝食も、近くのパン屋で焼きたてパンを買い、この庭で頂きました。
朝、パン屋さんへ行くために外へ出ると、庭の石積みの壁一面に、赤、白、ピンクのバラが私を迎えてくれました。オレンジ色の朝日と甘いバラの香りは、今でも私のサミシェルのイメージとして強く心に残っています。

バラ栽培が大きく発展したのは19世紀以降のため、1800年を境にオールドローズとモダンローズに分けられているようです。モダンローズに関わるバラの原種はたったの8週類ですが、ワイルドローズだけでも100種類以上のバラが存在するとか。
ナポレオン1世の妃ジョセフィーヌは1802年にマルメゾン宮殿の庭から世界中の250種類ものバラを集め、品種改良を行い、改良に努めた園芸主任アンドレ デュボンが世界で初めて人口交配を成功させました。現代のバラの代表は1867年に作られたハイブリットティ、「ラ フランス」。うすピンク色のこのバラもとても可愛く魅力があります。

バラのあの誇り高い咲き方は、歴史の中でもたくさんの人を魅了したのですね。
バラの咲くサミシェルのあの庭は、今でも思い出の中で、私を魅了しています。