~ 海賊チャンの『おとぎ話』2 ~
その『王子』は、海の事を何にも知らなくてよ …
ガキみてぇに目ぇキラキラさせて、あれこれ平気で聞きやがんだ …
その海賊船のキャプテンのとこへ聞きに来りゃいいのに …
手下ん中で、一番怖ぇ面の片目の男にもニコニコ話しかけやがって …
女子供にゃ、とても好かれねぇその片目の男も『王子』は気に入ったらしくて、珍しく口数が多くなってよ …
その片目のオッサンらしくねぇなぁって可笑しくて、可笑しくて …
ますますキャプテンは、『王子』を帰したくなくなっちまって、何とかソイツを引き止めようと考えた …
ま~、海の上じゃ逃げ場もねぇから、じっくり攻めようなんてのんびり構えてたら、その日の夜、かなりデケェ嵐に遭っちまって …
ソイツぁ、初めて味わうだろうに大揺れの甲板に出て来やがって、自分はビショ濡れになりながら、キャプテンにタオル持って来たんだ …
なっ、バカな奴だろ …
あんな嵐ん中、タオルなんて何の役にも立たねぇし、自分は拐われて来たってぇのに …
本当に、バカ過ぎて …
キャプテンは、コイツの為なら何でもしてやれるってぇ思ったんだ …
海賊なんて、その持ってる金銀財宝を目当てか、やってもいねぇ罪をきせて『縛り首』にしてやろうとする奴らしか近寄って来ねぇのに …
損得なしで、自分を助けようとする奴をキャプテンは生まれて初めて見た …
キャプテンは、その姿を見てソイツを自分のモンにしてぇって、ずっと側に居させてぇて思っちまったんだ …
迂闊にも、ソイツが海賊の天敵みてぇな『王族』だって事も忘れてよ …
だけどソイツぁてんでガキくさくて、男慣れした女しか抱いた事ねぇキャプテンは、どうモノにしていいか分からなくて …
今、思えば …
嵐をやり過ごしてソイツが眠るベッドに戻った時、無理矢理にでも抱いちまえば良かったんだ …
男の『王子』だと思ってた奴が、実は女の『王女』だって気づいちまったんだからよ …
ソイツは何の疑いもしねぇで、そのキャプテンの部屋のベッドでスヤスヤ寝てた …
大嵐の後だってぇのに、幸せそうな面ぁしやがってよ …
ガキの頃から、汚れた海賊暮らしのキャプテンにゃソイツが男でも女でも、どっちでも構わねぇ …
決して手ぇ触れちゃイケねぇ、背中に羽根の生えた天使に見えたんだ …
キャプテンは、自分でも女好きだって自覚してたんだけどよ …
『天使』に見える女の抱き方はさすがに思い付かなくて一晩中、その寝顔を眺めてた …
拐って来た馬車ん中で、スゲェ驚いた面のコイツ …
モジモジと自分の名前を名乗る、どんくせぇ面のコイツ …
恥ずかしそうに、部屋の隅で男モンのダブタブのシャツに着替えるコイツ …
どれもこれも、よくよく考えりゃ女だって分かりそうなモンなのによ …
海賊の頭領だなんて、イキがってたクセに情けねぇ男さ …
えっ、あ~、う~ん …
女には目がねぇから、そりゃシャツをひっぺがして抱こうとしたさ …
でも、ソイツに泣かれて …
だいぶ沖に出ちまってんのに、海へ飛び降りるなんて言われちゃ堪らねぇからよ …
『大事にしてぇ』なんて、海賊らしくねぇ事を思っちまったのがイケなかったんだなぁ …
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~ 海賊チャンのエピソードあれこれ ~
→ 海賊チャンの始まり、パラレル本編での最初のエピソード
→ 海賊チャンの宝箱 ( 投稿時、グンちゃんに特殊メイクをしたのでアメ記事にしてたのを公開にしました )
→ 番外編1 『ギャングの親分チャン』編
→ 番外編2 『海賊チャン』編



