~ テギョンとミニョの部屋 ~
ダイニングルームでの昼食後 …
マテの育児の為、『寝室』兼『執務室』になっているテギョンとミニョの部屋に二人は戻って来た。
マテを抱っこしたマッキーが子供部屋に入って行ったのを見るなり、テギョンはミニョを抱き締め …
「ミニョ、今日はまだ、お前に言ってなかったな、サランヘ … 」
… と、腕の中のミニョに囁いた。
「いえ、朝起きた時に言って頂きましたけど … 」
はにかみながらも嬉しそうなミニョは、素直にテギョンへ身体を預けている。
毎日の事なのに食事中、ミニョがシヌやジェルミと仲良く話をするのがどうしても気に入らないテギョン。
ミニョの気持ちを確かめるかのように、今日2回目の愛の言葉を伝える。
「午後は初めてだろ … 」
「テギョン様 … 」
たくましい2本の腕に包まれたミニョの身体がフワッと浮き、テギョンに唇を奪われた、その瞬間 …
ムギュウゥゥ …
ドキンッ …
「なっ、だ、誰だっ、俺の足を … 」
ミニョをベッドに運びそうな勢いで交わす、そのキスの最中 …
マテが隣の子供部屋から目にも止まらぬ早さのハイハイで近付き、テギョンの両足を掴んだ。
「アッパッパ~、ムキィィ~」
「マ、マテかっ、お前 … 」
自在に動ける楽しさを知ったマテは、縦横無尽にハイハイし回る。さすがのマッキーも手を焼いていた。
「コホン、テギョン様。お取り込み中、失礼いたします」
テギョンとミニョが何をしていたのかもちろん知っていて、マッキーは素知らぬ顔をしている。
警護のプロとして、護るべき対象者のプライベートは『見ざる・言わざる・聞かざる』に徹する、それがマッキーという男の美学だった。
「何だ、急ぎか」
「ええ、お耳に入れたい事があります。よろしいでしょうか」
テギョンは明らかに『俺達のジャマをしやがって』という表情で、マッキーを見た。
仕事柄、自分の感情をあまり表に出さないマッキーが少々、緊張した面持ちになっている。何か、異変があったに違いない。
さすがのテギョンもそれを察知し渋々、ミニョの身体を自ら離した。
何かイヤな予感がする。けれど、ミニョには余計な心配をかけたくない。
「分かった、マッキー。話は、この後に密談室でしよう。お前に、紹介したい男がいる」
「はい、テギョン様」
部屋のベランダに、密偵として諸国を回っているはずのジョンがいる。ミニョ以外は、その影に気づいていた。
「ミニョ、マテの警護の打ち合わせをしてくる、心配するな」
「はい … 」
そう言われても、マテに関わる事で気にならない訳がない。ミニョは、不安そうにテギョンを見上げた。
「コホン、マッキー、マテを動けないよう押さえてろ」
「はぁ、テギョン様、いかがいたしましたか」
マッキーはテギョンの魂胆など、お見通しで、わざと聞いている。
「少し、目を離す事の許可を貰う」
「フフ、ミニョ様にですね」
マッキーは微笑みながら、テギョンの足元を掴むマテを抱き上げた。当然、マテは拒否して暴れる。
テギョンとミニョが抱き合っているのが、マテには面白くないのだ。
「マキィ、ムムム、アンマ~」
「そうですか、ミニョ様とお二人になられたいんですね、マテ様」
ここの所、マテに付きっきりのマッキーはその傾向と対策をすっかり取得している。
「マキィ、ウキャ、ウキャ … 」
マッキーの言葉通り『ミニョと二人きり』になれると思ったマテは、いきなり嬉しそうな顔をした。
「私、マッキーがマテ様に魔法をかけて差し上げます。30数える間、目を瞑って頂けたら、マテ様の望みを叶えますよ」
「マキィ、ウキャ、ウキャ」
ギュウゥゥ …
それまで見据えていたテギョンからマッキーを見たマテは、素直に目を瞑った。完全にマッキーの意のまま。
「テギョン様、どうぞ」
一言だけ添えると、マテを抱いてマッキーは隣の子供部屋に入って行った。もちろん、気を利かせているつもりである。
「フン、マッキーめ … 」
「テギョン様 … 」
「心配ない、俺がいる」
再びミニョを抱き寄せたテギョンは、密偵ジョンとマッキーがそれぞれの情報網で掴んだ事実が …
ミニョの耳に入らなければよいと思いながら、その唇を塞いだ …


