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~ オリエンテーリングにて ~
う~ん … 『秘密の言葉』は全部で7文字 … これまで6文字見つけたから、後は1文字なんですけど …
「チャン先輩 … 『あ』『い』『こ』『く』『の』『は』の次は何でしょうか … 」
「さぁなぁ … んなモン、自分で考えろよ、どんくさコ・ミニョ … 」
あいうえお順に並べられた文字を繋ぎ合わせると今晩、ペンション村の広場で開かれるキャンプファイヤーのテーマになるらしくて …
チャン先輩はニヤニヤしてるから、もう答えは分かってそうなのに …
教えてくれないんですよ、院長様 …
「あっ、チャン先輩っ、あの木の下に何かぶら下がってますっ!」
タッ、タッ、タッ、タッ …
「おいっ、気をつけろよっ!」
「はいっ、大丈夫ですって … 」
ズザァァ … ドサッ …
あっ、また転んじゃいました …『大丈夫』なんて言ってしまって、チャン先輩の顔が見づらいです …
「ハァァ~ …… 」
た、溜め息をつかれてます … 呆れられてますよね、私 …
だって …
すぐにチャン先輩は木陰でキスしようとするから … 誰かに見られるんじゃないかと、気がきじゃなくて …
「す、すみません … 」
「俺に謝るぐれぇなら、そのデケェ尻に詫びろ、青タン出来てんじゃねぇかぁ、転びすぎてよ … 」
あ、青タン … お尻に … いちいちチャン先輩はエッチというか、意味深な事を言いますね …
「お、お尻に青タンなんて出来てません … 多分、ですけど … 」
「へぇ、じゃあ、本当に出来てねぇか俺が見てやろうか … 」
ま、また …
「け、結構ですっ!」
「今、ここでも構わねぇんだぜ」
ドキッ … ドキン、ドキン、ドキン …
そんな顔で見ないで下さい … 汗が陽射しに照らされてキラキラしてる …
今日は『タバコ』吸わないんですね … ほんのり、汗とコロンの香り …
「か、からかわないで下さい … 」
「冗談じゃないって、言ったら … 」
ムギュウゥゥ …
地面に座った私の手を引っ張られて、チャン先輩に抱き締められると …
転んで打ったお尻の痛みなんて吹き飛んでしまって、急に動き出した心臓がある胸の方が痛いです …
「チャン先輩 … 」
「そう、あからさまにビクビクすんな。お前ぇの嫌がる事ぁしねぇよ。慌てて転んで、ケガでもされる方が困んだろうが … 」
パンッ、パンッ、パンッ …
チャン先輩は私の頭を撫でながら、お尻についた土を払ってくれました …
院長様、これは … やっぱり子供扱いなんですか … ミナムオッパみたいにも思えるし …
「あ、あの … 嫌ではないですけど、誰かに見られるといけないと思って … 誤解されますし … 」
ユリさんも言ってたけど、チャン先輩のファンは多いって聞いてます。
この合宿に来る時のバスの中だって、オリエンテーリングで山の中に入る時だって、女子のグループが私を睨み付けてたような …
「誤解ねぇ … お前ぇさぁ … 」
グイッ … ムギュウゥゥ …
く、苦しいんですけど … もしかしてチャン先輩、怒ってるんですか …
「チャン先輩 … 」
「お前ぇは、俺とデキてるって思われんの、イヤなのか … 」
『デキてる』って『付き合ってる』と同じ意味なんですか …
「イヤだなんて … 」
「じゃあ、他の奴らなんて気にすんじゃねぇよ、関係ねぇだろうが … 」
だって …
「チャン先輩を好きな人に悪いです。こんな所を見られたら、傷付きますよね … 」
ドンッ …
「分かった … もうしねぇよ … 」
えっ、チャン先輩 … 何で、そんなに哀しそうな顔をするんですか …
待って … ずっと手を繋いでくれてたのに … そんな先へ行かないで …
ズルッ … ズザザザァァァ …
「キャアアァァァ~!!!」
「おいっ、コ・ミニョっ!!!」
院長様 … 気がつくと、目の前の景色がガラッと変わってました …
クスン … 身体中、痛い … 私、崖から落ちたみたいです …
「痛い … 」
私、知らないうちにチャン先輩を頼ってたんだ … 繋いでくれていた手を自分で離す度に転んでは、起こして貰ってたのに …
変に意識して、恥ずかしがって … ちゃんとお礼も言わないでいたから、チャン先輩は怒ってしまったんですね … 恩知らずだって …
ザザッ、ザザァァァ~ッ …
「おいっ、大丈夫かっ、何やってんだ … ったく、心配ばっかりさせ … 」
ムギュウゥゥ …
チャン先輩 … 私、嫌われたくない …
「ごめんなさい、チャン先輩 … 怒らないで下さい … 」
「バ~カだなぁ、お前ぇは … 怒ってんじゃねぇ。俺ぁ、イジケてんだ … 」
えっ、チャン先輩が『イジケてる』って … 何に … どうして …
「な、何で … 」
「あ~あ、やっぱり分かってねぇんだな。俺は、他の奴らに手ぇ出させたくねぇんだよ … 」
『手を出す』って …
「誰が、誰にですか … 」
「フン、お前ぇの事に決まってんだろうが、ボケっ … 」
ボ、ボケとはなんですか、ボケとは … 本当に口が悪いんだから …
「ボケって … 」
「フン、何回言ってやっても理解しねぇからだっ!最後の言葉は『く』だっ … 」
ペロッ …
「あっ、7文字目 … 」
チャン先輩、見つけてくれたんだ … 最後の秘密の文字が書かれた紙 …『あ』『い』『こ』『く』『の』『は』の次は『く』 …
隠された秘密の言葉って、何なんでしょうか …
「俺はなぁ、お前ぇさえ良けりゃ … 『コ・ミニョは俺の女だ』ってぇ、他の奴ら全員に言いてぇんだっ、よ~く覚えとけっ!」
チャン先輩、イジワルしたり、優しくしたり … どっちが本物なの …
どうして私を、こんなにドキドキさせるんですか …


