~ コ王国へ向かう馬車・男側 ~
コ王国へ向かう一向は、数騎の馬に跨がった護衛の兵士達とファン王家の馬車が2台。
マテを囲み、ミニョとワン、メイド二人の女ばかりの馬車と …
シヌ・ジェルミと、ソワソワしたマ・フニ、渋い表情のドンジュンが乗っている男ばかりの馬車が走る。
「ドンジュン、率直に聞く。ミニョに何が起こっているんだ。俺達にも教えてくれないか」
馬車が動き出すなり、シヌはムードメーカーのジェルミすら黙ったままの重たい沈黙を、すぐに破った。
マテが生まれてからは、ますますミニョを独占し、王族でありながら家族3人の時間を何より優先してきたテギョン。
そんなテギョンが、並大抵の事でミニョとマテを手離す訳がない。
それをよく知るファン国城の者なら、重大な事がミニョの身に降りかかっていると、誰もが容易に予想できた。
「こうなった以上、お話しない訳には行きませんね … 実は … 」
ドンジュンはこれまでの経緯とミニョの容態、本人には短期間と言ってはいるが、コ王国への滞在は無期限になる事などを、静かに淡々と話した …
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~ コ王国へ向かう馬車・女側 ~
「アッパッパ … アッパ … 」
今まで頻繁に、テギョンとミニョ専用の青い馬車『アウディ』へ乗っていたマテは、最初のうちこそ元気よく、はしゃいでいたが …
ふと、馬車の中の面々に宿命のライバルである父親テギョンの姿がない事に気づき、急に泣きじゃくり始めた。
テギョンやミニョと3人でいる生活が当たり前だったマテにとって、両親が居ない時に世話をしてくれるワンやサ・ユリ、シンへなど見知った顔ぶれでも …
父親テギョンがどこにも居ない寂しさを赤ん坊ゆえ、それを隠す事なく表に出してしまう。
ミニョの知らない所で、同行するワン達はドンジュンを通し、今回のコ王国行きの本当の理由を聞かされている。
「マテ、テギョン様のお仕事が落ちついたら、すぐに帰れますよ … 」
「アッパッパ~、ウェ~ン、アッパ~、ウェ~ン … 」
明らかにテギョンを求めているマテを、揺れ動く馬車の中ではどうする事も出来ない。
「マテ、テギョン様に逢いたいのは、私も同じです。早くファン国城へ戻れるように、お祈りしましょう」
真ん中に置かれたベビーキャリーからマテを胸に抱き、健気にあやしているミニョの姿を見て、使用人の女達は涙が出そうになるのをグッと堪えた。
この馬車に乗る使用人は、神経質に他人の出入りを嫌がるテギョンにも許された数少ない者達で、家族3人の生活がどれほど幸せそうだったのかをよく知っている。
((( ミニョ妃様 … マテ様 … )))
だからこそ、ミニョの心の病気が早く良くなる事を誰よりも願っている。
まだ小さな子供がいるワンも、その子を親戚に預け、マ・フニと共に自ら志願し、今回の同行となった。
「ワンさん、本当にお子さんは大丈夫なんですか … 」
「何を仰いますか、ミニョ様。私は元々、あの子が生まれてからすぐに城で働いています。いつも面倒を見てくれている親戚に預けてますから、心配なさらないで下さい」
「そうですか、それなら良いのですが … もし何かあれば、すぐにファン国城へ戻って構いませんからね」
ミニョは、マテを寝かしつけながら心底、申し訳なさそうな顔をしている。
こんな使用人の自分達にまで、天使のような心配りをする女主人のミニョが、1日でも早くテギョンの元へ帰れるようにと …
馬車の中の天井や窓を見つめ、涙を必死に堪える女達は心からそう願った …




