~ 初めて、お越し頂いた方へ ~
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「ああ~、アイス、とっても美味しかったです。チャン先輩、ごちそうさまでした … 」
院長様、私ったら単純ですね … アイスをごちそうして貰っただけで、チャン先輩がちょっとだけ良い人に見えてしまいます …
「また来ようぜ、376種類あるらしいからなぁ … 全部、制覇しようぜ」
あの美味しいアイスが、376種類も … まだまだ私が食べた事のない物が、たくさんあるんでしょうね …
「えっ、本当ですか、嬉しいです。私は、パッと決められないからチャン先輩に選んで貰えると助かります … 」
一人ではお店に入りづらいから、チャン先輩みたいに慣れた人が一緒に来てくれると …
『慣れてる』って … そう言えば、あまりアイスは好きそうじゃなかったから、他の女の人と来たのよね …
チクリ …
あっ、まただ …
院長様、チャン先輩が他の女の人といる姿を想像しただけで … 胸の真ん中がおかしくなります。
チャン先輩がどんな人と、どこへ行こうが私には関係ないのに …
「ああ、そうだなぁ … 最後まで付き合ってやるさ … 」
イジワルな事を言わなければ素敵なチャン先輩に、アイス屋さんに連れて来て貰うだけで充分のはずなのに …
「チャン先輩、有難うございます!」
そう、私は奨学金でファン大学に入れて貰えた奨学生です。
勉強を頑張って、私をここまで育ててくれた方々に恩返しをしなくては …
讃美歌をもっと上手に歌えるようになりたくて、ここの声楽科に入ったんですもの …
無事に卒業できたら、私は教会に戻ってシスターになる修業をまた再開するつもりだし …
チャン先輩とアイスを全部、食べる事が出来たら何でも夢が叶いそうな気がします。
「さぁ、モノレールにでも乗るか」
「えっ、モノレールって空を飛ぶ電車ですか … 」
地に足が着いてない、私の苦手な乗り物だったような …
「何でぇ、モノレールも初めてか」
「はい … ファン大学へは、奨学生制度の面接に1回来たっきりで … その時には普通の電車で来ましたし」
モノレールに乗るのが怖くて、遠回りでも電車にしたんです。一人でなんか無理ですし …
オッパとは、学部が違うから奨学生の面接日が別々だったし …
ドンジュンは元々、頭が良いから一般試験で現役合格で …
「そっか … お前ぇの『初めて』にゃ、とことん付き合ってやる約束だからなぁ。ほら、モノレールの駅だ … 」
「うわぁ … 長いエスカレーター … 落っこちそうで怖いです … 」
チャン先輩、私の手を今だけは離さないで下さい … お願いします …
「俺が居んだろ … 確かに長ぇから下は見んなよ、余計に怖くなるからな」
「は、は、はい … 」
グイッ …
ドッキン …
チ、チャン先輩の … 手、手が私の腰に当たってる気がします …
は、恥ずかしい … でも今は、身体を支えて欲しいです、もう目が回りそうだから …
「おい、恥ずかしがんな … エスカレーター限定だからよ … 」
「は、はい … 有難うございます」
ハァ … 良かったです。エスカレーターに乗っているうちは、離さないでいてくれそうです …
「き、気にすんな、後ろにひっくり返ると危ねぇからよ … 」
ひゃっ … エスカレーターの横が一面、鏡になってます。う、嘘っ、私の泣きそうな顔が写ってる …
あっ、チャン先輩も見てるみたい … 鏡の中で目が合ってしまったら、気まずいです …
うわっ、やっぱりこのエスカレーター高い … もうだいぶ上の方まで来てますけど …
見ちゃダメです、怖くなるってチャン先輩も言ってくれてるのに …
「は、はい … チャン先輩 … ダメって言われると、つい下を見てしまいそうになります … 」
「バッカやろ … 余計に怖くなるから止めろってんだ、この上の方を真っ直ぐに見ろ、そこがゴールだからよ」
ゴ、ゴール … そうですよね … まだ目的地には着いてないみたいだし …
「は、はいっ!」
「ほらっ … もうすぐだぜ」
あっ、もうすぐ着きますね …
私の腰を掴んだチャン先輩の手が、離れてしまうのが寂しく感じるなんて …
院長様、これは気のせいですよね …


