院長様 … 私の毎日のお祈りが、足りないのでしょうか …
何で入学早々、こんな人と朝御飯を食べなければいけないんですか …
しかも、毎朝って気が滅入ります …
ユリさんにサークルの事を断りたくても、後ろでカートさんと嬉しそうに話していて、とても言い出せません。
「おい、コ・ミニョ、そこの緑のトレーを一枚取れよ … 」
「えっ、あ、はい … 」
そう言えば並んでる人は、皆さん持ってるみたいですね … 大きな四角い緑のトレーだけど …
「ここの食堂はなぁ、朝はセルフで好きなオカズを自分で取るんだ」
「あ、は、はい … 有難うございます、チャン先輩 … 」
「フフン、やっと覚えやがったな。遅ぇんだよ、コ・ミニョ … 」
す、好きで覚えた訳じゃないです … 貴方が無理矢理、昨日と同じ事するぞって脅したんじゃないですか …
「ほ、放っといて下さい。私も子供じゃないんですから … 」
「そうかぁ、まだ尻は青そうだけどなぁ … 何なら見てやろうか … 」
な、な、何て事を朝から … もう、やっぱりイヤっ …
「結構ですっ!お尻は青くないです」
「プッ、冗談に決まってんだろ。ほら、お前ぇの番だ。好きなの取れよ」
「わ、分かってますっ!」
いくら教会育ちだからって、セルフサービスの意味くらい知ってます。
えっと … 好きなオカズって … ああ、タマゴ焼きも … 韓国のりも … お魚も美味しそう …
あっちにウィンナーも … ハムエッグもある … どれもこれも大好きで決められません …
教会では、自分でメニューなんて選べなかったから、出された食事を食べるしかなかったし …
ど、どうしましょう …
「チッ、しょうがねぇなぁ … 」
「あっ、何をするんですか」
「自分じゃ、選べねぇんだろ。嫌いなモンはあんのか」
「特にはないですけど … 」
「フン、そうかよ。じゃあ、ハムエッグと … タマゴ焼きと … スープもいるだろ … 飯はどんぐれぇ食うんだ」
「あ、ご飯茶碗に軽く一杯くらい」
「よし、オバチャン、飯2つ。大盛りと少なめを頼んだぜ」
院長様 … チャン先輩は、まるっきり同じメニューを私のトレーにどんどん乗せてしまいます …
嫌いな物は1つもないですけど、何か複雑な気持ち … でもどうしたらいいか分からなかったから助かりました。
「チャン先輩 … 」
「ほら、これぐれぇで足りるか」
「はい、有難うございます」
「じゃ、席に行くぞ」
「はい、分かりました … 」
納得はしてませんが、やっと朝御飯が食べれます … お腹が空きました。
「あっ、何だよ … アイツら … 別の席に座りやがって、気ぃ利かせたつもりかよ … 」
えっ、ええっ~、ユリさん … そんなぁ … こんな人と二人にしないで下さい …
また、どんなイジワルされるか … 後でユリさんに言わなきゃ … チャン先輩は酷い事を平気でする人なんです。
「は、早く食べましょう」
「好きにしろよ」
「好きにしますっ!」
もう、いちいち頭に来ますね … あ、お祈りしなきゃ … こんな気持ちでは、神様に笑われます …
神様 … 院長様 … 今日1日を無事に過ごせるよう、私をお守りください。
んんっ … ?
何か視線を感じます … って、チャン先輩ったら、何でじっと私を見てるの … 早く食べればいいのに …
「何でぇ、もうお祈りはおしまいか」
「いえ、やりにくいので … 私を見ないで下さい … 」
「俺が何を見ようと勝手だろ … 」
「そ、そうですけど … 」
ムムッ … お祈りしてる最中に … また、この人は怒らせるような事を …
「ああ、腹が減ったなぁ … 」
「食べればいいじゃないですか … 目の前にあるんですから … 」
何を言ってんのかしら … この人 …
も、もう無視したいです …
「お前ぇが喰いてぇ … 」
「は、はぁ … ?」
院長様、チャン先輩の言っている事が分かりません … が、外国語で話されてるみたいです …
「お前ぇの、そのデケェ胸に喰らいつきてぇって言ってんだよ … 」
えっ … む、胸に … 喰らいつく …
「な、何を言ってるんですかっ!」
ガタンッ …
あ、思わず席を立っちゃった … また回りから見られてる … 院長様、私は変な風に目立ってるみたいです …
「デケェ声、出すな。とりあえず座れよ。俺ぁ、本気だからな … 」
「な、何がですか … 」
「お前ぇを、俺のモンにしてぇって事だ。全然、人の話を聞いてねぇだろ」
私が『チャン先輩のもの』って …
「それって、どういう意味ですか」
「ハァ … やっぱり分かってなかったのか … 手間のかかる女だぜ … 」
ま、また … いつ私が手間をかけさせたって言うんですか … 昨日も今日もぶつかっただけなのに …
「私が何か貴方にしましたか … 」
「いいや、何にもしねぇからだ」
院長様、絶対にチャン先輩は外国人です、言っている意味が私にはさっぱり理解できません …
「何にもって … 」
「この俺が、濃厚なキスしてやっても感じねぇどころか、どつくわ、睨むわ … 名前も覚えてねぇからだ」
男のクセに … まだ、そんな事を根に持ってるんですね …
「名前は覚えました、チャン先輩」
「そんなんじゃ、もう気が済まねぇんだよ … 絶対ぇ、俺の女にしてやる」
それって … どういう意味 …
「もしかして『俺の女』って … 恋人って事ですか … 」
「まぁ、そういう事になるなぁ … 」
「な、な、な … 」
「お前ぇのそのデケェ胸も尻も、俺のモンになるってぇ事さ … 」
院長様 … 私は … ファン大学の悪魔に、目をつけられてしまいました …


