「テギョン様 … あの … マテが … そこに … います … 」
「フン、いつもの事だ … どんなに俺達が愛し合っているかを、見せつけてやればいい … 」
「そ、そんな … 途中で起きるかも」
「さっき、たっぷりミルクを飲ませたし、遊ばせたから … マテは、しばらくは起きない … 」
何とか羞恥心を紛らわそうと口を動かす抵抗も虚しく、ミニョの白い身体は馬車の座席の上で露になって行く。
ここには、二人の寝室にあるようなシーツも枕もない … それが余計に恥ずかしく、ミニョは自分の身体を隠しながらギュッと目を閉じた。
「ミニョ、寒いか」
「さ、寒くはないですが … 」
「何だ」
「は、恥ずかしいです … 」
ミニョの肌がピンク色に染まって行く様を見下ろしながら、テギョンは自分の軍服を脱ぎ捨てた。
もう二人の間には、防音性・防寒性にこだわって造らせた馬車の中のピンと張った空気しかない。
「フン … 今さら … お前の身体なんか毎晩、見ている … 何ならホクロの位置と数を言うか … 」
マテを産んでも、少女のように恥じらうミニョがテギョンは堪らなく愛しい。
そう感じれば感じるほど、自分をここまで夢中にさせるミニョが憎らしく、ほんの少しイジメたくなる。
「ホクロの数 … け、結構です」
「そうか、知りたくなったらいつでも言え … 大きさも教えられる … 」
「お、大きさって … 」
言葉だけでなく、熱く火照った唇やしなやかな指で身体中を攻められ … ミニョの頭の中には、早々に真っ白な雲が見え隠れする。
「気になるのか … そうだな … ここのは二等星ぐらいか … 」
ミニョの秘密のツボの1つである首筋に、テギョンは口を這わせた。
「あっ … 」
その感触に酔うミニョの中の花びらがまた一枚、開花する。
「そして … ここはとっておきの一等星、俺の気に入りだ … 」
「えっ … あっ … 」
ホクロを星の大きさになぞらえたテギョンの唇が、その2つの白い丸みの先に到達すると …
一気にミニョの中の花が咲き開く。
初めて味わう屋外での解放感と同時に訪れた痺れるような興奮に、二人は、いつもより忙しなく互いを求め合う。
ファン国城の寝室では、未だに大きな声を出すのを躊躇うミニョも、今回の営みでは口を押さえる余裕もなく …
吐息と共にテギョンの動きに合わせ、一定のリズムで馬車の中に響き渡らせた。
自分の愛撫に応えるミニョの艶やかな声が次々と耳を通り過ぎる度、テギョンの吐く息も次第に荒くなる。
「ミニョ … 入ってもいいか … 」
普段はミニョが懇願したくなるほど時間をかけるテギョンも今はこれ以上、我慢できそうにない。
「えっ … 」
「何だ … 俺を焦らすのか」
まだ重なってもいないのに、ミニョはあまりの快感で意識を手放しそうになっていて、テギョンの言葉にまともに返答できない。
「いえ … あっ … 」
「仕方ない … 確かめてやる … 」
指で触れなくとも、ミニョの様子からその潤い具合は想像できたが …
あえてテギョンはミニョを昂らせる為、わざと長い指を見せびらかすよう『一本 … 』『二本 … 』とつぶやきながら中に滑らせて行く。
「あぁ … 」
「このまま … 本数をイケるとこまで増やすか … それとも … 」
「イジワル … しないで … 下さい … 」
「俺が欲しいか … 」
「えっ … 」
はにかみ屋のミニョが『はい』と言える訳のない質問を、テギョンはあえて投げ掛けた。
支配的にミニョを攻め続け、傍目にはテギョンが優勢に見えるが …
『俺が欲しいか … 』それは『俺だけを求めて欲しい』という、テギョンの本音である。
あんなに人間嫌いだった自分を、受け入れてくれた優しいミニョ …
そんなミニョだけを想い続けて行く自信が、テギョンにはある。未だに他の女は一向に受け付けるつもりもない。
でもミニョは … 誰にでもその笑顔を振りまき、あらゆる人々を魅了してしまう …
だからテギョンは片時も離さず側にいさせて、独り占めしたくなる …
それがいつか、ミニョを息苦しくさせてしまうのではないかと、心の中では怯えながら …
「欲しいと言え」
「そ、そんな … 」
ぬかるんだ中に挿し入れられたテギョンの指の動きが早められると、ミニョは覆い被さるテギョンの顔をボンヤリ見上げた。
命令口調な物言いとは裏腹な、不安げなテギョンの瞳は … ついミニョの口から出てしまったシヌとの事を、ずっと気にやんでいたのだと語っている。
どんな時も、ミニョの一番近くにいて自分を支えてくれたのは、目の前のテギョンしかいない。
「ミニョ … どうなんだ … 」
「私には … テギョン様だけです」
それが … テギョンの求めていた応えなのかミニョには分からない。
ただ … 無意識に、ミニョの奥底から出た言葉だった。
「それなら俺も、応えなければな」
そのまま馬車の座席にしがみついて自分の意識をつなぎ止めようとするミニョには、満足げに変わったテギョンの顔を見る間は与えられない。
テギョンは濡れたままの指を引き抜きミニョの両足を持ち上げると、器用に自分の身体をねじ込ませた。
「あぁっ … 」
テギョンがうごめく度に、頑丈に造らせたはずの馬車がグラグラと揺れる。
柔らかい綿入りの布が張られているだけの座席で力任せに貫かれると、スプリングの効いたベッドより何倍もテギョンの熱さを感じる。
「どうだ … ミニョ … 」
「ハァ、ハァ … あぁ … 」
「これが欲しかったんだろ … 」
耳元で囁かれてるはずのテギョンの声が、だんだん遠くに聞こえる …
ミニョの『フワフワ』の雲は、もうすぐそこまで来ていて … 両手両足を引かれて行く。
「は … い … 」
そう弱々しく返事をしたのが先か、意識が向こうに遠のいたのが先か …
ミニョの身体がピクン、ピクンと小刻みに震え出したのを確認すると …
「ミニョ … 俺をおいて行くな … 愛してる … サランヘ … 」
… と、テギョンは1つに結ばれた二人の間で果て … しばらくは互いの身体を暖め合った …
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1時間後 …
几帳面なテギョンの命令通り、きっちり言われた時間に戻って来た御者が、馬車の回りでウロウロしている。
馬車の中にテギョンとミニョがいるのは間違いないが、窓のカーテンがきっちり閉められていて、とても声をかけられる状態ではない。
年配の御者は、馬車を造る職人も兼ねていてマテが産まれる前から、この『アウディ』と名付けられた青いボディの馬車の製作に携わって来た。
馬車の中にしては厚手の遮光カーテン、クッション性を極限まで高めた座席に大げさな防音性、宿泊も出来そうな防寒性は、ファン王国一の出来ばえである。
ガチャガチャ、ギギィ …
御者が馬車の前でノックをしようか迷っていると、いきなりドアが中を隠すよう細く開いた。
「おいっ御者、後もう1時間してからここへ来いっ!」
「は、はい、かしこまりました … 」
ほんの少し開いたドアの隙間から、まだ息が整いきってないテギョンの叫び声がする。
吹き出しそうになるのを何とか堪えた年配の御者は、まだ陽の高い空を見上げながら、馬車から離れた草原に向かった。
御者が手掛けた馬車は、まさに『走るベッド』で、女嫌いの堅物だったファン・テギョン王子が何でこんな代物を造らせるのか、依頼を受けた当初は不思議で仕方なかったが …
いつまでも可愛らしさを失わない妃のミニョを間近で見て、ベテランの御者は妙に納得せざるを得なかった …



