妻とは取引先で知り合った。
わが社の下請け会社で商談をする時に、いつもお茶を出してくれるのが妻だった。
特に容姿に優れていたわけではない。
私はどちらかというと華やかな女性が好きで、当時付き合っていた恋人もそんなタイプだった。
ある日、妻の同僚の女性が私に聞いてきた。
「akikazeさんは恋人いるんですか?」
「まぁな。大学時代からの続いてる腐れ縁の彼女やで」
あとで知ることになるが、これは妻が同僚に頼んで聞いてもらったことだという。
単純な私は、その同僚が自分に気が有るのでは?と自惚れたりしていた。
その同僚ってのはちょっとばかしイイ女だったので。
それから暫くたったころだと思う。
私は恋人だった彼女に見事にふられた。
お見合いした資産家の次男坊を予想以上に気に入ったらしい。
義理でする見合いだからと渋々行ったはずだったのに、足掛け3年の付き合いの私を迷いなく捨てたのだった。
あまりに鮮やかな心変わりだった。
ショックを受けた自分は一月ほどは酒を飲んでは憂さを晴らしていたが、次の彼女が欲しくなった。
とはいえ、同じ会社の女性には手を出しづらく(私の会社では社内恋愛はご法度だった)、思いついたのが例の女性だった。
<あの子なら器量もいいし、性格もサバサバしてるから少し遊ぶにはいいかも?>
そんな、いい加減な気持ちがなかったとは言えない。
軽い気持ちで次の商談のあとで、コッソリと誘ってみた。
「いいよ!でも二人だとマズイので友達も連れてっていい?」
もちろんOKした。私の同僚を含めて4人の合コンということになった。
しかし私は知らなかったのだ。
誘った彼女は自分ではなく、私に片思いをしていた同僚のために飲み会を諒解したとは。
そして、それが私の人生を狂わせる第一歩になるとは。