日本沈没1973版。この頃はハリウッドでもパニック映画がヒットしていたので、日本でも邦画史に残るパニック映画をつくりたかったのかもしれない。

本編の創作映像に実際の映像が入るのが緊張感をうむ。CG技術がないので爆発などはミニチュアを本当に爆破しているだけでなく、本物の車を燃やすなどしている。自衛隊は本物の自衛艦、自衛隊のヘリコプターなどが使用されているシーンもある。アナログ時代から学ぶことは、技術に頼らず技術を活かすこと。

オールスターキャスト、エキストラの数の多さ、キャストに合わせた衣装や小道具の数、ミニチュアセット、撮影セット、予算、撮影日数、編集、公開、想像するだけで途方もない。

作品が出来上がっても観客が面白いと思ってくれなければ意味がない。それは賭けだ。しかしその賭けには勝った。映画作品として邦画史に残る映画になった。

原作の小松左京の凄さも感じる。小説完成まで9年ほどかかったそうだが、情報収集の把握にどれほどの労力が注がれたか。それだけではない、物語としてどうしても大作になる。社会現象になったのもうなずける。これは運が味方したのか計算されたのかは不明。時代に合ったというのも小松左京の力ではないかと思う。

個人的に丹波哲郎の存在感に圧倒された。葉巻を加えて車から降りる丹波哲郎は、役ではなく映画スター丹波哲郎。唯一無二の存在。

藤岡弘の若いスター性も魅力の一つ。小林桂樹の演技力に引き込まれる。各キャストがそれぞれの魅力を発揮している。

今観ると信憑性を感じ映画の中だからと楽観視できない。コロナ禍という状況もあってか、だろうではなく、かもしれないという心がけが必要な時代なのだろう。これが令和という時代の始まりなのかもしれない。
#日本沈没
#森谷司郎監督
#小松左京
#丹波哲郎
#藤岡弘
#小林桂樹