横須賀で娘義太夫演奏会の司会をしました。

司会をするにあたりいろいろ資料をいただきました。

その中に現在の三浦市にある三崎町を訪れた芸人の一覧がありました。

時代は江戸から明治にかけてのものです。

興行元、つまり横須賀に芸人を派遣したであろう人の住所もあります。

明治時代の一覧を見ると神田小柳町、築地入舟町、京橋弓町、湯島新花町などの地名が並んでいます。

なんとも粋な名前が並びます。

 

中に「本郷大根畑」なる地名がありました。

本郷で大根?

湯島の坂のあたりに大根畑があったようで町家が建ったあとも俗に大根畑と呼ばれていたようです。

芸人の名前は「喜楽」とあり、種類は「軍談」なので講釈師でしょう。

 

ほかに「下谷車坂町」の「放牛舎桃水」という名前もありました。

放牛舎を名乗る講釈師は今はいません。

ただ私は「放牛舎」という亭号に見覚えがありました。

昭和時代全国に落語を広めた三代目三遊亭金馬が最初入門したのは落語ではなく講談の世界で、その時の師匠が「放牛舎桃李」でした。

ということは当時、放牛舎という一門があったのでしょう。

 

(私の持っている全集レコードの解説書の表紙

 右上が三代目金馬)

 

いろいろなことが一覧表から読み取れます。

演芸好きの私は見ていて興味が尽きません。

タイムマシーンがあれば明治の寄席に行きたいと思います。