33年前の千代の富士引退記者会見ですが今でも検索すると結構長い映像が出てきます。

「体力の限界」と話し始め、時に涙をぬぐいながらも引退にいたる苦しい胸の内を話してくれています。

千代の富士の土俵を見てきた記者も敬意をもった質問をしていたと思います。

 

映像には残っていませんが実はこのあと記者会見は雰囲気が悪くなりました。

間隙を縫って質問をし始めたのは普段相撲の取材には来ていないリポーター陣でした。

「もう一度対戦するとすれば誰と対戦したいですか?」

引退すると言ったばかりでこのタイミングで何を聞いてるんだ、と千代の富士は苦笑いするしかありませんでした。

要するにこのリポーターは貴花田と言わせたかったのでしょう。

リポーター陣は次々に質問を投げかけました。

「息子さんにも相撲をやってほしいですか」「その時は誰と対戦してほしいですか」

つまり貴花田と言ってほしいのです。

そのほかにも正直相撲とは関係ない質問をなげかけていきました。

これが千代の富士引退記者会見なのかという雰囲気になってきました。

しかしそんなことはお構いなしでした。

ついに九重親方が「相撲記者クラブ、何やってんだ。ちゃんと質問しろ!」と私たちに強めの口調でおっしゃいました。

 

「体力の限界」という名場面と合わせて少し苦い思い出もよみがえってくるのです。