天皇崩御を受けて昭和64年大相撲初場所は一日延期となり月曜日が初日。
その決定を受けて私は渋谷のNHK放送センターから帰途につきました。
歴史的な瞬間に立ち会っているのに何もすることがない、何もできない。
とてももどかしい思いでした。
「昭和が終わるとどうなるのだろう」
「自分は歴史の証言者になるのだ」
などと思っていました。
しかし外に出ると世の中は多少重苦しい雰囲気は感じるもののいつも通りでした。
上野の自宅に帰る途中に歓楽街ですからホテルがあります。
裏通りの薄暗い路地の入口から二人連れが中に入っていきました。
冷たい雨が降ったあとで背中を丸めてトボトボ歩きながら「そんなものか」と思ったものです。