祖父は関東大震災の経験者でした。

夏になると上野精養軒のビアガーデンに行くのを楽しみにしていました。

両親は仕事をしていましたので私が付き添いでした。

 

80を過ぎた祖父と2人でまず大ジョッキ1杯。

遠くに細くて高いビルが見えました。

祖父は「いいか彰宏、あんなビル建てて、震災が来たら真ん中でおっぴょしょれるからな」と言っていました。

「おっぴょしょれる」とは折れてしまうということでしょう。

 

今の時代にそんなことあるわけないだろうと聞き流していましたが阪神淡路大震災で現地に入った時、祖父の言っていた通りの光景が広がっていました。

やはり経験者の話はしっかり聞いておくべきだと身に染みました。

祖父は関東大震災を経験しました。

父は大地震を経験することなく逝きました。

私は東日本大震災を経験しました。

息子たちは震災を経験することになるのだろうか、とふと考えます。