初めてのテレビニュースを経て、次に覚えたのが早出の勤務でした。

朝6時55分のテレビニュースが最初の仕事でこれに間に合うように出勤します。

その後、ラジオスタジオとテレビスタジオを行ったり来たりします。

その時間は当然局にはアナウンサーは一人しかいませんから独り立ちしなくてはできません。

6月に入り早出のローテーションにも入りました。

新人時代、私は福島市の中心部からやや離れたアパートに住んでいました。

ここから自転車で局に向かっていました。

 

ドアを開けると畑があって左側がJRの線路、右側は福島交通飯坂線の線路でした。

早出の朝、家を出るちょうどその時間、寝台列車の北斗星が走って行きます。

列車の中で起きている人を見た覚えはありません。

食堂車のテーブルの灯りだけが見えました。

静かな福島の朝に北斗星の走る音だけが響いていました。

 

(その車両を利用したレストランをみつけ当時のことを思い出しました)

この線路をずっと行くと生まれ育った上野か、と思ったものでした。

「あぁ上野駅」という故郷を離れ東京に出てきた人達が上野駅でふるさとを思う名曲があります。

上野駅に行くと延びる線路の向こうにあるふるさと、家族を思い出すというのです。

方向は全く逆ですし、当時はもう東北新幹線が開通していて福島上野間はわずか1時間半。

それでも歌に描かれた望郷の思いがなんとなく分かったような気がしたものです。