福島放送局に赴任して翌日の5月8日。

いきなり私はラジオで天気予報とお知らせを担当することになりました。

午後1時55分からの5分間です。

これがアナウンサーの世界でいう「初鳴き」です。

まさか福島に来て翌日に「初鳴き」をするとは思いませんでした。

「えっ⁉いや!まだ無理です」と言いかけて、「いや、いつかはやらねばならない」と度胸を決めました。

「はい!分かりました」

度胸はほめられましたがもし前の日から言われていたら眠れなかったかもしれません。

 

先輩について何度も何度も下読みをして準備をしました。

この初鳴きの時は職場のスピーカーの音量を上げてみんなが聞いてくれています。

そして「初鳴き」を終えるとアナウンサーの先輩だけでなく各部署から「お疲れさん」「おめでとう」と声をかけてくれます。

わずか5分ですがとにかく無我夢中でした。

実はこの時の記憶がありません。頭の中が真っ白だったのでしょう。

 

34年のNHKアナウンサー生活、最後もラジオの天気予報お知らせでした。

「つづいて道路交通情報です。交通情報センターお願いします」

このコメントをもって現役を終えました。