ゆうばりファンタ参戦日記(初日)
2010年2月25日

『ハリウッドで、愛をさけぶ!』 新進映画監督 北村昭博   AKIHIRO KITAMURA OFFICIAL BLOG  

LAから東京に24日に着いた僕は、
一晩を渋谷にあるホテルで過ごし、
開会式のある25日の昼ごろに
ゆうばり入りする予定だった。

しかし!
なんと羽田空港が濃霧の影響で、
全便が完全に運行停止になってしまうという
ハプニングが発生!!!!

飛行機が羽田に到着する事が出来ないので、
機材が足りず飛ぶ事が出来ない。というわけで、
東京発ゆうばり着の人間は全員、足止めを食らう。

高知から羽田で合流する予定だったオカンは、
なんと関西空港に連れて行かれる。
結局、関空から新千歳行きのチケットを買って、
僕より先に北海道入りするオカン。

僕は結局、4時間も空港で待つハメになってしまう。
出発ゲートの前には、ゆうばり映画祭へ参加する若い連中が
たくさんいて、彼らがはしゃいでいるのを横目に、実は少し
不安になっていた。

僕は高校卒業してから、
世界で通用する映画作りを勉強するために、
すぐに渡米し、アメリカで映画制作と演技をずーっと勉強
してきた。だから、日本の映画人とはあまり接点が無い
生活を送って来たのだ。

だから、なんというか、日本の映画人のノリみたいな
ものについていけずに、僕が心を閉ざしてしまわないか
どうかそれが心配だったのだ。実は僕には人見知りな部分が
あるので、、

僕が主演の「ムカデ人間 ファースト・シークエンス」が
日本で初公開される、今年のゆうばり映画祭。
僕が今回ゲストとして参加して、楽しみにしていたのが
今までに接点のなかった日本の映画人達との交流だった。
彼らの事を知り、僕の事を知ってもらう。それだけで、
刺激をお互いに与えられると信じていた。
今年からは役者として、どんどんとボーダーレスに
日本の映画やドラマにも出演をしていこうと決意をしたのも、
僕のゆうばり映画祭への参加を後押しした。
「ムカデ人間」、そして「ヒーローズ」と、今年は
日本にいる方達に僕の関わった作品が初めて観られる
年なのだ。いわば、逆輸入というカタチの日本デビュー!

だから、ゆうばりではしっかりと挨拶をしていこうと決意を
新たにした!!

でも、そんな僕の心配もゆうばりに到着すると、
全てぶっ飛ぶ事になる。なんと、アメリカで知り合った、
数少ない日本の映画人の方達が、ゆうばりに集結していた
のだ!それは後でひとりづつ紹介していく事にして、、

結局、北海道の新千歳空港に到着したのは、
午後5時だった。先に着いて待っていたオカンと合流する。
北海道だ!!雪だ!!!!!!
思ったより、寒くないのに驚いた。

映画祭の開会式はすでに終わり、
小栗旬さんが監督した、「シュアリー・サムデイ」が
すでに始まっていた。出遅れたぜ!

そのままゆうばり行きのバスに乗る。
ゴトンゴトンと揺れるバスは、
どんどんと狭く暗い夜道に入って行く。

「おいおい、ゆうばりってどこにあるんだよ?スゲー辺境の地
だな!」って高知出身の田舎者の僕が思ったくらいだ。(笑)
(失礼言って、すみません!)

1時間15分くらいバスに乗って、
今回宿泊する、ゆうばりホテルシューパロに
到着する!!!!

『ハリウッドで、愛をさけぶ!』 新進映画監督 北村昭博   AKIHIRO KITAMURA OFFICIAL BLOG  
ゆうばりホテルシューパロ

チェックインして、6階の部屋に上がるエレベーターに
乗ると、同じエレベーターに聞いた事のある声の
外国人が入って来る。

なんと、2年前に園子温監督の家で会った、
フランス系カナダ人のアレックスだった!!!

今回のゆうばりで、彼の脚本・監督作の短編「カルマ」の
上映が披露されるのだ。

園さんの家で、「愛のむきだし」のラフカットを朝の6時まで
彼と一緒にみた思い出が蘇る。あの後、田舎者の俺を親切に
ホテルのある新宿までの帰り方を教えてくれた、良い奴
だった。

その時にアレックスが撮った園さんへのインタビュー動画は
こちら で!(通訳は、僕!w)

アレックスに別れを言って、
オカンと共に、我らの部屋に行く。
さて、広いのか狭いのか、どんな部屋なのか!?
ホテルの部屋に最初に入る時はドキドキするよね!!

ガチャリ。鍵を開けると!
ワーオ!スゲー広い部屋だ!!!なんと、畳がある!!!
想像していたよりも、かなり大満足な部屋だった。

『ハリウッドで、愛をさけぶ!』 新進映画監督 北村昭博   AKIHIRO KITAMURA OFFICIAL BLOG  

『ハリウッドで、愛をさけぶ!』 新進映画監督 北村昭博   AKIHIRO KITAMURA OFFICIAL BLOG  

ホテルに行って、1時間後にあるオープニング・パーティーの
ために準備していると、僕の携帯に電話がかかってくる。

「今ゆうばりにいるの?開会式にいなかったじゃない!」

うおおおお!
俺が最強にリスペクトしている、鈍牛のK社長だった。
僕が運転手兼通訳としてLAで彼女と園さんをアテンドして
珍道中を繰り広げて以来、仲良くさせてもらっている御方だ。
今回は鈍牛が共同製作した「SR サイタマノラッパー2」の
ワールドプレミアに出席するためにゆうばり入りされていた
のだ。

オカンと一緒に、パーティー会場であるホテルシューパロ
2階の嶺水の間に行くと、もう人がかなりたくさん集まっていた。

どうやら、「シュアリー・サムデイ」の小栗旬さん目当ての
ファンの女性が大人数、集結しているようだ。

『ハリウッドで、愛をさけぶ!』 新進映画監督 北村昭博   AKIHIRO KITAMURA OFFICIAL BLOG  

『ハリウッドで、愛をさけぶ!』 新進映画監督 北村昭博   AKIHIRO KITAMURA OFFICIAL BLOG  

『ハリウッドで、愛をさけぶ!』 新進映画監督 北村昭博   AKIHIRO KITAMURA OFFICIAL BLOG  

あまりの人の多さと、その熱気に、頭がクラクラしてくる。
ビールを飲んで、なんとか頭を冷やしていると、
会場でジャンクハンター吉田さんに会う!!!
3年ほど前に吉田さんが映画秘宝.COMの編集長として
アメリカ映画を監督したばかりの僕を、LAまでわざわざ
飛んで来て取材してくれて以来、親しい仲になっていた。
今回は上映作品の紹介をするMCを務めるために、
ゆうばり映画祭に参加していたのだった。

吉田さんは本当に面白い方だ。
彼の人生経験と、シネマとゲームに対する計り知れない
愛情が話をしていて、ドンドンと伝わって来る。
「うんこ」とか「ちんこ」とかすぐに下ネタを言うのも、
僕に合っている。

あと、会場でマッコイこと松田俊政とも再会した!
彼は2年前に吉田さんの紹介で知り合った、
ガッツのある若手俳優だ。今回はアレックスの「カルマ」
に出演しているので、ゆうばりに参加していた。

そうこうしていると、鈍牛のK社長から声がかかる。
いやあ、会えて嬉しい。こんなに業界で力を持っている
ビッグな方なのに、昔から優しく接してくれる、最高の人。

アメリカから来た僕はそんなに日本の業界人を知らないので、
それを思ってか、パーティー会場で、たくさんの人に紹介して
くれた。

井口昇監督や、西村喜廣監督、俳優の石橋凌さんなど、
ビッグな方達に次々に紹介してもらう。

そして、なんと今回のゆうばりで一番会いたかった、
本当に今の映画界で最高の才能の持ち主だと僕が
尊敬している女優さんの安藤サクラさんを紹介してもらう!

「愛のむきだし」の悪役コイケ役で、
他の役者さん達を完全に喰う、強烈な演技をする彼女を
最初に見た時、僕はビビビッ!と痺れたのだった。

リスペクトしていると彼女に伝えると、
それが信じられらいと言う感じで驚いていた。

謙遜なされていたが、彼女は本当にスゴイ才能だと思う。
映画の中での存在感が凄いのだ。
今回出演されていた、「SR サイタマノラッパー2」でも、
彼女は光っていた。

ゆうばりで彼女と出会えた僕は、幸せだった。

その後、パーティー会場に小栗旬さんが現れると、
キャーキャーという女の子の声援が会場内に
響き渡る!!彼女達はパニック状態だった。

もう、何が何だかわからないほど、
会場に人がいたので、たまらなくなった僕は
パーティー会場の外へ脱出。

ふううぅ~
一息つく。

会場の外にも、小栗旬さん目当ての
女の子達がたくさんいた。

パーティーが終わった後は、ホテルの近くにある酒場で、
K社長を筆頭に、インディペンデント映画軍団の飲み会が
始まる!!

「SR サイタマノラッパー」の脚本・監督の
入江悠監督やその主演俳優の駒木根隆介さんと
奥野瑛太さん、その配給会社アミューズのAさん、
「不惑のアダージョ」を脚本・監督の井上都紀監督、
ゆうばり映画祭プログラム・ディレクターの塩田時敏さん、
プチョン映画祭プログラマーのクォン・ヨンミンさん、
そして「ムカデ人間」主演の僕という、
素晴らしく豪華な面々で飲みました!!!

ゆうばりで2年前にグランプリを取った井上監督に
去年のグランプリ受賞の入江監督という
2人の才能あふれる監督と飲む機会なんて、
そうそうある事ではない。

入江監督は今日本で1番勢いのある監督なので
ゆうばりで会う前から、その活躍を知っていた。
同い年という事もあり、彼からはかなりの刺激をもらった。
彼との出会いは僕の中で大きかった。

井上監督も、日本のインディペンデントの映画監督としての
様々な苦労や海外の映画祭での出来事を、笑顔と共に
語ってくれて、本当に優しくて素敵な女性だなと思った。

塩田さんは、「ムカデ人間」をかなり気に入ってくれていて、
彼が書いたレビューでも、『こんな傑作は10年に1度
出るか出ないかのエヴァーグリーンが約束された
マスターピースだ。』
と言ってくれたり、今回の映画祭でも
色々な所で「今年のナンバーワンは『ムカデ人間』!」と
たくさんの人に言ってくれて、本当に嬉しかった。

(塩田さんが書いた「ムカデ人間」のレビューは
こちら で読めます。)

彼のおかげで、こんなに豪華な面々と飲んでいても、
「僕はそんなスゲー映画の主演だぜ!えっへん!」と
堂々としていられた。(笑)

塩田さんが書かれた本、
「こんなに楽しく面白い世界のファンタスティック映画祭 」
でも、世界中のファンタを騒然とさせている1本として、
「ムカデ人間」を絶賛してくれている。塩田さんには、是非
続編の「ムカデ人間2 フル・シークエンス」に御出演を
して欲しい。(笑)監督に言ってみようっと。

みんなで気持ちよく飲んでいたら、
なんと途中から、「シュアリー・サムデイ」の小栗旬監督や
その出演者達、プロデューサーの山本又一朗さん達という
メジャー軍団が乱入して来た!!

インディペンデント軍団VSメジャー軍団の
飲み会が始まる。

いやあ、凄かった。
小栗さんとも少しサシで話させてもらったが、
静かに燃える闘志を持つ、熱い映画人だった。
これは女性ファンがこの場にいたら失神してしまうなと
話しながら頭の中で考えていた。

初日にしていきなり、ゆうばり映画祭というものは
どういう場所なのかを実感させてもらった。

飲む場所が3つくらいしか無いので、こうやって
どこかに行ったら、誰かに会うのだ。

ゆうばりでの出会いが元で、一緒に仕事をしたり、
新しい映画が生まれる事はかなり多いらしい。

いやあ、僕もゆうばりで会ったみんなと仕事がしたいよ!!
そのくらい、みんな良い人で、オープンな方達ばかりだった。
誰かが、こういうのは東京ではあり得ないと言っていたなあ。
ゆうばり映画祭だからこそ、みんなが開放的な気分になると。

それで、夜中の2時半あたりになり、アディーレ会館で
「井口&西村の今年も朝まで怒られナイト!」という、
イベントをやっていると聞いた。これはゆうばりに行ったら、
一度は経験しないといけないと何人もの方に言われたので、
よし行ってみるか!と決断。

みんなに別れを言い、方向音痴の僕は優しい井上監督に
案内してもらい、アディーレ会館に向かった。

井上監督と2人で歩いた、ゆうばりの夜の道は美しかった。
彼女はこのゆうばりの夜道が好きだと言っていた。
2人とも酔っていたが、あの時に2人で色々と話したのは
多分一生忘れない思い出になったと思う。

アディーレに到着し、3階の特設会場に入ると、
井口昇監督や、西村喜廣監督、今回のコンペの審査員で
あり、NYアジアン映画祭のディレクターである
マーク
・ウォルコゥさんまでもがふんどし姿でステージに
上がっており、異様な熱気にムンムンとしていた。
ちょっとコレは、途中から参加するのは辛いと思い、
「戦闘少女」の予告編を見てから、5分で退場。(笑)
「戦闘少女」は凄く面白そうで、絶対に観てみたい!!


ホテルシューパロに戻り、井上さんに別れを言って
部屋に戻った時は、もうすでに3時半になっていた。

寝る前に、今日出会った人の映画は全部観ようと
決意し、翌日の見る映画のスケジュールを確認する。

「カルマ」に、
「SR サイタマノラッパー」
「不惑のアダージョ」
そして、「SR サイタマノラッパー2」
の4本を観る事にする。

1日に4本を観るのはかなりのハードスケジュールだなあと
思ったが、絶対に観ないとイケナイのだ!!
結局は、僕達は映画人。その作品がその人についての
多くを語るのだから。

ベッドに横たわり、
幸せな気分で僕は眠りについた。

今日出会った才能ある人々の、
魂の結晶とも言える映画を観る事をワクワクと夢見ながら、、

(次回に続く)