昨日の話しです。

LAは久々の雨模様。
最近、急に寒くなって来たので、
俺の愛犬チワワのディスコチェリーに
着せてやる服が必要だなと思い、
ペットショップに車を走らせました。

ディスコを試着のためにショップに連れていき、
鮮やかな朱色の子犬用パーカーをゲットしました。

雨の中、帰路に着こうと
赤信号で信号待ちをしている時に、
事故は起こったのです。

突然、後ろからおもいっきり車が突っ込んできました!!
大きな衝突音。もの凄い衝撃。俺の膝に座っていた
ディスコが宙に舞い、そのままハンドルに激突し、
床に落ちます。車内に置いていた飲み物のガラス製
のボトルが飛んで、俺の顔に直撃し、そして車は
そのまま前にいたトラックの後部にぶつかりました。

脳震とうとショックで何が起こったのか
わかりませんでした。とりあえず、車を横に寄せる。
車のダメージや、俺の怪我よりも、一番心配だったのは
ディスコでした。普通の小型犬だったら、死ぬかもしれない
ほど激しく叩き付けられていた。俺は「ディスコ!!!!」
と叫び、体の状態をチェックします。外傷は見当たらない。

俺を後ろから当てた、韓国系アメリカ人のおっさんが
蒼白な顔で車から出て来ます。
そして、俺の車の後部のダメージを見て、
「ダメージは大した事がないな。」とぬかしやがるのです。

俺は、「ふざけんな!車に犬がいたんだ!!まずは
こいつが大丈夫かだ!!」と言って、震えるディスコを
車外に出します。そして、歩かせてみると、、
あれ?普通に元気に歩きました。とりあえず、今の所は
大丈夫そうだ。

なんと、俺がぶつかった前のトラックは、そのまま
無視して行ってしまいました。
なんて、いいかげんなんだ、アメリカ人は!!

とりあえず、自分の車のダメージを見る。
車の後部は確かに目立った傷はなかった。
車の後ろのバンパーが少しずれていたけど、
これは前に当てられた時に出来たものかもしれない。

おっさんが、必死にダメージが無いと、自分の弁護に走ろうと
していたので、また俺がキレ気味に彼に言います。
「オイ、お前、まずは俺の体調を気にするべきだろ。」

顔を打って、歯が少し痛い。
鏡で見てみると、上の前歯が0・5ミリくらい欠けている!!
まあ、全然目立たないので、そこまで気にはなりません。
でも俺は役者で、顔は俺の商売道具。
それに傷をつけられるのは、シャレになりません。

脳震とうとショックで気持ちが悪かったので、
これはとりあえず、保険会社に連絡をしようと提案した
のですが、相手はそれを嫌がります。保険を使えば、
その次からの保険が高くなってしまうからです。
おっさんは、「俺は借金だらけなんだ!」
と泣きついてきます。今、思えば、奴はもしかしたら
保険さえも持っていなかったのかもしれません。

アメリカは、こういう事故を起こした場合、加害者が
保険を通したくない場合、示談交渉をする事が多いです。
俺も、アメリカにいる間に、何回か後ろから当てられた事が
あったのですが、示談でお金をもらって、許した事も
ありました。

俺は後遺症の事も含めて、保険会社を通した方がいいと
思ったのですが、どうしても示談交渉にしてほしいと
相手が言って来ます。

おいおい。
お前マジかよ。
俺は、インディペンデントでやってきた映画監督だぞ。
映画に命をかけて、金を見つけて来たハスラーだ。
それほど交渉したいなら、してやるよ。

まず、俺はこの見知らぬおっさんに
「じゃあ、現金で今すぐ弁償金を払ってくれ。
そうでないと、保険会社に連絡だ。」と言う。
そして、「キャッシュで、何ドルくらい払える?」
と彼に聞く。

その時、俺の目の色が変わったのに気がついたのか、
オッサンはだんだん動揺してきた。震えながら、
「何ドル払えばいいかわからない。」と言う。

そう彼が言った瞬間、
この交渉は俺が主導権を握っていると確信した。

で、俺が彼に言う。
「後ろのバンパーを取り替えるのと、前の車にあたった
所を修理するのに、、数百ドル必要だなあ。あと、
俺は役者だから、歯の治療をしなければいけない。」

間髪入れずに俺が、値段を言う。
「それでは、700ドルくれ。車の修理代500に、
歯の治療で200だ。」

おっさんは、驚愕の顔をしてこう言う。
「高い!そんなの俺の全財産だ。」

正直、修理には出すつもりはなかったし、
むち打ちの後遺症もあるかもしれないが、そこまで
酷いものではないと自覚していた。歯へのダメージも、
サーフィンで鼻の骨を4回折った事のある
キャメロン・ディアスに比べたら、こんなの全然大した
事がない。歯医者に行かなくてもいいくらいだ。
もうこの時点で、俺は全てを懐にいれるつもりだった。

でも、病院で検査して、メカニックに修理を頼むと、
1000ドル以上はかかるのは確実。
700ドルは決して高くはない。

「じゃあ良いよ。これは保険会社に任せよう。」
そう俺が言うと、おっさんがこう返してきた。
「じゃあ、600ドルで!」

示談成立。

その後、おっさんの銀行に一緒に行って、
お金を引き出させました。
帰り際に、俺はおっさんにこう言いました。
「ちゃんと、誠実に対応してくれてありがとう。」
おっさんも、「立場を理解してくれて、ありがとう。」
と感謝をし、2人で握手をして、別れました。

日本にいる方は、事故の後のこういう処理の仕方は
信じられないかもしれませんが、アメリカでは
よくある事だと思います。車の保険を持たずに
運転している人間もたくさんいるので。
普通、こういう事が起こった時は、警察を呼んで、
保険会社に連絡する方法が一番だと思います。
でも、そういうやり方とは違う方法で解決するのも、
生活の上でありだと思います。
結局は人と人との関係だからね。

てなわけで、後ろから当てられたことにより、
600ドルをゲットしました。
ある意味、ラッキー!(笑)

その日の夜は、俺とディスコは、俺達の頑丈な体を
感謝するために、ステーキを買ってきて食べました。
ディスコも全然ピンピンに元気で、ステーキの
あまりの美味さに興奮しまくりでした。(笑)
小さい頃から、こいつを鍛えておいて本当に
よかったと思います。

俺の愛車のサイオンも、あれほど強くぶつけられた
のに、目立ったダメージが無いというのも凄い。
サイドから当てられたら、一発で終わると思います
が、後ろからは強いようです。

次の日になって、少し首が痛いですが、このくらい
サッカーをしていてデカイ黒人に背後からタックル
された時にくらべたら、大した事がありません。
いつか治るでしょう!

みなさんも、運転は気をつけてくださいね。
特に、ロサンゼルスで雨の日の運転は、
みんながアホのような運転になるので、要注意です。

今回は、大した事にならずに、本当に良かったです。




http://www.youtube.com/watch?v=XCMrGSbjieE
Lily Allen - Naive