あーあ、ユーチューブの全部消されましたね。
そりゃあ著作権侵害かも知れないが、
無料で見れるテレビをネットで見れても、別にいいじゃん。
時代を先行しなければ未来はない。本当に良い話だったから、
皆に知って欲しい。

で、俺は脚本家であり映画監督。
良いストーリーを語る事を仕事にしている。
俺をナメンナ!!ていうわけで、俺が見たものの記憶を
ここに書きます。本当に、バーっと勢いで書くので、、
まあ話しを楽しんで下さい。

キラキラ


出川哲朗は笑っていた。
親友の松村邦洋がテレビに出て、ビートたけしのモノマネを
しているのを。

「ウケてる!まっちゃん、ヤバイよ!ヤバイよ!」
3畳半のトイレもシャワーもない狭い部屋で、安いカップ
ラーメンを食べながら、親友の活躍を応援していた。

出川と松村は売れない芸人だった。
二人は出会い、そして親友になった。
二人で過ごすのが楽しいから、仕事が無くてお金がない
貧乏生活でも苦にならなかった。二人で作った飯を食い
ながら、出川は松村のモノマネにウケにウケまくった。

「まっちゃん、それ面白いよ!!ヤバイよ!ヤバイよ!」
「出川さん、ヤバイよって何ですか?」
「めちゃくちゃ面白すぎってことだよ!!もう、ヤバイよ!」

出川は松村の芸にいつも爆笑していた。そのモノマネは
斬新で、本当に元になった本人に似ていたのだ!

「まっちゃんは、本当に面白いなあ!」

年月が経ち、二人の関係に変化が出た。
松村邦洋がモノマネ芸で売れて、一気にブレイクしたのだ。
ビートたけしのモノマネがたけし本人に気に入られて、
「スーパージョッキー」にも出るようになった。その頃、出川
は多忙になった松村をテレビで見る事が多くなっていた。
彼には仕事が全く来ない。一方、親友の松村は人気者に
なり売れている。同じ芸人として、天と地の格差がある事に
複雑な気分になったが、それでも友達が活躍しているのを
テレビの前で「ヤバイよ!みんな、ウケてる!!ヤバイ
よ!!」と笑いながら無邪気に応援していた。

ある日、芸能人の登竜門である、「笑っていいとも!」の
テレフォンショッキングのコーナーに、松村が呼ばれることに
なった。放映日に、かじりつくようにテレビの前に陣取った、
出川。番組が始まった!!松村がタモリと喋っている!!
「スゴい!!まっちゃん、タモリさんと話しているよ!!」

番組も終盤になった時、タモリの目の前で、彼の得意な
モノマネを披露する事になった。たけしのモノマネから始ま
り、数々の有名人の「本当に似ている」マネをして、観客は
盛り上がり爆笑の渦となる。そして、モノマネの最後の1人
となった。

「じゃあ最後に、出川哲朗さんのモノマネをします。」
出川はそう聞いて、「え?」とショックを受けた。

松村がマネをしてこう言う、
「ヤバイよ!
ヤバイよ!!ヤバイよ!ヤバイよ!!」

出川は信じられなかった。松村が誰も知らない出川のモノマネ
をしている。案の定、盛り上がっていた観客はだれも出川の事
なんて知らないから、シーンとなっていた。

出川は激怒した。

「せっかく、笑っていいともに出れたのに、なにやってん
だよ!あんなに、みんなにウケていたのに、俺のモノマネ
なんかして、全てをぶち壊して、何やってんだよ!!!」
出川はその夜に松村に電話して、激怒しながら、なんでそんな
事をしたのかを聞いた。するとしばしの沈黙の後、松村がこう返す。

「出川さん、僕、、出川さんのモノマネが一番上手いんです。
本当に上手いんですよ。だから、僕はやり続けます。
お客さんが知らなくても、ずーっとやり続けます。
後は、出川さんが売れるのを待つだけです。」

「ま、まっちゃん、、」

電話の向こうで、出川は号泣していた。

それから一年後、
松村の言葉に勇気づけられた出川は死に物狂いで
頑張った。そして、「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」
に出て、見事優勝を飾った。売れない頃に鍛えたリアクション
芸がウケたのだ。

熱湯を体にぶっかけられて、出川が叫ぶ。
「ヤバイよ!ヤバイよ!」

出川哲郎は笑っていた。




『ハリウッドで、愛をさけぶ!』 新進映画監督 北村昭博   AKIHIRO KITAMURA OFFICIAL BLOG  
出川哲朗

『ハリウッドで、愛をさけぶ!』 新進映画監督 北村昭博   AKIHIRO KITAMURA OFFICIAL BLOG  
松村邦洋


良い話ですよね。