キター!!
遂に来た!!!!!
ここまで長い闘いでした。
体が震えました。
目に涙が溜まりました。
上映が始まる一日前に、
最高の知らせがやって来ました。

ロサンジェルスの大新聞「LA Weekly」の映画批評は
厳しい事で有名です。様々な映画が容赦なく酷い批評を
書かれているのを何度も読んできました。
だいたいほとんどの店でLA Weeklyを置いてあるので、
俺が一人で外食する時は、いつも映画のセクションを
飯が来る前に読んでいました。映画批評では、
「これは映画監督のオナニー映画だ。他人のオナニーを
見るなんて酷くつまらない。」とか「このコメディー映画は
笑えない。笑い声を編集で入れるべきだ。」という風に
ヒドーく書かれているのを読んで、「うわあ~もし俺がこれを
作った監督だったら、めちゃくちゃ落ち込むだろうなあ~」
と他人事ながら思っていました。美味しんぼの海原雄山
みたいなもんですよ!怖い!!


そして昨日の朝。起きたばかりの僕の元に知らない人
からの一通のEメールが届いていました。
「LA Weeklyで映画批評を書いている、アーネストです。
アナタの映画「I'll Be There With You」をついこの間
受け取り、観ました。すごく気に入りました。
a Pick of the Weekにしました。もしよろしければ、
映画「PORNO」のほうも送ってもらえないでしょうか?」

え!?一瞬目を疑いました。LA Weekly?Pick of the Week?
配給会社のイレブンアーツが様々な映画批評家にレビューを
書いてもらうためにI'll Be There With YouのDVDを送ったと
いう事は知っていたのですが、正直な所、どこの馬の骨か
わからないインディペンデント映画なんて観てもらえないん
だろうなと内心諦めていたからです。まさか騙されている
かも?と思った俺はこの映画批評家アーネスト
ハーディー
の名前をグーグルで調べました。驚くべき事に彼は
LA Weeklyだけでなく、LA TIMESやVibe、the New York
Times、Rolling Stone、the Source、Millennium Film Jounal
やFlauntと言った超一流の雑誌で書いている、有名映画批評家
でした!!

そこでやっと実感しました。
あの天下のLA Weeklyが俺の映画を観てくれた!!!
しかも、今週に封切られた映画の中から
1本だけの「A Pick of The Week(今週のお薦め映画)」
に選んでくれた!!!!!!!!


俺はこのI'll Be There With Youを2004年に撮りました。
2006年に完成させ、イレブンアーツさんと海外配給の契約
を結び、ドイツでDVD配給され、そして2009年にアメリカ
で劇場公開されるに至っているのです。長い、本当に長い
闘いでした。劇中に白人女性とのセックスシーンがあると
いうだけで、「白人オンナと好き放題しやがって!街で
見かけたら、後ろからトラックで轢いてやる!!」という
脅迫のようなメールが届いた事もありました。
「ああ~この映画はダメなのかなあ~」と思った事も
何度もあります。でも、俺はこの映画の脚本を書き上げた
あの日からずーっとこの映画を信じて生きて来ました。
俺の事を映画監督として信じてくれて、助けてくれた
人々の想いが俺の中に生き続け、それを裏切る事は
出来ないので、俺は自分は天才だ、これは本当に
最高の映画だと思って、絶対に諦めませんでした。
諦めたらそこで終わりと胸に誓っていました。

そして今日、この日に出されたLA Weeklyを朝のミーティング
の前にゲットして震える手で映画の批評ページへ新聞を
めくりました。その時です。根拠の無い自信は根拠を
手に入れると、それが確信となる。その時に俺は
確信というものを得ました。

最高の批評でした。
LA Weeklyの有名批評家からの絶賛。
Donkey Punch、My Bloody Valentine 3D、Underworld3、
Hope DavisやAlfred Molina、そして Philip Baker Hallという
実力派俳優達が共演しているTHE LODGERなどを抑えて
「A Pick of The Week」選出。

こちらがその批評と、日本語訳です。

http://www.laweekly.com/2009-01-22/film-tv/movie-reviews-growing-out-the-lodger-underworld-rise-of-the-lycans/

キラキラ


GO I’LL BE THERE WITH YOU It’s a standard B-movie horror setup: A group of young, attractive friends take a road trip to an isolated setting for a vacation filled with sex and booze. Toss in a demented groundskeeper and a trio of escaped convicts, and let the fun begin. Writer-director Akihiro Kitamura stirs the formula with hard-turn plot twists, animated demons that haunt characters’ dreams (but also make blink-of-an-eye appearances during waking hours), a stylish burlesque show, and — most importantly — off-kilter humor that’s at once frat-boy silly and David Lynch–absurd. At the center of the madness are Aki (Kitamura) and his girlfriend, Annie (Adarsha Benjamin), whose relationship flux is fueled by Aki’s commitment phobia. Along for the ride is Aki’s best friend, Yabu (Daisuke Yabuchi), a guy of dubious sexuality whose subtitled Japanese conversations with Aki prove to be a major plot device. As the film unfolds along genre tropes, intermingling sex and violence, repeating but then upending the obligatory depiction of female victimization, it becomes darker and knowingly sillier. Low-budget but slickly crafted, and decently acted by its multiracial ensemble, I’ll Be There with You hums with wittily orchestrated ideas, including its own contribution to the reams of academic sociopolitical readings of horror flicks: the radical positioning of the Asian male as a vibrantly sexual being. (Downtown Independent) (Ernest Hardy)


GO I’LL BE THERE WITH YOU (日本語訳)

B級ホラー映画のお決まりの設定ー
若くて魅力的な仲間達がセックスと酒を
楽しみながら、孤立された場所へとロードトリップする。
そこへ、精神が錯乱している管理人と脱獄犯罪者のトリオを
投げ込んでみよう。さあ楽しみが始まった!!

脚本家/映画監督の北村昭博は
そのストーリーにツイストに富んだ怒濤の展開を加え、
寝ている登場人物を夢の中で襲う悪霊をアニメーションで
表現し(なんと悪霊は起きている時でもまばたきをする
一瞬に姿を見せるのだ!)、
スタイリッシュでバーレスク風な音楽喜劇で魅せ、
そしてなによりも重要な才能のテクニックとして、体育会系
男子の馬鹿騒ぎのようなギャグとデビッドリンチ的な不合理性
を合わせた、外れたユーモアを全編にわたりちりばめる事に
より、ホラー映画お決まりの公式をかき乱す。

この狂気の真っ最中にいるのはアキ(北村昭博)と彼女の
アニー(アダーシャ
ベンジャミン)。アキの束縛される事に
対する恐怖心が、二人の不安定な関係をさらに悪化させ
る。旅を共にする友達グループの一員で、アキの親友の
ヤブ(薮内大典)は怪しいセクシャリティーの持ち主であり、
ヤブとアキが交わす字幕が付いた日本語での会話には
物語の重要な伏線が張られていると後に証明される。
映画はセックスとバイオレンスを交えながら、ホラー映画
における義務として負わされる、女性が犠牲になって
いく描写を繰り返し、そしてその描写を逆説的に表現する
事により、映画はさらにダークになり、そして意図的に
もっと可笑しい方向へと加速していく。低予算映画だが
なめらかなほど丁寧に作り上げられ、異人種で構成
されるアンサンブルキャストの演技は素晴らしいの一言。
「I'll Be There With You」はホラー映画における社会政治学
の観点からの考えに多大な貢献をし、アジア人男性を
性的に活発な存在(いわばプレイポーイ)として急進的に
その位置を決定付けるなど、ウィットに富んだ様々な
アイデアが重ねられたそのオーケストラによって、
観客を震撼させる音をあげていく。
(アーネスト
ハーディー)

キラキラ

凄く良く書かれた批評です。短い文章で映画1本の本質を
表現するのは本当に凄いプロの批評家の仕事であると
思いました。俺は色々と思考を張り巡らした上で、本能的、
感覚的に映画を撮ります。その俺がどのような考えで
この映画を撮ったかという事を全て理解し、そしてこの俺の
感覚的な部分を文章にするという事は普通の人には
絶対に出来ない仕事です。流石としか言い様が無いです。
ちなみに、この批評への感謝の意味を込めて彼にメールを
送ったのですが、返事は返って来ませんでした。それは多分、
彼もプロの批評家としてフェアな考えを持つために映画監督
の俺とは個人的な付き合いをしないという事なのでしょう。
酷評をする時はしなければいけない無情の世界なのですから。
でも、まあそんなの関係ありません。オラァ!!俺はこれから
も最高の映画を撮り続けていくだけ!
酷評なんてされるわけ
がない。だって俺は天才ですから!


今日はこの新聞を片手にI'll Be There With Youに関わった
人達とこの喜びを共有しました!上映されるダウンタウンの
劇場主のジムは「ここで上映される映画で初めて、
LA Weekly
に悪く書かれなかった!!」と喜んでいました。(笑)

ついに劇場公開が始まります!!!
みなさん、是非、LA WeeklyのPick of The Week
「I'll Be There With You」を劇場まで観に来て下さい!!!

よろしくお願いします!!!!!!!


『ハリウッドで、愛をさけぶ!』 新進映画監督 北村昭博   AKIHIRO KITAMURA OFFICIAL BLOG