面白いものを作る | 王様の耳はロバの耳

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ゆがんだかがくしゃのたのしいにっきだよ

Blogばっかり書いてると仕事してないと思われるかもしれないので,ちょっと仕事の話.



ここ数日,テーマパークの企画の仕事で研究室は大騒ぎ.
というほど人が関わっているわけではないのだけれど.

・おもしろさ
・予算
・技術

といった要素があるところで,どうしても,予算的な制約と,技術的な大変さというのがオーバヘッドになる.

まあでも予算的に充実していたからといって,タコに金を積んだって,タコはタコなので,そこは頭の使いよう,結局,工学的な技術と,ものづくりのセンス,くわえて,おもしろさ,ということになるわけです.

しかしこの「おもしろい」っつうのが本当,頭痛い.

常日頃からフランス人の笑いのセンスにはちょっとついていけないところもあって,私自身,会話とか,ジョークでは普通に学生や一般人を笑わせることはできるのだけど,先生とかビジネスマンとかになると,どうもそうはいかない.

具体的に例を挙げていきましょう.
たとえば「リアルタイム画像処理で顔を変形させる」とかいうネタが出てくるわけです.


東大アルバロさんのKHRONOS Projectorが最近のインタラクティブ作品としては印象深いわけですが,果たしてそれが「面白いのか?」.

もっと具体的に言うと,今の企画は数あるパビリオンの中でも,コードネーム『笑いの殿堂』という場所に出す一連の作品群です.英語で言えば「Fun House」でしょうか.つまり,アート的に「!」な
ものでもなく,工学的に「Interesting!」でも「Amazing...!」でもなく,『ギャハハ!』でないといけないようなのです.

うちの息子はともかく,あの作品で『ギャハハ』と笑えるためには,相当コンテンツなりシステムなりを再考しないといけません.

また,技術的にも盗めば盗めるわけですが,私はそれを是とはしませんので,似たようなシステムを作るにしても「何か」をゼロから作らないといけないわけです.

しかし笑いを限定されるというのも,エンタテイメントシステムの持論である「自由」を限定する行為なので,冷静に考えるとRoger Cailloisに申し訳が立ちませんね.


この課題に経験則や勘ではなく,方法論で取り組むということは,本当に大変な課題ですが,まじめに取り組めば取り組むほど面白いです.