子供の頃、夏休みになると、亡き母の実家に滞在していた。
夏休み突入とともに母に連れられて電車を乗り継ぎ実家まで行き、お盆に再び母が迎えに来て、お盆休み明けに帰る。
ほぼ1ヶ月、その田舎で過ごしていた。
周辺は田んぼしかなく、夜はまさに降り注ぐ星空。
お風呂は薪で沸かし、ハエとり紙が吊るされ、玄関、台所は土間。
昔も今も、かなりの田舎である。
祖母と同居している歳の離れた従姉妹と毎日ごっこ遊びして過ごす。
夕方になると、風呂を沸かすことを任されていて、日が沈んでからの追い焚きは、風呂の薪の炎の灯りの他は無く、一寸先は闇だった。
昔の家だから、トイレは外にあり、この闇の深さを想像していただければ、夜のトイレの怖さ、追い焚きの時の怖さも、お分かりいただけるだろう。
小学校高学年の夏休みは、決まって母の実家で過ごしたが、中学生に上がると部活や学業で忙しくなり、田舎での滞在はなくなった。
亡き祖母によくもらった、ミルクアイスバーや、小豆アイスバーの、
かぶり付いた歯に当たったアイスの冷たさは、50歳になった今でもよく覚えている。