「健気だね、○○は」
腰をおろして開口一番にそう言った俺の真意をはかろうと、秋斉は無言のまま見返した。
「この間、座敷で○○に会った時のことだよ。ー聞きたい?」
「へぇ、この間……“慶喜はんがあの娘を座敷に呼びはった時”のことやな」
「……あれ…?なんか、刺が無かった?今の言い方」
「なんの話でっしゃろ」
肩をすくめる俺に、一度はそっぽを向いた秋斉が「それで?」と先をうながす。
ひねた様子もなくわずかに緩む目元から、秋斉にとって○○の話題はもう警戒の対象にはないのが判る。
「あの日、○○がどうもそわそわしているように見えてね。訳を聞いたら、もうすぐ秋斉さんが生まれた日が来るからって…目をきらきらさせて」
あの瞬間の、こどもみたいな顔を思い出して笑ってしまう。秋斉のことが大好きだーって、身体中に書いてあるような、あの姿。
「…なんや故郷の風習やら言うて……わてに限らず誰かの生まれた日が来る度に嬉しそうにしてはるけど」
「あはは、すごく○○らしいね。…あの日も『秋斉さんは何をしたら喜んでくれるんだろう』って。『慶喜さんならどうしますか』ってあんまり真剣に考えてるものだから、だんだん釣られて俺まで真剣になってしまって…」
「…ならんでええ」
「思い当たって言ったんだ。……消えることかなって」
秋斉の方を見なくても、空気が硬くなったのが全身で感じられた。
違うんだ、そんな顔をさせたい訳じゃない。秋斉が何か言うより先に話の続きを放り込んだ。
「ずっと俺のことで悩ませてきたからね。俺が消えたら秋斉の苦悩も無くなるんじゃないかって、思ったんだ。…もちろん、本当に消えようだなんて思ってないよ」
少しだけ笑いながら弁明する間も、横顔に叱るような視線が注がれていた。
「……可哀想に。お前にそんなことを言われたら、あの娘は悲しむ」
「…そうだね」
秋斉への贈り物は“自らが消えること”だと答えた俺に、○○は傷付いたように何段かに分けて睫毛を伏せた。
小さな肩を上下させながら息をして、きっと俺を見据えた。
『もしも今、慶喜さんが消えたら……秋斉さんはきっとこの先、笑えなくなっちゃう…』
『秋斉さんや私を酷い目に合わせてやりたくなったら……そうされたらいいと思います』
『私も……笑えないから』
いつもは砂糖菓子のように涙に甘く崩れる目元。あの日はその輪郭を変えることなく、強い瞳が向けられていた。
「…○○にもこっぴどく、怒られたよ」
俺は漸く真っ直ぐに秋斉の顔を見た。
秋斉の頭の中の○○は泣いていたんだろう。
怒られた、しかもこっぴどく…。
あの日の俺がそうであったみたいに、秋斉も豆鉄砲にあたった鳩のようになっていて、思わず笑ってしまう。
「最近よく思うんだ。…俺はずっと、あの娘を救った気で居たけどさ。あの日、あの娘に逢って救われたのは、俺達の方だったのかなって…」
「……」
「……そう思わないかい?」
秋斉が何か言おうと口を開きかけた時、襖の向こうにあの娘の足音がやって来た。
「菖浦さんの名代で参りました…今宵はどうぞごゆっ………秋斉さん…?!」
ここに客として秋斉が座っていることが、彼女にとっては相当に意外な光景だったのだろう。
板についてきた挨拶の途中で、驚きの声をあげた。
「……。…藍屋では新造はんにそないな挨拶の仕方を教えてはるんやろか?」
意地悪く灸を据えてくる楼主に、○○はしまったというように指先で口元を隠す。
「…申し訳ありません。秋斉さんがいらっしゃるなんて、聞いてなかったので…つい」
「ーついとちゃう」
「まあまあ…めでたい日に小言は言いっこなしだよ。ほら、○○も反省してるし…」
「…さっきからあんさんも○○はんもにやけとるようにしか見えへんけど?」
ぱちぱちと、3人の視線が交差する。
「そりゃそうだよ…」
「だって今日は…」
大切な貴方の、お誕生日なんだから。
おしまい
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はい(*´∇`*)
安定の性癖ですね……
本人のいないところであれやこれや殿方(主にこの二人)が噂してくれてる…。
過去にもひとつ、ふたつ書いたことがいや待てよ…みっつ…?あの沖田さんも入れたら……ぇー
何度でも書きますよ!(笑´∀`)
どうぞまた癖が出てるわと笑ってください♡
#藍屋秋斉生誕祭2018
#藍屋秋斉生誕祭
Twitterの検索でこの辺↑を打ち込むと、素敵なお祝いがたくさん拝見出来るんだよ(//´▽`//)
アメブロはずいぶん静かになってしまったけれど、Twitterでは艶がが好きな人たちに毎日会えますよー☆
とはいえ、ここももう少し大切にしないと…と思ってはいます。
慶喜さんや秋斉さんへの色んな気持ちを、叫び続けた大事な大事な艶が日記帳だもんね(*´﹀`*)
秋斉さん、お誕生日おめでとうございます♡
おめでとう♡
あ(//´▽`//)
Twitterでのアイコンお祝いにご賛同いただいた皆さま、本当にありがとうございました♡
秋斉愛であふれたTL、
おひとり残らずとても素敵でした

