今年はあんまりお話を書かなかったな(´・∀・`)
そのせいでしょうか、
昨日から何度か読み返しては修正を入れてるんだけど、書き慣れない感がどうしてもぬぐえないというか、いまいち私らしく書けないというかなんというか笑
来年はもっと色んなお話を書きたいな…
そう、書きたいな…と思っています☆
会えるうちに、幕末と私達が繋がっているうちに、たくさん会って置きたいな。
そんな気持ちでおります
(皆さんご存知 思うだけ茶衣太郎)
慶喜さん、今年もたくさん、ありがとう♡
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「今日こそお前のおねだりが見れるかと思ったのに」
私の手の中の小さな根付けを見て、慶喜さんは口を尖らせた。
「今させてもらいましたよ、とっても嬉しいです」
ちりめんに綿を入れて小さく小さく作られた雪うさぎの根付け。玉結びで作られた、赤いちょこんとした目が可愛くて、古物市で買った水色のはこせこに付けたらきっともっとかわいい。
「そういうのはおねだりとは言えないよ。頑張ってるお前に、いつもは出来ないような贅沢をさせてやりたいのに」
恨めしそうにつつきに来た指の上に、ぴょんぴょんとうさぎを跳ねさせた。
「もう…」
諦めのため息を吐きつつ笑った慶喜さんの視線がふいに私とうさぎから逸れた。それを追って振り返ると人形屋さんの店先に大小さまざまな亥(いのしし)の張り子が並んでいた。
「わあ…!可愛いですね!」
白地に朱や藍など、コントラストの効いた色合いでお化粧された亥達が並ぶ様子は華やかで、目を奪われる。
「来年の干支張り子だね。藍屋への土産にもなるし、見て行こうか」
そう言って引かれた手に内心ではどきりとしつつも、それが伝わることさえ気恥ずかしくて、笑って誤魔化した。
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「…珍しいかい?」
色とりどりの張り子達はこてこての和風というよりも北欧よりの余白のあるデザインをしていて、現代でも好まれそう。
あまりの可愛らしさに“故郷”への警戒心も忘れて「はい」と素直に頷いていた。
「私達の故郷では、あまりこういうものは無かったので…。どれもすごく素敵です」
現代で見た張り子といえば、黄色の土台に黒か赤で縞模様をつけた、激しい顔の虎が頭に浮かぶ。丈夫にさせるためなのか、質感ももっと てかてか していて…。なんというか、全体的にもっと強そうなイメージがあった。
だけどこのお店の白い張り子達は、紙の少し毛羽だったような素材感がそのまま活かされていて、丸っこい形もほっこり優しくて、和む。
あれが可愛い、これも素敵…と、亥達が陳列されているままに、私も一歩また一歩と横へずれていく。
そうしている間に、お店のご主人に声をかけられたのか、来客を招くものが欲しいのだと話す慶喜さんの声が聞こえてきて、慌ててそばへ駆け戻った。
慶喜さんは置屋のお土産を見に来てくれたというのに私がよそ見をしてどうする。つい夢中になって失礼なことをしてしまった。
「ーどうかな○○、これでいい?」
話しかけてくれた慶喜さんは、私の申し訳なさそうな顔に気付くと、優しく目元を緩めて撫でるように頭に触れてくれた。
「……。」
「…もっと大きいのがいい?」
「あ…!あ…いえ!これが…慶喜さんが選んでくれたこれが、素敵です」
声をかけられたことでその仕草に惚けていたのだとわかって、弾かれたようにあたふたと答えると、慶喜さんが小さく吹き出した。
「仲良さそうでよろしいですな」
選んだ張り子に緩衝材としての古紙を巻いてくれながらご主人にも笑われる。
「そうなんだ、見事な百面芸が可愛いだろう?」
「げ、芸をしてる訳じゃ…」
「あはは、可愛いな。お前みたいな張り子があれば、俺も欲しいよ」
膨らませた頬をつつきながら慶喜さんが呟くと、包み終えたご主人が「それやったら…」と手を打った。
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師走の冴えた空気の中を真っ直ぐに届く夕陽が、二人の背中を照らしていた。
置屋へ向かうの私達の手には、お互いに似せて描いた小さな亥が乗っている。
私に似た干支張り子が欲しいと言った慶喜さんに、ご主人は無地の張り子への絵付けを提案してくれた。
絵付け職人さんにお得意様から大きな仕事が入り、塗りきれなかった無地の亥が余っているから、と。
それならばと塗料を借りて、手元を隠し合いながら仕上げた、お互いに似せた(つもりの)亥たちだ。
「…○○は俺のこと、襟巻きだと思ってない…よね?」
「おも…思ってません、そんなこと…!お目めや前髪もちゃんと慶喜さんですよ、ほら」
「えー?」
不平な口振りとは裏腹に、くすぐったそうに笑う慶喜さんのお顔はかわいい。
「…慶喜さん、今日はありがとうございました。とっても楽しかったです」
「うん、俺も。ありがとう、○○」
白い息は交わらずあっという間に空気に溶けていく。
「慶喜さん亥を描きながら、お願いしていました。…来年も慶喜さんが、健やかで幸せでありますようにって」
「……それだけ?」
慶喜さんは少し驚いたように止まった後に、視線をいくつか動かした。
それから探るような目で私を見た時にはもう、いつもの慶喜さんだった。
「俺はこうも願ってたよ。…来年もお前と、たくさん一緒に過ごせるようにって」
慶喜さんの手の中の亥な私が、
私の手の中の慶喜さんな亥にすり寄った。
自分の中にその願望があるからか、その画がなんだかとても恥ずかしく見えて顔に熱がのぼった。ぴったりくっついている二匹を見ていられなくて、腕を少し曲げてしまうと慶喜さんが笑う。
「亥の俺は奥手だな。俺ならしっかり○○を抱きとめるのに」
慶喜さんの方を向いた私を夕陽が横から照らしてくれるけど、今の赤い顔はそれでも誤魔化せてないだろう。
慶喜さんはどちらとも取れるくらいに曖昧に、ほんの少しだけ腕を開いてにっこりと笑っている。
身体が正しく動かないほど緊張しているのに、そこへ引き込まれるようにふらふらと寄り添うと、大きな腕にぎゅっと抱きしめられて力が抜ける。
「来年も、お前が…」
(…来年もあなたが、幸せに笑ってくれますように…)
そしてもしも…
贅沢なおねだりを許してくれるなら。
(来年もあなたの…慶喜さんの近くに居られますように)
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おしまい