この人無しでは終われない、私のa de cafe♡


最終話は慶喜さんです♡


さらっと仕上げるつもりが、慶喜さん×カフェで浮かんでくる欲望がとめどなくて散らかって……前・後編に分かれてしまいました☆

欲望こわい欲望こわい…(*ノェノ)


少しでも楽しんでもらえるところがあれば嬉しいなっと(人*´∀`)♡



【お知らせ】

a de cafe企画は本日20日までの予定でしたが、延長のご希望がありましたので、
少しだけ延長させていただきます(*˘︶˘*)

closeの日にちはまた参加者さまと相談して、お伝えさせていただきますね♡

皆さま、あと数日ご贔屓によろしくお願いいたします☆





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「いらっしゃい」


あっ、と彼が居た喜びをそのまま顔に出してしまったような気がして慌てて口を閉じた。

彼は親しみのある笑顔を作って「こちらへどうぞ」と、席を勧めてくれる。



(カウンター席……!)



いつもは午後に訪れていた a de cafe 。
今日は市役所の用事の帰りに我慢できなくて立ち寄った。お客さんも他の店員さんもいなくて、店内には彼しか居ない。

こんなに静かなこの店を見たのは初めてで、思わず見渡してしまいながらカウンターの背の高いスツールにちょこんと腰掛けた。


「珍しいね。ここ、朝は静かでしょ?」

「えっ!あ、はい。静かで……す」


(珍しいねって……!)


私がこの時間に来ることを“珍しい”と言ってくれたのか否か、自分の中に住む小人達が集まって来て自分会議が開かれようとした時、声をかけられて我に返る。


「何を淹れましょうか」

「あ…えっと…」


慣れないカウンター席から見上げる彼は想像していたよりも近い。

平常心を装ってメニューを眺めてみても、心は勝手に浮き足立ってしまって、なかなか選べない。


「……もし嫌じゃなかったら…俺が選んでもいい?」


元々、がちがちに畏まった話し方をする人では無いけれど、それでもこんなにくだけた感じで話しかけられたのは初めてだった。

もっとも、今までこんな風に二人きりで話をすることなんて無かったから、知らなかっただけかも知れないけれど。


とにかく私はものすごく間抜けな顔で、見上げてしまっていたと思う。


「あ、ごめんね。勿論選んでもらっても…」

「いえ…!…是非……お願いします」


このままメニューとにらめっこをしていたってしょうがないし、それに彼に私のことを決めてもらえるなんて、そんなの……そんなの本当は、すごく嬉しかった…。


数ヵ月前に、「江戸の香」という特集に惹かれて香りの専門誌を買った。私が a de cafe を知ったのはその時だった。


“えぐみの無い茶葉やハーブ本来の味を楽しませてくれる、衝撃の一杯”

そんな風に紹介されていて、こんな店が近くにあったら素敵なのになぁとため息を吐いた。

店舗情報を見て、電車で20分のところにあると分かった時は、すごくどきどきした。

そのどきどきが冷める間もなくここへ来て、紅茶を淹れてくれる人が慶喜さんという綺麗な男性だと知った時にはもっと、どきどきしたんだ……。


それからは月に数える程だけれど、ここへ通うようになった。


私以外にも彼の狂いの無い調合に魅せられている紅茶ファンはたくさんいた。
その中で、秘かに彼本人にも魅せられてしまったいけないファンは何人くらいいるのだろう。


私を…含めて。



「…かしこまりました」


午前中の白い光を受けて微笑むと、彼はくるりと背中を向けて茶葉の入った瓶達と向き合った。

それでも視線を外せなかった私に、顔だけちらりと振り向いて「今日はご馳走しますから」と流し目で笑ってから、その手にひとつの瓶を取った。


「え……だめですよ、そんなの…!」

「いいのいいの、こっちが言ったんだから」

「でもそんな…!」


私の反論に、彼はもう聞こえない振りをした。柄の長い華奢な金色のスプーンを使って茶葉をポットへ移していく。


「ー!じゃあ、やっぱり私が選びます…!」


思わずカウンターに乗り出すようにそう言うと、彼の手元のスプーンからさらさらとした茶葉が、ポットの外側に零れていくのが見えた。


「…………」

「………あの」

「…………そう来る?」

「…だ…!……だって、もしご馳走になってしまったらそんなの……私が来る意味、無いじゃないですか…」


私の咄嗟の切り返しを責めるような視線を向けられるけれど、こっちの主張は間違っていないはず、と弱々しく弁解した。


カフェに来て店員さんにご馳走してもらうなんて絶対におかしい。
仲良しならまだしも……残念ながら私たちはそうではないのだから…。


「……意味なら、あるんだけどな」

「え…?」


カシャリと音を立ててスプーンが再び茶葉を掬い始める。

そんな風に呟かれた後に視線を外されると、悪いことをしたような気持ちになってそれ以上は何も言えなかった。


どうしようと眉を下げる私の前に、コトリと置かれたのは、淡くジンジャーが香るミルクティー。


「……じゃあ、こうしようか」


機嫌良さげに微笑むアーモンド型の瞳の中には、悪戯を思い付いたこどものような光が見えたような気がした。












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後編へ続く♡


慶喜さんの提案は……なんだろな(ノ´∀`)ノ