この時間の島原は
客寄せのための灯りも消え、ただ揚屋の処々から虚(うつ)ろな光だけがぼんやりと滲んでいる
その見慣れた闇の中をひとり、置屋に向かう
足元で鳴り続ける土を踏む音が、未練を残した亡霊達の声のようだと
珍しく夢想的になるのは あの騒動の顛末を聞いたせいか
非道な選択をしながらここまで来た
その自覚はある
もう葉桜になった木から、ひらひらと頼りなく舞い落ちる花弁を、手に掴もうとしてすり抜けた
何も無い空の掌
この手は誰のものなのか……
幼い頃、ただ懸命に七を守っていたあの手とは、どこかで入れ替わってしまったのではないかーーー
空恐ろしさを感じて指先が僅かに震えた時、そこにそっと握られた形の、一回り小さな手が乗せられた
「…………」
「動かないでくださいね…?」
真剣な声色に楽しそうな響きを混ぜて、彼女がそっと指を開く
風を起こさないようにと慎重に手が退かれた後、少しの質量も感じずに乗せられていたのは先程つかみ損ねた薄桃の花弁だった
「……こない時間に、外へ出てきたらあきまへん」
俺の言葉はいつにも増して白々しい響きを持って夜に溶けていく
会いたかったーー。
闇に飲み込まれそうな今夜、絲の顔が見たかった
「……秋斉さんの声が聞こえたんです。秋斉さんに呼ばれて、ここへ来たんですよ」
「呼んでなんぞ…」
いない
そう言い切れずに口ごもった俺に気付いているのかいないのか
「あれ、そうですか…?」
小さく赤い舌を出しておどけてみせる
もう随分と寝食の場として利用している島原の置屋
この環境を忌み嫌っている訳ではないが、ここが自分の帰る場所だと感じられたこともまた 無かった
仮の仕事、仮の言葉に、仮のすみか
こんな夜に俺の帰るべき家は無い
だけど…
「帰ろう、秋斉さん…」
絲がそう言って微笑むならば
その白い手をこちらに差し出すならば
彼女の元へ帰ろう
絲の傍でなら……
仮の自分を演じずに
ひとりの男として眠ることが出来る。
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秋生まれの私に、
絲ちゃんは素敵な歌からお話を作ってくれました♡
それが彼女の好きな歌だと聞いて、とても嬉しかったのを覚えていますq(q'∀`*)♪
そのお返しに、私も大好きな歌から二人のお話を妄想♡
(その割に「sweet」が入ってませんよ、茶衣さん)
絲ちゃんは不思議なひとです☆
絲ちゃんの言葉は本当に素直。
私のようにがちゃがちゃと変に飾り付けたりしないの。
思った言葉がそのまま届けられる感じで…
とても新鮮(*´艸`)
そしてね、
絲ちゃんはとても優しいの。
その優しさも取り繕ったものではないの。
彼女から素直に、自然に出てくる優しさには感動します。
私はしました@昨年の京都
秋斉さんが自分の歩いて来た道を振り返り、
ふと感情が揺らいでしまった時に会いたいひとがいるならば、
それは私のようなタイプでは無く、
絲ちゃんのようなひとなんじゃないかな……(*´ー`*)
そう思って書きました♡
絲ちゃん、お誕生日おめでとう♡
小沢くんもおめでとうございます(何の話)