2009年2月11日。私は震える手を必死で押さえながらパソコンのキーを打っている。

あの、おぞましい記憶を呼び起こすことに怖気を震う思いを抱きながらも、私はこの事実を公のもとに晒さなくてはならない。


そう。これが私の使命だと信じて・・・。


そしてまず、今回の記事はアメンバー限定の機密事項だということをアメンバー数人に報告しておきたい。

それでは、見てほしい。あの忌まわしき事件を・・。



前々回の『顎強打とサカスとBRIGHTと』事件から一ヶ月あまりの時が過ぎ、『キムチ鍋の素、お湯に薄めて飲むねんチャレンジ』事件から数日が過ぎ、それに伴い負った心と身体の傷も徐々に癒えはじめた某日。

あの日私はちょっとした用を済ませるためにあの地にを降りたったのだ。

そう、ちょっとした用であるはずだった・・・。

ちなみに場所は言えない。機密事項だ。

私は十分警戒していた・・・はずだった。

だが、心のどこかに油断があったのだろう。私は気づくことができなかった。あの駅の前に佇む奇妙な青年に。

それは某駅を降り、目的の場所へ向かおうとしたまさにそのときだった。

私がその青年を通り過ぎようとした瞬間



なんと、彼はいきなり特撮のようなポーズをなんのおくびもなく繰り出したのだ!

その後、彼はまるで漫画のようなナルシーポーズを決めまくり歌い始めた。



そう、演歌を・・。


私は、一瞬の驚きと同時に、なんの恥ずかしげもなく一人ストリートで演歌を歌い、ナルシーダンスを踊るその少年に、一本筋が通ってるのではないかと感じた。

それならばと、私は無言でその場所を立ち去り、彼の演歌に対する情熱とポリシーを信じつつ任務へと戻った。


それから、目的地を探したのだがなかなか見つけることができず、私はあの地へと舞い戻った。

そこには、彼がいた。

そして、私がその演歌青年を通り過ぎようとした時、恐ろしい言葉を耳にしてしまったのだ!


驚かないで見てほしい。彼のその言葉を・・。それが・・・これだ。





「せかい~に~ひ~とつだ~けのは~な♪」





貴様の情熱とポリシーはどこへ行ったぁぁぁぁぁ!!!!!



私は、動揺を隠しきれず思わず彼と目が合ってしまった・・・気がした。

青年の目はキラキラスマイルであった気がする。

だが、今となってはどうでもいい話だ。


結局そのショックのせいか、目的地まで1時間以上迷ってしまった。



この報告書のオチをどう締めればいいだろうか・・・。

今、あまり考えずにキーを打っている。

ただ、私の身体を張った捜査はこれからも続いていくのかもしれない。

そう思わせる、ある冬の温かい日に起きた事件だった。


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