偶然、としか言い様がない。
たまたま今日は回り道をして帰りたい気分だったから、友達と別れ細い路地へ回り一人でケータイをいじりながら歩いていた。
話し声がした。
こんな薄暗い路地に一体誰がと前を見れば我が校のアイドルも同然跡部様と忍足くんがこちらに向かっていた。
まずい、こちらは一本道。Uターンしよう、と踵を翻そうとしたその時だった。
「何だてめえはッ!」
跡部様の怒号が聞こえ思わず振り向く。遠目なのでよく見えないが誰かと揉み合っている?その場をよく見ようと走って近付けば男4人が跡部様と忍足くんを囲んでいた。うわあああ通報、通報しなきゃ。
私は即座にケータイを取り出し警察の番号を打ち込めば、あとは通話するだけ。うん完璧。
「オイッ、誰かいるぞ!」
じゃない。
バレたのだ。いつのまに増えた男一人が私を拘束する。なにしてんだ私は。
「ッく…!」
ハッと振り返れば忍足くんも跡部様も腹を殴られたのか男共に寄りかかりグッタリしている。絶体絶命である。と突然首元に痛みが走り、私は意識を手離した。
目が覚めると其処は倉庫の様な薄暗い場所だった。重い身体に鞭を打ちなんとか起き上がる。いや、起き上がろうとするも両手両足を縛られていて座る事しかできない。
「目が覚めたか」
低い声に驚いて振り返ればそこには跡部様と忍足くんが、私と同様に縛られて拘束されている。普通だったらここは発狂する所だが状況も状況な為驚くことしか出来ない。
「お前も運が悪かったな」
「巻き込んでほんまに堪忍な…」
忍足くんに申し訳なさそうに頭を下げられる。私は慌てて首を振る。そんな、私の自業自得なのに。
「お前、葛西だろ?C組の」
「あ…なんで、知って…」
「知ってるぜそりゃ有名だからなお前は」
「ゆゆゆ有名?わ、私が?」
「ああ悪い今のは聞かなかった事にしてくれ」
「ええ、えっと…」
「それにしても、ココはどこだ?何か解決策はねえか…」
跡部様が上手に話題を逸らす、忍足くんは辺りを忙しなく見回している。
「私、ケータイをあの路地に…」
「そのケータイはこれの事だろ?」
「!」
倉庫の扉が空き3人の中年男性が入ってきた。
片手には、私のケータイが。
「お嬢ちゃんのケータイから調べさせて貰ったが、氷帝学園っつったら金持ち学校じゃねえか」
「とんだラッキーだったぜ」
「早速だが身代金を要求してえんだ、名前と電話番号を…お前から教えろ。」
指をさされたのは跡部様だった。不愉快そうに眉を寄せるも男の片手にあるナイフを見て渋々と口を開く。
男は上機嫌にケータイへ番号を打ち込めばそのまま倉庫から出ていった。倉庫に残ったのは跡部様に項垂れる忍足くんと私、そして男二人だ。
「退屈になっちまったな」
「…ちょうどいいところに女もいるし、しばらく遊ぶか?」
「!」
「オイ!!」
男の一人が私に歩み寄り足の縄をナイフで切れば腰に手を回され抱き上げられる。
跡部様が声を張り上げ忍足くんは目を丸くした。たたた助けてほしい。
「てめえらもその状況じゃ怖くねえな、せいぜいこの女が強.姦されんのを見てることだ」
「クソが…!」
「最低やな…」
床に押し倒され舐め回すように顔を見られる。まさか処女卒業がこんな倉庫で誘拐犯とだなんて悲しみの日本海もビックリだ。
と、私の身体がうずきだすのを感じた。そうだ、一か八か試してみよう。ある考えが私の頭を過る。
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