午後はショッピングモールの中の会議室にて来年のお仕事の打ち合わせ

打ち合わせを終え

モールの中で服を見ながら歩いていたら
迷子らしき女の子発見

通路のソファーの床にポツンと座って
いる
平日の昼下がりは客も少ない

幼稚園児という歳である

迷子かどうかわからないし
親がすぐそばにいるかもしれないし
モールの中で比較的安全だし
泣いてもいないし
声をかけずにスルーした

30分ほどモールを散策して
やっぱりその子が気になって戻ってみたら彼女はソファーでスヤスヤ寝ている
 

寝てるのかー
でも親はどうしたんだろうか
 

私はまたそこを離れてまたウインドショッピングを続けたが
 

やっぱり気になってまた
彼女のところに戻った
 

まだ彼女は起きていたが
一人きりだった
 

私は彼女に話かけてみた


『こんにちは、ひとりでいるのかな?
偉いねー
お母さんかお父さんは?
ママかパパは?』

彼女はただ首を横に振る
  

『ひとりで来たの?』

また首を横に振る


『あ、もしかしたら知らない人に
話かけられても答えちゃダメだよって
言われてる?』


そしたらコクリと首を縦に振った
 

『そっかー
偉いね
ここでお買い物中のママを待ってるのかなー』


コクリ
 

『いつもそう?
ママがお買い物の間ここで待ってるの?』


コクリ
 

どうやら
ママがお買い物の間
彼女はいつもこの場所で
待っているらしい

幼児が自分からここで待ってるから
ママは買い物にいってきてね、とは
言わないだろう

なんだか
胸がキューンと締め付けられた

彼女が泣いていないということと
待つことになんだか慣れているように思えたから

彼女の寂しさが伝わってきてしまった

お絵かき道具や遊具もなく
ただ待つということ

トイレはだいじょうぶなのだろうか、
とか

なんかもう
ハグしたくなって

『ちょっと抱きしめてもいいかな?
何にも話しなくていいからね』

彼女がコクリと頷いたので

ぎゅーっと抱きしめた

彼女は抵抗もせず
私に抱きしめられてくれた

彼女が元気になっていくのがわかった

しばらくそうしていたのだけど


ハッ!
ママが帰ってきたときに
怒られるかもしれない
そりゃそうだ
知らない女が自分の娘を抱きしめていたら
怒るよね
ドキドキ。。
という思考がやってきたので

ゆっくりと彼女をほどいた
 

そして
たまたまそこに座ってべつに
彼女のことなど知ったこっちゃないというテイで
彼女の隣に座って
いま、この記事を書いている
 

五分ほどして
ママが帰ってきた

『◯◯行くよ!』

ただそう声をかけただけで
立ち止まりもせずに歩いていく

彼女はさっと立ってママの後ろを追いかけていく

彼女は一瞬振り返って私を見た

私は手を振って笑った

彼女はまた置いていかれないように
ママの後を追っていった

なんだか
涙が出てきた

彼女は泣いてもいないし
一言も喋らなかったけど

私の心が寂しくて泣いた

ひとり置いていかれる寂しさ

誰とも話をしてはいけない
寂しさ


ごめんね、待たせてごめんね
ひとりで偉かったね、ありがとね
◯◯ちゃん♡


こう声をかけて欲しかったのは
私だった

手を繋いで歩いて欲しかったのは
私だった


もう
なんでまたこんな場面に遭遇するかな
 

私は幼少期
母親からは愛されて育った
寂しい思いはしたことがない
置いていかれたこともない

いま現在の私もまったく寂しくはない


それでも

私は寂しくて寂しくてじわりと泣いた

ああ
久しぶりに寂しい、という感情を
味わったな

このところ
エジプトの旅
たくさんの仲間
たくさんのお客様
たくさんの人々に囲まれてながら
寂しいなどと思う暇がなかったので

これは
神さまからのプレゼントだね

彼女が家でどんな扱いを受けているかは想像しないでおこう

いま
私が悲しい

それだけ

すべての感情を否定しないで
ただ味わう
 

大勢の人に囲まれてすごすのも私

ひとりぼっちも私



寂しいよ
寂しいよ
私も連れてってよ
おしゃべりしたら怒られる
泣いたら怒られる
寂しいよ
寂しいよ


はぁぁぁ



よし
もうだいじょうぶだ


さあ
私もおうちへ帰ろう



猫が待ってる






ぴこ
らぶ♡