かなり間が開いてしまいましたが、内性器の分化まで調べてみました。
その続きをまとめてみます。

外性器の分化
外性器とは、女性の陰核や陰唇など、男性の陰茎や陰嚢などをいいます。
胎齢8週では、男女両性の外性器は全く同じで、どちらの性へも分化できる能力をもっています。
前回書いた性線の分化で、精巣が発育した場合、男性ホルモン(テストステロン)によりに外性器は男性化し、陰茎や陰嚢などができます。

一方、卵巣が発育した場合、男性ホルモン(テストステロン)が働かないため、陰茎や陰嚢ができず、陰核や陰唇ができます。
外性器の分化は胎生12週までに起こります。

外性器の分化も内性器の分化と同じで、基本は女性型であり、男性ホルモン(テストステロン)がある場合のみ男性型になります。

脳の性分化
外性器の分化で、体が男性か女性に分かれましたが、人間はそう簡単ではありません。脳の性分化があります。
妊娠20週前後に男性ホルモン(テストステロン)が多いと脳の中にある性中枢が男性として認識し、出生以後も男性としての性行動を取ることになります。

一方、その時期に男性ホルモン(テストステロン)が少ないと性中枢が女性として認識して、女性としての性行動をとることになります。
この脳の性分化は、胎生90日頃までに決まります。脳の分化も、基本は女性型です。

しかし、一筋縄ではいかない場合も起こります。
染色体・性腺・性器が男性でありながら、男性ホルモン(テストステロン)の量が少ないと、生まれてから男性としての性行動よりも女性としての性行動をとります。
その逆も同じで、染色体・性腺・性器が女性でありながら、男性ホルモン(テストステロン)の量が多いと、生まれてから女性としての性行動よりも男性としての性行動を取ります。
これらは、性同一性障害の典型例とされています。

ここまで、「誕生の不思議」と「性文化の不思議」を眺めてきました。
このブログは、生物学のブログではありませんので、この後の生命の成長と老化については触れません。
しかし、生まれてから成長し、思春期を迎えて大人になり、そこで身長の伸びが止まります。
一方、性的に成熟し、子孫を残す準備が出来ます。

さらに年を経ると、老化現象が始まります。
このように、人間に限らず、生物は何かプログラミングでもされているかのように、時間とともに変化していきます。
生物学的には、「ある時が来ると○○ホルモンが分泌され」とか、「ある時になると××ホルモンが減少し」とか説明されていますが、これもよく考えてみると、その「ある時」にそうなる様に、まるでプログラミングされているようです。

ここで、最初に仮定した神様と引き合いに出すのはまだ乱暴ですが、やはりこのプログラマーは神様だとしてしまうと簡単に解決してしまうようです。

人間の誕生とそれにまつわる性の分化の不思議を見てきました。
この次から、こうして生まれてきた人間について、考えてみたいと思います。