NS-C1000を聴いてみると、人間の声は非常に良く、自然で滑らかでした。

低音の量感は全く有りませんが、良く締まり、質はとても良好です。

高音の上の方は透明感が有り、素性の良さを感じます。

残念なのは、数kHzの領域(クロス周波数附近)で少し荒れた感じがします。

(クラシックのフルオーケストラでは、特にバイオリンがザラつきます。)

 

【Yamaha NS-C1000の帯域分割回路】

 

裏板の内側に取り付けられています。

部品自体のリード線と太い導線で配線されており良質な構成です。

(プリント基板を使っていない。銅箔の接着面には酸化銅が有る。)

 

コイルにはフェライトコアのものが使われていました。

ツィータ側のコンデンサはMP(メタライズドペーパー)の2個並列です。

ウーファ側のコンデンサはBP(バイポーラ(両極性))の電解型です。

折角のスピーカ・ユニットに対し、コイルと電解は残念賞です。

 

【Yamaha NS-C1000の帯域分割回路のシミュレーション】

 

ウーファとツィータが同相で接続されているので、位相変化が急です。

(ツィータ軸上でのf特測定では同相の方が良く見えるのかも?)

ウーファの高域インピーダンス補正が無く2kHz台に共振峰が有ります。

1.5~5kHzに群遅延のピークが見られ、時間的整合に問題が有ります。

音質に関するネガティブな印象は、これが原因と思います。

 

【Yamaha NS-C1000の帯域分割回路(ウーファの高域インピーダンス補正付)】

 

ウーファの高域インピーダンス補正を追加したシミュレーションです。

2kHz台の共振峰は無くなりますが、そこの低下が大きく使えません。

同相接続の為に、2kHz附近にはやはり群遅延のピークが有ります。

 

【Yamaha NS-C1000の帯域分割回路・改】

 

コイルは空芯に替えました。(ウーファ側は線径1.6mmの低抵抗型)

ウーファ側のコンデンサはメタライズド・ポリエステル型を使用しました。

高域インピーダンス補正の素子も追加しています。

 

ツィータ側のコンデンサはメタライズド・ポリプロピレン型を使用しました。

ポリエステル型よりも外形が大きくなりますが、誘電体損失が小さい。

(昔、会社でコンデンサの比較試聴した時に明確に音質の差がありました。)

 

【Yamaha NS-C1000の帯域分割回路・改のシミュレーション】

 

特性的には、ほぼ問題の無いものです。

ウーファとツィータを逆相で接続しました。

クロスオーバー周波数附近の位相変化が穏やかになりました。

その結果、群遅延の変動も非常に小さくなりました。

箱を少し後ろに傾けてユニット間の時間補正にも配慮しました。

 

この状態で数時間連続して鳴らしておき、それから試聴しました。

期待が大きかったのですが、若干アレッと思いました。

元の【数kHzの領域で少し荒れた感じ】は解消しました。

ですが、数kHzの領域での盛り上がりを感じて少し煩い感じです。

 

多分、ウーファ・ツィータ共に若干数kHzに膨らみが有るようです。

帯域分割回路の見直しが必要となりました。

 

それの結果は・・・「その4」に続きます。