JBL 075(丸フランジの初期型) と 2402(角フランジ075のプロ用) を比較しました。 

以前から「075と2402は同じ音なのだろうか?」という疑問を抱き続けていました。 

ネット上で、いろんな方が「違う」とのご意見を表明されていたように思います。 

 

で、ヤフオクで過去に2402を次々と結果的に5ペア(10台)入手してしまいました。 

しかし、全て振動板にシワが発生した不具合品でした。(「次こそ!」の空回り) 

(【12 JBL 2402(075のプロ用):損傷ダイヤフラムと互換ダイヤフラム】を参照下さい。) 

 

ヤフオクで出品されている2402は、PA用でコキ使われていたお古が多いようです。 

退役後、誰かが興味半分で分解を試みて、砲弾を握ってエイッと廻すのでしょう。 

これをやると、ほぼ確実に振動板にシワが発生し音質が大きく低下します。 

ヤフオクでの2402は、【ババ抜き】の一面が強く、しかも【ババ】が多い!!! 

 

先日、良さそうな2402を入手したところ、6ペア目にして【当り】を引いたようでした。 

早速、【34 メイン・オーディオ・システム】で075(丸フランジの初期型)と比較しました。

 

結果的には、「音は確かに違う」のですが、その内容は以下の様に感じました。 

 ◎075は何を聴いても滑らかで、音場が広く、余韻が良く伸び、奥行感豊かです。 

 ○2402は、人の声の子音が少し強調され、楽器の音も高域に少し癖を感じます。 

  それ以外は同じ音に感じますが、075に慣れた耳には少し違和感が有ります。 

  現用の075の音を知らず、これを聴くと「これで良い」と思うかもしれません。 

 

【075 vs 2402 試聴の様子】

 

 

【2402 の外観】

 

 

音の違いを確認したので、次に周波数特性を測って075と比較してみます。 

 

【075及び2402の周波数特性】

 

 

075は実に滑らかな特性ですが、2402は結構凸凹が大きく2台の違いも大きい。 

2402は、3kHz、6kHz、10~12kHzにピークが有り、特に6kHzのは気になります。 

 

次に075と2402の各々2台の各周波数に於けるdB値の平均値を比較します。

 

【075と2402の周波数特性比較】

 

 

これを見ると、075と2402の周波数特性の違いがよく判ります。 

075の2.5kHz、2402の3kHzのピークは、振動板の最低共振周波数によるものです。 

全帯域の感度は同じ位なので、これは振動板の硬さの違いを現していると思います。 

2402の6kHz、10~12kHzのピークも、この振動板の硬さによるものかも知れません。 

音を聴いての違和感の原因は、これらのピークに依るものなのでしょう。 

 

念の為、2402の振動板自体を眺めてみました。 

 

【2402 の振動板】

 

 

シワ・損傷は全く無く、初期状態を良く保っていると思います。 

外周の取付部分の裏側には製造時期が記載され、【AUG、1979】と書かれています。 

2402自体の生産時期は1979年、或いは1980年と思われます。 

 

振動板の裏側のボイスコイルとボビンも確認しました。 

【2402 のボイスコイルとボビン】

 

 

ボイスコイルは、紙製ボビンにアルミ・リボン線のエッジワイズ巻で作られています。 

初期の075から変わらぬ構造で、良いものを替える必要は無いという事でしょうか。 

 

2402の周波数特性で2台の違いが一番ハッキリ出ているのは20kHzです。 

これの原因かどうか判りませんが、砲弾と振動板の隙間に違いが有りました。 

20kHzの低下の少ない方の隙間が0.28mm、20kHz低下の大きい方が0.35mm 

砲弾を入換えると隙間の大きい側が入替ったので、砲弾の加工バラツキのようです。 

 

手元の4台の初期型075の特性の違いは小さいので、加工精度が高かったのでしょう。 

又、適度な硬さの振動板を使用していた事から、部品管理は厳しかったのでしょう。 

075の初期型の評価がいつまでも高いのは、この辺の理由に依るのかも知れません。 

「角フランジの075はどうなの?」とも思いますが、それは機会が有ればと思います。 

 

今回の結論:音も特性も違いが有りました。(バラツキだとしたら厄介です。)

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆【参考】☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 

 ★JBL 075(丸フランジの初期型):生産時期 1956年発売~ 

   途中【丸フランジ+馬蹄形金具】から【角フランジ】に変更 

   (【角フランジ】自体は1971年発売の2405から出現) 

 ★JBL 2402(角フランジ075のプロ用):生産時期 1976年発売~ 

   (フェライト版の2402Hは1983年頃から?) 

 

因みに077は1974年発売、2405は1971年発売(2405Hは1983年頃から?) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 

 

オーディオは面白い!! オーディオは科学です!!