No.25で検討したチャンデバを作りました。
結果的に「チャンデバで、LCを上回る音質」を充分に達成出来たと思います。
【回路図】
ステートバリアブル型のリンクウィッツ・ライリー特性(fcで-6dB)で2次の回路です。
音質劣化の原因となる、高域側の信号系に直列に入るコンデンサはありません。
高域レベルを調整する為にボリュームを使いますが、良質な物を選んでます。
東京光音製の2CP-601Sという導電性プラスチックを使用した21クリック付です。
減衰量30dBまでは1クリックあたり2dBの変化で使い勝手が良好です。
(クリック間は減衰量が連続的に変化するので、中間でも使えます。)
LPF用のコンデンサは、5600pF(2%)のスチコン(富士通製の銅リード品)です。
音声信号に直列に入る抵抗は良質な金属皮膜型(主に進工業の角板型)です。
オペアンプは全てOPA1652を使っています。
電源ON-OFF時のノイズ防止用には、接合型FETの2SK2145BLを使用しました。
低域側の出力には、LPFとしての出力と、全帯域での出力を選択出来ます。
電源には外付けのACアダプタ(トランス式の12V品)を使い定電圧化しています。
【内部の様子】
【前面の様子】
【背面の様子】
【実測性能】
■12~15V入力時の消費電流は52mAで、非常に低消費電力です。
■DC出力電圧は±0.5mV以下、残留雑音は50μVrms以下でした。
■分割周波数(2842Hz)に於ける減衰量は以下のように正確でした。
Lchの低域側:6.1dB、高域側:6.1dB Rchの低域側:5.8dB、高域側:6.1dB
■高調波歪率は1Vrms時、100Hzと1kHzで0.002%以下、10kHzで0.01%以下。
■ボリューム(ATT)の精度は、0~30dBの各目盛に対し誤差0.5dB以内でした。
【周辺の機器(アンプ系)との組合せ】
左上はDACの「Amulech AL-38432DR」、その右が今回のチャンデバです。
左下は、No.26のプリアンプ
右は、No.28のパワーアンプ(DC付加機能付、1WまでA級BTLで最大4.5W出力)2台
【スピーカ(Foster 10F3とJBL 075)を含む組合せ】
「JBL 2115 + JBL 075」と「Foster 10F3 + JBL 075」のどちらで使うか考えました。
普段小音量で聴く為、微小音に厳しい10F3のシステムで使ってみる事にしました。
【実用上の問題点】
チャンデバ自体は全く問題ありません。
パワーアンプとJBL 075を直結するので耳を近付けるとジィーという音が聴こえます。
深夜の静寂状態の部屋で1m離れると殆ど聴こえなくなるので実用上OKと思います。
(ノイズ源はパワーアンプのスイッチング電源と思われます。多分)
JBL 075は能率が110dBも有るので、パワーアンプはロー・ノイズのものが必要です。
【音質に関する感想】
★まずは結論ですが、期待を上回り大変良好です!!
透明で、濁りが減り、余韻が良く伸び、音場空間が広くなったように感じます。
人の声が生々しくなって実在感が増したのは、付帯音が減った為と思います。
JBL 075がパワーアンプと直結になったのが特に良かったようです。
*LC分割のコンデンサ(ポリプロピレン誘電体の良質な物ですが)が無くなりました。
*その他、コイル・巻線ボリューム・セメント抵抗による影響も排除出来ました。
*DC付加機能を利用出来るようになり、余韻が伸びるようになりました。
(0Vから上げていくと、10F3同様、60mV程度で充分に効果が有るようです。)
LCの時よりJBL 075の音からトゲが減り、レベルを上げられるようになりました。
2dB程度は高くなっているかもしれません。
(LCでは聴いている内にトゲが気になり、徐々にレベルを下げていました。)
075のレベルはチャンデバの減衰量20dBで聴いています。
そこからグァーと上げても意外と耳を刺さないので、LCとはかなり異なります。
Foster 10F3側はLCR(特にコイル)が排除出来たのが特に良かったようです。
パワーアンプによる制動が良く掛かり、音が締まり、且つ雄大に鳴るようになりました。
この構成にしてみるまでは、実は半信半疑でしたが、大成功でした。
●以前の考え方⇒チャンデバ使用のマルチアンプでは良質なLC分割に勝てない。
◎今後の考え方⇒LC分割では良質なチャンデバ使用のマルチアンプに勝てない。
こういう事を経験すると、つくづくオーディオって面白いなぁと思います。