前回No.24で触れた、チャンデバで、LCを上回る音質を実現する方法を検討します。
LCは概ね分割周波数は固定で、市販チャンデバは周波数可変のものが多いです。
可変であると、多くのスピーカの組合せに対応出来るのは確かに便利です。
しかし、その反面、音質の劣化を招く部品を沢山通過するのは大きな弱点です。
自分の特定スピーカの組合せのみに対応するチャンデバなら簡略化が可能です。
JBL 2115 と 075 の分割は3kHz附近の固定で、高域用出力調整のみ可変とします。
このような構成なら音質の劣化を最低限で抑える事が出来そうです。
試しに、業務用チャンデバの場合、どれ位の部品を通過するかを調べました。
【dbx 223XS】の場合、①入力調整VR ②40Hz-HPF SW ③周波数設定VR(4連)
④周波数X10 SW ⑤出力調整VR ⑥位相切替SW ⑦STEREO/MONO切替SW
この7つと、抵抗器・コンデンサ多数です。(VRは可変抵抗、SWは切替スイッチ)
D-70の場合は、①NETWORK ON-OFF ②周波数設定SW ③周波数X10 SW
④出力調整SW の4つと、抵抗器・コンデンサ多数です。(部品の質は高い)
今回は、出力調整VRと良質な抵抗器・最小限の直列コンデンサで構成する事にします。
リンクウィッツ・ライリー特性(fcで-6dB)で2次のフィルター回路方式を検討します。
(低域通過(LPF)と高域通過(HPF)の加算特性が平坦なのが特徴です。(片方は逆相))
*業務用で多い4次のフィルターでは、部品数が多くなり音質低下が増すと思います。
最初に検討するのは、非常に良く使われるVCVS型の回路です。
高域側の信号系にコンデンサが2個直列に入ります。
次に、全く一般的ではありませんが、VCVS型のLPFと1次移相回路の組合せです。
これだと、高域側の信号系に直列に入るコンデンサは1個に減ります。
3つ目は、ステートバリアブル型の回路です。
これだと、高域側の信号系に直列に入るコンデンサは無くなります。
特性は3つ共に同じで、分割周波数2842HzでLPF・HPFは共に-6dBになっています。
分割周波数の前後で、滑らかに高低の発音が混ざるのが良い点と思います。
参考に、良く使われるバターワース特性(fcで-3dB)のVCVS型の回路です。
バターワースの加算特性は、分割周波数で+3dBの膨らみが出るのが特徴です。
(なので、使いません。3次では平坦になりますが、部品が増えるので使いません。)
【参考】群遅延特性について
リンクウィッツ・ライリー特性では、変動は有るが特定周波数でのピークは発生しません。
バターワース特性では、変動と共に分割周波数の少し下で膨らみが出来ます。
【結論】高域側の信号系に直列に入るコンデンサの無いステートバリアブル型に決定
そして、使用するコンデンサは、音質の良いスチロール型を使う事にします。
OPアンプICは、今のところ自分の最近定番のOPA1652を使う事にします。
次回以降で、全体回路の設計、使用部品の選定等を検討します。