良いことも、悪いことも
積み重ねれば
どんなに小さなものでも
大きなものになる。


音信不通やった夫は、
四日目にして連絡があった。


翌日に帰る旨と、
その日の晩ご飯のリクエスト。


そして、社員旅行の小話。


よぉ分からんけど、
手違いでお土産が
他社員の荷物に紛れ込んで
無くなったらしい。


だから、お土産がないとのこと。


へえー。そうですか。


なんかどっかで
買ってくるって言ったんやけど。


社員旅行は
電話のあった日の
前日には終了してて。


電話を私にかけてるその時点で、
既に旅先には居ないわけで。


そこら辺で買って帰れる
目新しくもないお土産を
一体なんの為に買ってくるのか。


意味不明すぎて。


もう要らんって言った。
こんな冷たい言い方じゃないけど。


家族へのお土産もなければ、
行ってきます、も
ただいま、もない。


ホンマに何も無いんやね…
今更やけどさ。


夫の話す内容が、
どこまでが嘘で
どこまでが真実なのか。


旅行先での小話に、
今回の社員旅行が真やったのかと
一瞬信じかけたけど。


お土産の件を聞いて、
スッと冷静になりました。


こうしてまた一つ、
夫に対する不信感が募る。


一つ一つは小さいけど。
どんどん、膨らんでいく。


嘘をつくなら
嘘を真にしてほしい。


気付かれないようにしてほしい。


もう、しんどいねん。
嘘に気付くのが。


そして
電話があった翌日。


晩ご飯のリクエストを受けて
買い物に出かけたけど。


買い物が終わったと同時に
電話がかかってきて。


結局また
ご飯が要らなくなった。


こういうことには
慣れきってるけど。


ここでもまた、
夫に対する"なにか"が募った。


澱み、とでも言えようか。


家に帰って、
食材を買ってしまったから
食べたくも無い
夫のリクエストご飯を作り。


子供たちと食べてたら
夫が一時帰宅。


この時に、また一つ夫は
ボロを出した。


「今日のメンバーは男ばっかり」と。


まるでいつもは
異性の同伴が
いるかのような言い草。


揚げ足を取る気はないから
突っ込みもせず流したけど。


だからさ……
やるなら気付かれへんように
やってくれよ。


面倒臭いから。


そして、
今からご飯を食べに行くと
言っておきながら。


行く予定のお店のご飯が
美味しくないからと。


結局、家のご飯を
軽く食べてから出掛けて行った。


ご飯が要らないと言った電話で、
明らかにテンションの
下がった私に対して
何かしらの罪悪感を感じたのか。


ただ単に、食べたかったご飯が
目の前にあったからなのか。


どちらなのかは分からんけど。


要らんと言ったはずのご飯が
当たり前に
自分の分も用意されてて、
当たり前に
それを食べられることに対し、
この人が感謝の念を抱くことは
いつかあるんやろうか。


「要らん」と言った電話で
"ごめんな"の一言ぐらい
言えないんやろうか。


やって当然、と
思ってるんかな。


それは、やって当然のこと
なんかな?


私は夫に対して、
一馬力で養ってくれてる感謝を
忘れたことないけど。


こんな状況である今でさえも。


何かを買って貰ったら
「ありがとう」は
大袈裟なぐらい言うし。


専業主婦やからこそ、
お金に関しての事柄は
気をつけて感謝を伝えてた。


夫は?


一人で育児する私に
"育児してくれてありがとう"と
伝えてくれたことが
今までに一度でもあったやろうか。



それは、専業主婦の私が
やって当たり前のことなんやろうか。


それぞれの役割分担なんやと
思いながらやってきたけど。


役割分担やから
やって当たり前…ではないよな。


苦手なことを
相手が引き受けてるんやから。


やっぱり感謝の気持ちは
持たなアカンし
伝えなアカンと思う。


こう言う
小さい気遣いの一つでもあれば、
何か変わってたかも知れんね。


もう、それらに気付いても
今更遅いけど。


積もりに積もったものを
無くすのは簡単なことじゃない。


反対に。


一つ一つはどんなに小さくても。


手繰り寄せていったら
小さな幸せは
大きな幸せになるはずやんな。


そう信じたい。


……夫が帰ってくると、
何かしら私の心が乱される。


強くならな。
いちいち、乱されてたらあかん。


この道を選んだのは私自身。