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16年前の高村正彦の外相答弁 
- テレビは高村正彦の二枚舌を映し出せ
一昨日(6/10)、高村正彦の過去発言を洗い出せと呼びかけたところ、早速、コメント欄に貴重な情報提供をいただいた。

コメント欄に投稿された高村正彦の答弁は、1999年2月の衆院安全保障委員会のときのもので、1997年9月に日米両政府によって締結された「日米防衛協力のための指針」と、それを受けて国会に上程されていた「周辺事態法案」について審議した委員会での発言である。

議事録のPDFを開いて下にドラッグすると、29頁中19頁目に塩田晋と高村正彦とのやりとりがある。国の安全保障の議論をしたいと塩田晋が切り出し、憲法9条と自衛権との関係はどうなっているのかと質問したのに対し、高村正彦はこう答えている。

c0315619_1742385「国際法上、国家が個別的自衛権に加えて集団的自衛権、すなわち自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利を有しているものとされています。我が国が国際法上このような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上当然であり、日米安保条約前文も、日米両国がこのような集団的自衛権の固有の権利を有していることを確認しているところであります。しかしながら、憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することはその範囲を超えるものであって、我が国の憲法上許されない、こう考えております」。テレビ局は、ぜひこの映像のカットを放送して欲しい。この答弁に対して、塩田晋はこう議論を進める。「先ほど、高村外務大臣のご答弁の中に集団的自衛権の問題が出ました。これは国連憲章第51条そして安保条約前文、第5条、第6条等の規定に出てくるわけでございますが、集団的自衛権はあるけれども、これは行使しない、また行使できない、こういう考え方につきまして、およそ権利があってそれが行使できない、それは本当に権利と言えるのでありましょうか。(略)この問題についてどうお考えか、お伺いいたします」。ネオコンとして、この政府の従来見解では不満だと言っている。

c0315619_17424986憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使を認めろと、認めてもいいじゃないかと要求し、自由党の政策主張をぶつけている。対する高村正彦の答弁はこうだ。「主権国家でありますから、国際法上主権国家に認められている自衛権、これは個別的自衛権だけじゃなくて集団的自衛権も有しますが、日本国民自身が自らの憲法をつくって、それは行使しないと、その集団的自衛権の方は行使しないと決めたわけでありますから、当然、日本国政府はそれに縛られる、こういうことだと思います」。さらにこう答える。「何度も申し上げますが、日本は国際法上一つの主権国家として、個別的自衛権のみならず集団的自衛権を有している。しかし、日本国民は、憲法第9条というものをつくって、その行使について縛りをかけた。そして、その縛りは伝統的に集団的自衛権は行使しないんだというふうに解釈されております(略)」。憲法9条が集団的自衛権を禁止していて、その行使は認められないのだとする政府見解は、歴代の内閣で繰り返し答弁され確認されてきたもので、それは誰もが知っている常識だ。しかし、その事実を紹介するテレビ報道が、証拠映像として外相だった高村正彦の答弁を使用したならば、そうでない場合とは視聴者の受け止め方は違ってくるに違いない。同じ高村正彦の表情と言葉で話が180度変わっていることが突きつけられ、法案の欺瞞性が露わになり、不当性が確信されることだろう。映像は人々の印象に焼き付くはずだ。