T医師はりょうちゃんを見ながら
『どうしたどうした。キツイね〜、ちょっと落ち着くようにしようね〜』等言いながら


『どうしたの?』と尋ねてくる。


昨日の受診から夜、そして午前中の様子を話す。




『じゃあ待合室のところで待っていて下さい』と促され、処置室を出ると事務員の人に案内され腰かける。


明日どうなるかな?もしかしたら会社行けないかな?と会社に連絡をし上司へ
救急車で病院に来ていることを告げる。

救急車呼んでるなんて言われれば上司もびっくりなんだろうけれど、
私はまだ入院レベルぐらいに捉えていたので
普通に話していた。



そこに看護師さんが『書いて下さい』と書類を持ってくる。





初めて会った。



めちゃくちゃ無愛想な看護師さん。



普通の一般病院ならざらにいる接遇レベルなんだろうけれど、無愛想に感じるほど
こども病院の看護師さんはとてもみんな優しい。


そんなことを考えていると妻が到着。


書き終えないうちに
『上に上がりますよ』と言われる。

そこで
これまた初めて見る循環器の男の先生が険しい表情で再度様子を聞いてくる。



どうしてこうなったの?という感じで聞いてくるからK医師が
『昨日も受診してね〜』と説明してくれる。フォローしてくれた。



移動中、妻がりょうちゃんに声かけると指をしっかりと握り返した。


行先はHCUだった。



そこでも私達はまだ大きな不安にはかられていなかった。


きっと麻痺していたんだと思う。

HCUですら何度も入院していて、集中して見てもらえる。
りょうちゃんも寂しいだろうけど、ダラダラ治療するより早く良くなるほうが良い。
そんな風に捉えていた。

私に至っては、

HCUなら妻は一時付き添わなくて済むな〜

会社行けるかな

なんてふざけたことを思っていたのである。





HCUの家族待合室で待つよう言われてから1時間が経過する。


そこでも今まで手術後に待っていた時間より短く、『まだかな〜』と妻と話すレベルだった。


そこへ循環器の担当看護師Fさんが来る。

『昨日受診したって聞いてカルテ見たらびっくりして!!』と。

妻と話が盛り上がった中、
『ちょっとりょうちゃん見てくるね。見れるかな!?』と言いながら出ていく。


少し経ったあと

Fさんは
『処置で何人かいたからりょうちゃん覗きこんで頭は見えたけど〜』と話してくれた後、
今日は早出で帰るので明日また経過をみていくねと言いながら出て行った。


普段から気にかけてくれる人が親以外にもいることが嬉しくてありがたかった。



それからさらに2時間が経過して17時過ぎた。



さすがに不安になってきた。


義母に預けた上の子たちのことも気になる。


そうするとT医師が入ってきた。

『りょうちゃんね〜そうとうダメージがあって。回復が何日もかかるかもしれない。それと今日明日が山場になると思う』と
いつものようなチャラい感じではなく真剣な表情で話して言った。

言葉だけでなくT医師の普段とは全く違う雰囲気だけで、いかに大変な状況に置かれているのかを今更ながら痛感する。



でもなんで??


昨日も受診して見てもらって、どうしてこんなに悪化するの??

そこにFさんが来る。
気になって帰れないようだった。

たくさん励ましてくれ、帰っていった。



ありがたかったが不安でたまらなくなり、りょうちゃんに会いたくて仕方がなかった。


さらに1時間経過したところで
先程の循環器の男の先生がやってきた。


さっきとは違い、
気を遣った表情と声で、


『〇〇君(りょうちゃんの名前)かなり悪い状態でした。先程心停止して蘇生をしたところです。
今はなんとか持ち直しているところですが今後もどうなるかは分かりません。今少し落ち着いたので整えたら会ってもらいますね』と言った。


『分かりました』と答えるのが精一杯だった。